MOONRAKERS TECHNOLOGIES
MOONRAKERS TECHNOLOGIES, Inc.
東レ発のD2Cアパレルスタートアップ。「出向起業」制度を活用してスピンオフし、最新の先端素材技術を用いた超高機能な日常着を提供する。日本新規事業大賞を受賞するなど高く評価されている。
企業概要
- 企業名
- MOONRAKERS TECHNOLOGIES
- 業種
- アパレル・D2C・素材テクノロジー
- 所在地
- 東京都中央区
- 創業
- 2023年
- 公式サイト
- moonrakers.jp
新規事業の歴史
History & Evolution
東レ社内で事業構想
西田誠氏が東レの先端素材をBtoCで届けるD2Cアパレル事業を構想。
出向起業制度で独立準備
経済産業省の「出向起業」制度を活用し、在籍のまま起業準備を開始。
MOONRAKERS TECHNOLOGIES設立
東レからスピンオフし、D2Cアパレルスタートアップとして法人化。
D2Cブランド「MOONRAKERS」発売
先端素材を活用した超高機能日常着の販売を開始。
日本新規事業大賞受賞
素材メーカー発BtoCブランドという革新的モデルが高く評価され受賞。
概要:東レの先端素材技術を纏うD2Cアパレル
MOONRAKERS TECHNOLOGIES(ムーンレイカーズ・テクノロジーズ)は、東レ発のD2Cアパレルスタートアップである。世界トップクラスの素材メーカーが持つ先端繊維技術を、日常着として消費者に直接届けるというビジネスモデルで、素材産業のBtoC転換に挑戦している。
「東レには世界最高の素材技術がある。でも、その技術がどれだけ優れているかを、エンドユーザーは知らない。素材の力を”着る体験”として届けたい。それがMOONRAKERSの使命だ」
代表の西田誠氏は、東レで素材開発に携わる中で、「世界最先端の素材が消費者に届いていない」というギャップに問題意識を持ち、経済産業省の「出向起業」制度を活用して2023年に起業した。
誕生の経緯:「出向起業」が可能にした素材メーカーのBtoC挑戦
東レは炭素繊維やナイロン繊維で世界シェアトップクラスを誇るグローバル素材メーカーだが、その事業構造は典型的なBtoBモデルである。素材がアパレルブランドを経て消費者に届くまでには複数の中間業者が介在し、東レの技術力がエンドユーザーに認知されることは少なかった。
西田氏は、この課題を解決するためにD2C(Direct to Consumer)モデルでのアパレル事業を構想した。しかし、素材メーカーである東レが直接消費者向けブランドを展開することは、既存の取引先とのチャネルコンフリクトを生む恐れがあった。
この課題を解決したのが、経済産業省が推進する**「出向起業」制度である。社員が在籍したまま新会社を設立し、親会社に出向する形で起業するスキームだ。西田氏はこの制度を活用し、東レとの関係を維持しながらも独立した意思決定が可能な事業体**としてMOONRAKERS TECHNOLOGIESを設立した。
製品の強み:「着る先端技術」というコンセプト
MOONRAKERSの製品は、東レの先端素材技術を惜しみなく投入した超高機能な日常着である。防水・透湿・軽量・ストレッチ・温度調節など、通常はアウトドアウェアやスポーツウェアにしか使用されない高機能素材を、都市生活者の日常着として再設計している。
「宇宙服に使われるような素材が、普段着として街で着られる。それはSFではなく、東レの技術があれば今すぐ実現できることだった」
D2Cモデルにより中間マージンを排除し、高機能素材を適正価格で提供できるのも大きな強みだ。クラウドファンディングでの初回販売では目標を大幅に超える支援を集め、先端素材 × D2Cという新しいマーケットの可能性を証明した。
受賞歴と評価:日本新規事業大賞
MOONRAKERS TECHNOLOGIESは、その革新性とビジネスモデルの独自性が高く評価され、日本新規事業大賞を受賞している。素材メーカーがスピンアウトしてBtoCブランドを立ち上げるという前例のない挑戦が、大企業のコーポレートベンチャーの新たなロールモデルとして注目を集めた。
「出向起業」制度の活用事例としても、経済産業省から高く評価されており、大企業の技術資産を社会価値に転換する新しいスピンアウトの形として、他の素材メーカーや製造業企業にも影響を与えている。
「出向起業」制度:大企業人材の起業ハードルを下げる仕組み
MOONRAKERSが活用した**「出向起業」は、経済産業省が推進する制度で、大企業の社員が在籍したまま新会社の代表として起業**できる。起業に伴う「退職リスク」を排除することで、優れた技術や知見を持つ大企業人材の起業を促進する狙いがある。
西田氏にとって、この制度は東レの素材調達ネットワークへのアクセスを維持しながら、スタートアップとしてのスピードある意思決定を両立させる鍵となった。親会社の技術ライセンスや調達ルートを活用しつつ、ブランド構築やマーケティングは独自の判断で迅速に展開できる。「大企業の資産」と「スタートアップの自由」を制度設計で両立させた好例である。
戦略的意義:BtoBの巨人がBtoCに挑む意味
MOONRAKERSの挑戦は、日本のものづくり企業が抱える**「技術は一流だが、消費者に届かない」**という構造的課題への解答である。東レに限らず、日本には世界トップクラスの技術を持ちながら、BtoBの商流に閉じ込められている企業が数多く存在する。
スピンアウトという形態を取ることで、親会社の既存取引先との軋轢を回避しつつ、素材メーカーの技術的優位性を消費者に直接訴求できる。このモデルが成功すれば、日本の素材・部品メーカーにとって新たな成長戦略の選択肢となりうる。
「素材メーカーは長年、“黒子”として産業を支えてきた。しかし、消費者が素材の価値を実感できる時代が来ている。MOONRAKERSは、黒子が主役になれることの証明だ」
今後の展望
MOONRAKERS TECHNOLOGIESは、アパレルを起点に**「先端素材が日常に溶け込む社会」**の実現を目指している。衣服だけでなく、生活用品やインテリアなど、素材技術が価値を発揮するあらゆる領域への展開が構想されている。「出向起業」という新しいスキームで誕生した本企業は、大企業の技術資産を消費者価値に転換するイノベーションモデルの先駆けとなっている。
関連項目
成功の鍵
先端素材の民主化
東レの世界トップクラスの繊維技術を日常着として消費者に直接届ける。
出向起業モデル
東レに在籍したまま起業し、素材調達ネットワークと経営自由を両立。
超高機能日常着
防水・透湿・軽量など高機能素材をデザイン性の高い都市生活着に。
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