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事業会社

三菱電機

Mitsubishi Electric Corporation

1921年創業の総合電機メーカー。ビジネスイノベーション本部を核に、MEイノベーションファンドやステージゲート制度を活用した新事業創出を推進する。

企業概要
企業名
三菱電機
業種
総合電機 / 重電 / FA / 宇宙 / ビル
所在地
東京都千代田区
創業
1921年
公式サイト
www.mitsubishielectric.co.jp

新規事業の歴史

History & Evolution

1921

三菱造船から独立、三菱電機設立

三菱造船(現・三菱重工業)神戸造船所の電機製作所を母体に独立。変圧器、電動機、扇風機等の製造を開始。

2020

ビジネスイノベーション本部 新設

事業部門が取り組みにくい領域の新事業創出とオープンイノベーション推進を専門に扱う本部を設立。

2022

MEイノベーションファンド設立

グローバル・ブレイン社と共同で運用総額50億円のCVCファンドを立ち上げ。DXとグリーンイノベーション領域に投資。

2022

ステージゲート制度導入

新事業を段階的に評価し育成する仕組みを導入。事業化までのプロセスを体系化。

【歴史】三菱造船から独立した総合電機メーカーの100年

三菱電機は1921年、三菱造船(現・三菱重工業)の神戸造船所電機製作所を母体として設立された。 変圧器や電動機の製造 からスタートし、戦後は家電、重電、産業用メカトロニクス、情報通信、宇宙と事業領域を拡大。日本を代表する総合電機メーカーへと成長した。

創業100年を超える同社は、 FA(ファクトリーオートメーション)やビルシステム、鉄道車両用機器 で世界的な存在感を持つ。人工衛星の製造実績は国内トップクラスであり、防衛・宇宙分野でも重要な位置を占める。

2021年6月に品質不正問題が発覚し、経営改革が急務となった。漆間啓社長のもとで「信頼回復と成長」を掲げ、 ガバナンス改革と新事業創出の両輪 で再出発を図っている。

【戦略】ビジネスイノベーション本部が挑む「組み合わせ型」新事業

三菱電機の新規事業戦略の核は、2020年に新設された ビジネスイノベーション本部 である。この本部は「事業部門が取り組みにくい領域の新事業創出」と「スタートアップとのオープンイノベーション推進」の2つを柱に据える。

既存の12事業本部は既存事業の深化に注力する一方、ビジネスイノベーション本部は 事業部門の境界を越えたテーマ を発掘する。三菱電機が持つFA技術、空調技術、通信技術といった多様な技術資産を「組み合わせる」ことで、単独の事業部では生まれにくい新事業を創出する狙いがある。

「全社を巻き込みチャレンジする三菱電機の新事業創出」

――三菱電機 Biz Timeline

ステージゲート制度

2022年に導入された ステージゲート制度 は、新事業を段階的に評価し育成する仕組みである。各ゲートで事業性を厳格に審査し、基準に達しないプロジェクトは撤退またはピボットを求められる。ソニーのSSAPが「市場の反応」を判断基準とするのに対し、三菱電機のステージゲートは 技術的実現性と事業部との連携可能性 にも重きを置く点が特徴である。

MEイノベーションファンド

2022年1月、三菱電機はグローバル・ブレイン社と共同で 運用総額50億円 のCVCファンド「MEイノベーションファンド」を設立した。投資対象は「DX」と「グリーンイノベーション」の2領域で、日本・アジア・北米を中心に革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップへ投資する。運用期間は10年、数十社への投資を計画している。

2024年11月時点で 9社への投資が完了 しており、複数のVCファンドへの出資を通じてスタートアップ探索機能の強化も進めている。

【事例】AI配筋検査システム — ボトムアップ型新事業の成功例

ビジネスイノベーション本部から生まれた代表的な成果のひとつが、建設事業者向けの 「AI配筋検査システム」 である。2021年にサービス提供を開始し、鉄筋コンクリート構造物の配筋検査をAI画像認識で自動化した。

従来は目視と手作業で行われていた配筋検査を、 撮影画像からAIが自動判定 する仕組みに転換。検査時間の大幅短縮と品質の安定化を実現した。2023年には、連携先の三菱電機エンジニアリングがサービス全体を引き継ぎ、事業として独立運営されている。

この事例は、三菱電機のビジネスイノベーション本部が 事業化の種を育て、グループ会社に移管して事業拡大 させるモデルを体現している。

【成功と失敗】信頼回復と成長の両立

三菱電機の新規事業推進には、2021年に表面化した 品質不正問題 の影が大きい。長期にわたる検査データの改ざんが発覚し、社会的信頼は大きく損なわれた。

この危機は逆説的に、 組織文化の変革を加速させる契機 ともなった。トップダウンの管理強化だけでなく、ボトムアップ型の新事業創出を通じて「挑戦する文化」を根付かせる取り組みが進んでいる。ビジネスイノベーション本部の設立やMEイノベーションファンドの立ち上げは、信頼回復と成長を同時に実現するための布石である。

成功要因は、技術資産の「組み合わせ」にある。 FA、空調、通信、宇宙など多様な事業を持つ三菱電機は、異なる技術の掛け合わせで他社にない価値を生み出せるポテンシャルがある。課題は、事業部間のサイロを超えた連携を実際にどこまで実現できるかである。

【展望】デジタルとグリーンの交差点

三菱電機は2025年の経営戦略において、 DXとサステナビリティの融合 を成長の軸に据えている。MEイノベーションファンドの投資領域である「DX」と「グリーンイノベーション」は、まさにこの方向性を体現している。

工場の自動化(FA)と脱炭素技術を組み合わせた「グリーンファクトリー」構想、ビルのエネルギー管理とAIの融合による「スマートビル」事業など、既存の技術基盤を活かした新事業の種は豊富にある。ビジネスイノベーション本部がこれらの種をどこまで事業として開花させられるか。 100年企業の次の100年 を左右する挑戦が続く。

関連項目

成功の鍵

1

ビジネスイノベーション本部(ボトムアップ型新事業創出)

事業部門が取り組みにくいテーマを発掘し、ステージゲート制度で段階評価。AI配筋検査システムなどの成果を創出。

2

MEイノベーションファンド(CVC)

グローバル・ブレイン社と共同運営の50億円ファンド。国内外のスタートアップに投資し、DXとグリーンイノベーション領域でシナジーを追求。

3

オープンイノベーション推進

複数のVCファンドへの出資やスタートアップ連携を通じ、外部の革新的技術を取り込む。ソニーのSSAPとも協業実績がある。

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