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事業事例

co-necto ― 凸版印刷が福岡から仕掛けた「実証型」オープンイノベーション

印刷 / 情報コミュニケーション #オープンイノベーション #共創プログラム #福岡 #実証実験 #印刷
事業・会社概要
事業会社
凸版印刷
業界
印刷 / 情報コミュニケーション
開始年
2017年
代表者
坂田 卓也
サービスサイト
toppan-conecto.com

History & Evolution

2017

co-nectoプログラム開始

福岡を拠点に、スタートアップとの新事業共創プログラムを公募形式で開始。

2018

西日本エリアに拡大

福岡から西日本全域へと対象エリアを拡大し、パートナー企業の参画を増やす。

2020

実証型プログラムへ転換

ビジネスコンテスト形式から、事業実証を重視するプログラムへと方針を転換。

2023

22社のパートナー企業・11テーマに拡大

ジェネレーティブAI、ディープテック等の新テーマを追加し、プログラムを大幅拡充。

2024

98社エントリー

2024年度は98社のスタートアップがエントリーし、3件の実証実験が検討段階に。

課題・背景

印刷業界は典型的な「受注産業」である。顧客から仕様を受け取り、印刷物を納品するというビジネスモデルは、付加価値の創出に限界があった。デジタルシフトの進展に伴い紙媒体の需要が縮小する中、凸版印刷は 自ら市場を創造する力 を獲得する必要に迫られていた。

多くの大企業がオープンイノベーションを掲げてスタートアップとの連携を模索していたが、その多くは ビジネスコンテストやピッチイベント にとどまっていた。華やかなイベントの後、実際の事業化に至るケースは極めて少ないという課題が業界全体で共有されていた。

取り組みの経緯

2017年、凸版印刷の九州事業部は福岡を拠点に新事業共創プログラム 「co-necto」 を立ち上げた。中心人物は坂田卓也氏である。福岡を選んだ理由は明確であった。当時、福岡市は国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」として スタートアップ支援に注力 しており、官民共働型支援施設「Fukuoka Growth Next」が凸版印刷の九州事業部オフィスから約10分の距離に開設されていた。

福岡には行政主導のスタートアップ支援が充実し、東京とは異なるエコシステムが形成されていた。凸版印刷にとって、 本社から離れた場所で新しい挑戦を始める という選択は戦略的に合理的であった。

「凸版印刷の九州事業部オフィスから約10分の距離に、官民共働型スタートアップ支援施設『Fukuoka Growth Next』が出来た」

――印刷会社が、新規事業を”福岡”で始めたワケ(Sony Acceleration Platform)

当初はビジネスコンテスト形式で運営していたが、 事業化やスタートアップとの実質的な連携に繋がりにくい という課題に直面した。この反省を踏まえ、2020年頃から実証型のプログラムへと大きく舵を切った。

サービス概要

co-nectoの最大の特徴は、 凸版印刷×パートナー企業×スタートアップ の3者で共創する「三位一体」のモデルである。一般的なアクセラレーターが「大企業とスタートアップの二者間連携」であるのに対し、co-nectoは業界の異なるパートナー企業を加えることで、 より実践的な事業フィールド を提供する。

プログラムには出資機能はなく、資金面ではなく 「事業実証」 として事業面からスタートアップを支援する。具体的には、実証フィールドの提供と実証実験費用の一部支援(1社平均約 200万円 )を行う。スタートアップにとっては、大企業の現場で自社の技術やサービスを試せるという、資金以上に価値のある機会となっている。

成果と現状

co-nectoは2017年の開始以降、着実に規模を拡大してきた。2023年度には 22社のパートナー企業 が参画し、ジェネレーティブAI、ディープテック、都市空間など 11のテーマ が設定された。2024年度には 98社 のスタートアップがエントリーし、3件の実証実験が検討段階にある。

「co-necto自体に出資機能はなく、資金面ではなく、事業実証として事業面からスタートアップ企業をサポートする」

――「受注産業」からの脱却を目指す凸版印刷のスタートアップ協業とは(起業ログ)

実証実験を通じて、キャッシュフローリノベーション社によるセンサーやカメラを活用した人流・作業の見える化ソリューションが凸版印刷の古賀工場内で実証され、製造業・物流業における課題解決への貢献が確認されている。プログラム名の「co-necto」は「connect(繋ぐ)」に由来し、印刷会社が持つ多業種との接点を新事業の種に転換するという戦略的な意図が込められている。

この事例から学べること

第一に、オープンイノベーションは「ビジコン」から「実証」へと進化する必要がある。 多くの企業がピッチイベントやコンテストを開催するが、イベント後の事業化率は極めて低い。co-nectoは初期の失敗から学び、実証フィールドと費用を提供する実践的なプログラムに転換した。 「アイデアの選別」から「事業仮説の検証」 へと重心を移すことが、オープンイノベーションの実効性を高める鍵である。

第二に、「3者共創」は二者間連携の限界を超える手法である。 大企業とスタートアップの二者間連携では、大企業側のニーズとスタートアップの技術のミスマッチが起きやすい。パートナー企業という「第三者」を加えることで、実際の市場ニーズに即した事業開発が可能になる。印刷会社が持つ 多業種との接点 という資産を、共創プログラムに昇華させた点は、他業界にも応用可能な知見である。

第三に、東京以外の都市にオープンイノベーションの拠点を置くことの合理性を示している。 福岡は行政のスタートアップ支援が充実し、物理的にも心理的にも東京とは異なるエコシステムが存在する。 「地方だからこそできる実験」 という発想が、凸版印刷のco-nectoを差別化する要因となった。

関連項目

成功の鍵

1

3者共創モデル

凸版印刷×パートナー企業×スタートアップの3者で共創する仕組みが、単なるアクセラレーターとは異なる実践的な事業開発を可能にした。

2

ビジコンから実証型への転換

当初のビジネスコンテスト形式では事業化に繋がりにくいという課題を認識し、実証フィールドと費用を提供する実践的なプログラムに改革した。

3

福岡という「実験場」の選択

国家戦略特区として行政がスタートアップ支援に注力する福岡を拠点にすることで、東京とは異なるエコシステムの力を活用した。

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