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事業事例

クリアフォレスト ― エステーが森林科学から生んだ空気浄化テクノロジー

エステー株式会社
空気浄化 / 環境テック #環境 #研究開発 #産学連携 #素材・技術ブランド
事業・会社概要
事業会社
エステー株式会社
業界
空気浄化 / 環境テック
開始年
2011年
本社
東京都新宿区
サービスサイト
clear-forest.st-c.co.jp
コーポレートサイト
www.st-c.co.jp

History & Evolution

2011

クリアフォレスト事業展開開始

トドマツ由来の機能性樹木抽出成分を活用した事業展開を開始

2014

農林水産大臣賞受賞

森林総合研究所と日本かおり研究所が産学官連携功労者表彰で農林水産大臣賞を受賞

2018

業務用市場に本格参入

他企業との共同開発により業務用市場への本格的な参入を開始

2022

北海道でトドマツ育成協定

「エステークリアフォレストの森」と命名し、ほっかいどう企業の森林づくり協定を締結

課題・背景

室内の空気環境への関心は年々高まっている。シックハウス症候群やPM2.5、花粉症の増加に伴い、 空気清浄機や消臭剤の市場は拡大を続けていた 。しかし既存製品の多くは化学的なアプローチに依存しており、自然由来の素材で空気を浄化するという発想は産業レベルでは確立されていなかった。

一方、 北海道の森林にはトドマツが広く自生するが、間伐で発生する枝葉は廃棄されることが大半 であった。林業の収益性低下が進む中、未利用資源の有効活用は地域課題でもあった。

取り組みの経緯

エステーグループの 日本かおり研究所 は、国立研究開発法人 森林研究・整備機構(森林総合研究所)との共同研究を通じて、 森林が持つ空気の自浄作用のメカニズム を解明した。木々が放出する香り成分がNO2(二酸化窒素)などの大気汚染物質に結びつき、地面に落下させることで空気を浄化するという自然現象である。

この発見を起点に、トドマツの枝葉から 空気浄化作用に優れる「機能性樹木抽出成分」 の抽出・精製技術を開発。2011年から事業展開を開始し、 「クリアフォレスト」を成分・技術ブランド として定義した。2014年には産学官連携功労者表彰で 農林水産大臣賞 を受賞し、技術の革新性が公的に認められた。

「トドマツの枝葉を利用した空気浄化剤開発で農林水産大臣賞を受賞」

――エステー ニュースリリース

サービス概要

クリアフォレストは最終製品のブランドではなく、 「機能性樹木抽出成分」を活用する製品群の共通技術ブランド として位置づけられている。エステー自社製品のみならず、他企業との共同開発による多様な製品展開を前提とした戦略である。

抽出成分から得られる効果は多岐にわたる。 大気汚染低減、抗酸化機能、消臭効果、森林浴効果、花粉アレルギーの低減 などが確認されている。2018年にはエアフィルターメーカーなど他企業との共同開発により、業務用市場への本格参入を開始した。

原材料となるトドマツは北海道産の間伐材を使用しており、2022年には北海道釧路総合振興局および株式会社北都と協定を締結。 「エステークリアフォレストの森」 と命名したトドマツの育成林を確保し、持続可能な原材料調達体制を構築している。

成果と現状

クリアフォレスト事業は10年以上にわたり展開が続いている。農林水産大臣賞の受賞、業務用市場への参入、北海道での森林育成協定など、 事業の範囲は消費者向け製品から産業用途、さらには地域林業の活性化へと広がっている

エステーが芳香剤・消臭剤メーカーとして培ってきた「香り」の知見と、森林科学の基礎研究が融合した点で、 コア事業の延長線上にある新規事業としてのシナジー が明確である。技術ブランドとして他企業にもライセンス展開する戦略は、自社の製品ラインに留まらない市場拡大を可能にしている。

この事例から学べること

第一に、基礎研究発の新規事業は「発見」から「事業化」まで長い時間軸を要するが、参入障壁が高いという点である。 自然現象の科学的解明に基づく技術は容易に模倣できず、特許と研究実績が競争優位の源泉となる。

第二に、「成分・技術ブランド」という戦略の有効性である。 最終製品ではなく技術そのものをブランド化することで、自社製品に限らず他企業との共同開発を通じた横展開が可能になる。IntelのIntel Insideモデルに通じる「BtoB技術ブランディング」である。

第三に、新規事業が地域課題の解決と両立しうることを示した点である。 未利用だったトドマツの間伐材を原材料とし、森林育成協定まで結ぶことで、事業の持続性と社会的正当性の双方を担保している。

関連項目

成功の鍵

1

自然界のメカニズムの産業応用

森林が持つ空気の自浄作用という自然現象を科学的に解明し、産業利用可能な技術に転換した

2

成分・技術ブランド戦略

最終製品ではなく「成分・技術ブランド」として定義し、複数企業との共同開発で市場を横展開した

3

持続可能な原材料調達

間伐材として未利用だったトドマツの枝葉を活用し、地域林業の活性化にも貢献する循環型モデルを構築

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