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事業事例

coemo ― エイベックスの音声合成技術がタカラトミーの読み聞かせスピーカーになるまで

コエステ株式会社
AI / 音声技術 #音声合成 #AI #オープンイノベーション #玩具 #BtoB技術転用
事業・会社概要
事業会社
コエステ株式会社
業界
AI / 音声技術
開始年
2020年
サービスサイト
www.takaratomy.co.jp/products/coemo

History & Evolution

2017

東芝が音声合成アプリ「コエステーション」を発表

東芝デジタルソリューションズがAI音声合成技術をベースにしたコンシューマ向けアプリを公開。

2019

エイベックスと東芝が新会社設立に合意

両社がコエステーション事業の本格展開に向けた基本合意を締結。

2020

コエステ株式会社設立

エイベックスの100%子会社として設立。東芝デジタルソリューションズが出資参加。

2022

タカラトミー「coemo」発売・おもちゃ大賞受賞

9月に読み聞かせスピーカー「coemo」が発売。日本おもちゃ大賞2022エデュケーショナル・トイ部門大賞を受賞。

課題・背景:AI音声合成の「用途」を探して

AI音声合成技術は2010年代後半に急速に進化し、人間の声と見分けがつかないレベルに達していた。しかし、その技術が実際にビジネスとして成立する 「用途」 の開拓は容易ではなかった。自動応答やナレーション生成など法人向けの活用は徐々に広がっていたものの、一般消費者が日常的に使う BtoCプロダクト としての成功例は限られていた。

東芝デジタルソリューションズは2017年に音声合成アプリ 「コエステーション」 を発表し、一般ユーザーが自分の声の合成音声(コエ)を作成できるサービスを提供していた。しかし、アプリ単体では「声を作る」体験は面白くても、それを 日常的に使う必然性 に欠けるという課題があった。

取り組みの経緯:エンタメ×技術×玩具の三社連携

この状況を打開するきっかけとなったのが、エイベックスとの提携である。2019年、エイベックスと東芝デジタルソリューションズはコエステーション事業の本格展開に向けた 基本合意 を締結した。エイベックスが持つ タレント・著名人のネットワーク と、東芝の AI音声合成技術 を掛け合わせることで、「声」の商業的価値を最大化する構想だった。

2020年2月、エイベックスの100%子会社として コエステ株式会社 が設立され、東芝デジタルソリューションズが出資参加した。DJ KOOやMay J.といったタレントの声を法人向けの 「コエカタログ」 として提供するサービスも開始された。

そして技術の社会的インパクトを最大化したのが、玩具大手 タカラトミー との協業だった。コエステーションの音声合成技術を、家庭用の読み聞かせスピーカーに組み込むという発想が、 「coemo(コエモ)」 という製品として結実する。

サービス・事業の概要:親の声が子どもに物語を届ける

coemoは、AI音声合成技術を搭載した 読み聞かせスピーカー である。価格は 12,980円 (税込)。利用者はスマートフォンの「コエステーション」アプリで自分の声を登録し、「coemoアプリ」で読んでほしいコンテンツを選んで本体に送信する。すると、 まるでパパやママが話しているかのような 合成音声で物語を読み聞かせてくれる。

coemoアプリには 無料で60コンテンツ が収録されており、日本や世界の童話45作品のほか、ブレインスリープ社とコラボした良質な睡眠へ導く音楽や「ねるまえたいそう」なども楽しめる。プロのナレーターの 感情表現や抑揚 を再現する技術により、単調な機械音声ではない、温かみのある読み聞かせ体験を実現している。

この製品の本質は、 「忙しくて読み聞かせの時間が取れない親」と「親の声で安心したい子ども」 の両方のニーズを同時に満たす点にある。技術的な先進性ではなく、家族の感情的なつながりという 情緒的価値 に立脚している。

成果と現状

coemoは2022年9月の発売直後から話題を呼び、 日本おもちゃ大賞2022 のエデュケーショナル・トイ部門で 大賞 を受賞した。業界から製品コンセプトと技術実装の両面で高い評価を得ている。

この事例は、東芝(技術開発)→ エイベックス(事業化・タレント資産)→ タカラトミー(製品化・販売)という 3社にまたがるバリューチェーン が機能した希少なオープンイノベーション事例である。各社が自社の強みに集中し、弱みを他社で補完するモデルが結果を出した。

この事例から学べること

第一に、ディープテック(深層技術)のBtoC転用は「用途の発見」が9割である。 音声合成技術そのものは東芝が開発済みだったが、「親の声で読み聞かせ」というユースケースの発見がなければ、技術は実験室に眠ったままだった。技術そのものの優劣よりも、それを「誰の、どんな課題に当てるか」の設計が事業の成否を決める。

第二に、3社以上のオープンイノベーションでは「役割の明確な分離」が必須である。 技術(東芝)・事業運営とIP(エイベックス)・製品化と販売(タカラトミー)という分業が曖昧だったら、意思決定は停滞し製品は生まれなかった。各社が何をやり、何をやらないかを明確にすることが、多社間連携の前提条件である。

第三に、BtoC製品の訴求力は「技術の高度さ」ではなく「感情に刺さる体験」で決まる。 coemoの購入動機は「AI音声合成が体験できるから」ではなく、「自分の声で子どもに物語を読んであげられるから」である。技術は手段であって目的ではない、という原則の優れた実践例である。

関連項目

成功の鍵

1

3社の強みを組み合わせた分業モデル

東芝の音声合成技術 × エイベックスのタレント資産・事業運営 × タカラトミーの玩具開発力・販売チャネルという三者三様の役割分担。

2

「親の声で読み聞かせ」という情緒的価値の発見

技術先行ではなく、「忙しい親でも声で子どもに寄り添える」という顧客の感情的ニーズに立脚した製品設計。

3

BtoB技術のBtoCプロダクトへの転用

法人向けの音声合成プラットフォームを、家庭向けの実体のある製品に落とし込み、消費者市場を開拓。

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