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制度・プログラム事例

Rx+ Story(EIR)

アステラス製薬
客員起業家(EIR) 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
アステラス製薬
種別
客員起業家(EIR)
状態
運営中
主な成果
Fit-eNce , DIGITIVA
公式サイト
www.astellas.com/jp/rxplus

History & Evolution

2018

「Rx+」事業創設

中期経営計画にて、医療用医薬品(Rx)に次ぐ柱として戦略目標に設定。

2019

「Fit-eNce Home」開始

バンダイナムコとの協業による運動支援サービス。ゲーミフィケーションを活用。

2020

米Iota Biosciences買収

極小医療機器(バイオエレクトロニクス)の技術を獲得し、身体深部のモニタリングへ。

2024

「DIGITIVA」FDA登録

心不全管理のデジタルヘルスソリューションが米国で医療機器として登録。

概要

Rx+ Story(アールエックスプラス)は、アステラス製薬が2018年に「経営計画2018」で掲げた戦略的事業領域である。 従来の「医療用医薬品(Rx)」のビジネスモデルだけでは解決できない患者の課題(Patient Journey)に対し、デジタル技術や医療機器を組み合わせて解決策を提供する。単なるCSRや実験的な取り組みではなく、独立した収益事業(SBU)として経営資源を投下している点が特徴だ。

詳細

Rx+は、製薬企業が「薬を作る会社」から「科学的根拠に基づいて価値を提供する会社」へと脱皮するための壮大な挑戦である。

「DIGITIVA」:FDAが認めたデジタル治療

Rx+の真骨頂と言えるのが、心不全患者向けの管理ソリューション「DIGITIVA」である。 これは単なる健康管理アプリではない。医療機器としての要件を満たすよう厳格に設計・検証され、2024年に米国FDA(食品医薬品局)のClass II医療機器として登録(Listing)された。 「薬を飲むだけ」では防げない心不全の増悪を、デジタル技術によるモニタリングと介入で防ぐ。この「医療グレード」の信頼性こそが、テック企業発のヘルスケアアプリとは一線を画すアステラスの強みである。

「FIT-eNce Home」:エンタメ × リハビリ

バンダイナムコエンターテインメントと共同開発した「FIT-eNce Home(フィットエンス ホーム)」は、運動支援サービスである。 運動療法が必要な患者にとって、継続は最大の課題だ。そこでアステラスは、「楽しませるプロ」であるバンダイナムコと手を組んだ。ゲームの要素(ゲーミフィケーション)を取り入れることで、「やらなきゃいけない運動」を「やりたくなる運動」へと変えた。これは、製薬会社単独では決して生まれなかった発想である。

組織としての「Rx+」

アステラスは「Rx+事業創出部」などの専門組織を立ち上げ、社内だけでなく、EIR(客員起業家)のような外部人材も積極的に登用している。 製薬業界は規制産業ゆえに保守的になりがちだが、Rx+ではスタートアップのようなスピード感と、製薬企業ならではのエビデンス重視の姿勢をハイブリッドさせている。

学べること

  • 「コアコンピタンス」の再定義: アステラスは自社を「薬を作る会社」ではなく「科学に基づいて健康価値を提供する会社」と再定義した。自社の提供価値を再定義することが、飛び地への進出を可能にする。
  • 「信頼」という参入障壁: 規制の壁が高い医療業界において、製薬会社が持つ「規制対応力」と「医師からの信頼」は、IT企業が容易に模倣できない強力な参入障壁(Moat)となる。
  • Patient Journey全体を見る: 診断・治療(点)だけでなく、予防や予後管理(線)まで視野を広げることで、既存事業の周辺に無数のビジネスチャンスが見えてくる。

関連リンク

成功の鍵

1

「科学的根拠(エビデンス)」への執着

デジタルヘルス領域には怪しい健康器具も多いが、アステラスは製薬会社として培った厳格な科学的アプローチを崩さない。アプリ一つ開発するにも臨床試験に近い検証を行い、FDA(米国食品医薬品局)などの規制当局の承認を目指す。これが医療現場での採用における最大の差別化要因となる。

2

「異業種」との積極的な共創

製薬会社の強み(生物学、規制対応)と、異業種の強み(エレクトロニクス、エンタメ)を掛け合わせている。例えば、バンダイナムコとの協業では、辛いリハビリにゲームの要素を取り入れることで、患者の継続率を高めることに成功した。

3

Rx部門からの「独立性」

Rx部門(医薬品)の付随サービスとしてではなく、独立した収益責任を持つ事業(SBU)として組織化されている。「薬が売れたか」ではなく、「患者のアウトカム(健康状態)が改善したか」を指標に置くことで、薬を使わないソリューションも正当に評価される。

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