スタートアップ
スタートアップ(Startup) とは、革新的なビジネスモデルやテクノロジーを武器に、短期間で急成長を目指す新興企業のことである。一般的な中小企業やベンチャー企業とは、スケーラビリティ(拡張性)への志向性において区別される。
大企業のイノベーション戦略においては、スタートアップとの協業(オープンイノベーション)や、社内にスタートアップ的な組織を作る動きが活発化している。以下では、スタートアップの定義と特徴、大企業との関わり方について解説する。
形だけの模倣が生むスタートアップの誤解
日本の大企業が「スタートアップ的手法を取り入れよう」と号令をかけるケースが増えているが、スタートアップの本質を正しく理解しないまま形だけを模倣している企業が大半である。スタートアップとは単に「新しい事業」や「小さな会社」のことではない。
革新性の高いビジネスモデルで急成長を目指し、 投資家からのリスクマネー で成長を加速させ、最終的に IPOやM&Aによるエグジット を前提とする特殊な企業形態である。この定義を曖昧にしたまま社内で「スタートアップ的に」と言っても、組織は混乱するだけである。
20件採択・ゼロ件成功に終わった社内制度
ある大手メーカーが「社内スタートアップ制度」を立ち上げ、年間20件の事業アイデアを採択した。しかし3年後、 1件もIPOレベルの成長を遂げた事業はなかった。
原因は複合的であった。起案者は「スタートアップ」と言いながら既存事業の延長のようなアイデアが多く、投資判断は既存事業のROI基準で行われ、人事異動のサイクルで2年ごとにリーダーが交代した。スタートアップの名を借りた「社内プロジェクト」でしかなかったのである。
本当に急成長を目指すなら、 評価制度、報酬体系、意思決定プロセス のすべてをスタートアップに合わせる覚悟が必要である。
スタートアップ手法を正しく活用する3原則
大企業がスタートアップ的手法を正しく活用するには、以下の3つのポイントを押さえる必要がある。1. スタートアップとスモールビジネスを明確に区別する。急成長を前提とする事業と安定収益を目指す事業では、必要な支援も評価基準も全く異なる。すべての新規事業を「スタートアップ」と呼ぶことをやめ、事業の性質に応じた分類を行う。
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リスクマネーの論理を理解する。スタートアップ型の事業には、 10件中9件が失敗しても1件の大成功 で全体のリターンを得るポートフォリオ思考が不可欠である。個別事業の成否ではなく、ポートフォリオ全体で評価する仕組みを構築する。
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エグジット戦略を事前に設計する。社内で育て続けるのか、スピンオフするのか、外部に売却するのか、出口を想定しておくことで、事業の方向性が明確になる。
新規事業を3類型に分類し評価基準を見直す
明日から始められるアクションとして、まず自社の「新規事業」と呼ばれている案件を 「スタートアップ型」「スモールビジネス型」「既存事業拡張型」の3つに分類 し直すことを勧める。
それぞれに適切な評価基準とマイルストーンを設定する。スタートアップ型には、売上ではなく 「仮説検証の進捗」「PMFの達成度」「スケール準備状況」を指標として設定する。この分類だけでも、社内の議論の質は大幅に改善される。
新規事業開発・CVC・社内起業に関わる人向け
スタートアップの正しい理解が特に重要なのは、新規事業開発部門の責任者と、CVCや社内ベンチャー制度を運営する経営企画部門の担当者である。
外部スタートアップとの協業(オープンイノベーション)を推進する立場の人にとっても、スタートアップの成長ステージやエグジットの論理を理解することは、適切なパートナーシップ設計の前提となる。また、社内起業制度に応募を検討している個人にとっても、自分が目指しているのがスタートアップなのかスモールビジネスなのかを自覚することは極めて重要である。
不確実性の中で急成長を追求する覚悟を持つ
まずベンチャーやスモールビジネスとの違いを整理し、自社の新規事業がどのカテゴリーに属するかを明確にしてほしい。スタートアップ型の事業であれば、Jカーブの谷を乗り越える覚悟と資金計画が必要であり、エンジェル・ステージから段階的に成長していく道筋を設計することが求められる。スタートアップの本質は「不確実性の中で急成長を追求する」ことにある。
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