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用語集

チャーンレート

チャーンレート(Churn Rate / 離脱率) とは、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標である。月初の顧客数に対する当月の解約顧客数の比率として算出され、SaaSやサブスクリプション型ビジネスにおける最重要KPIの一つである。

チャーンレートはLTV(顧客生涯価値)に直結し、月次チャーンレートが1%異なるだけで年間収益に大きな差が生じる。以下では、チャーンレートの適正水準、改善のためのアプローチ、解約予兆の検知方法について解説する。


顧客を獲得しても事業が成長しない理由

SaaSやサブスクリプション型の新規事業において、新規顧客の獲得に成功しても事業が成長しないという問題がしばしば発生する。毎月新たに 100社の契約を獲得 しているのに、顧客総数が伸びない。原因は、 獲得と同じスピードで既存顧客が解約 しているからである。いわゆる「穴の空いたバケツ」状態だ。

チャーンレートが高い状態で新規獲得に投資を続けても、CACが嵩むだけで事業は一向にスケールしない。チャーンレートはLTVに直結する指標であり、 月次チャーンレートが1%違う だけで年間の収益に 数千万円規模の差 が生じることもある。この指標を軽視した新規事業は、成長の限界に早期に直面する。

月次8%のチャーンが意味する厳しい現実

多くのSaaS型新規事業が、チャーンレートの怖さを身をもって経験している。ある大企業発のHR Techサービスは、ローンチ後6か月で200社の導入に成功した。チームは順調な滑り出しに沸いていた。

しかし7か月目に月次チャーンレートを初めて計算したところ、 8% という数字が判明した。月8%のチャーンとは、 年間で約65%の顧客が離脱 する計算である。200社中130社が1年以内にいなくなる。新規獲得のペースを維持しても、12か月後の顧客総数はほぼ横ばいという厳しい現実に直面した。チャーンレートの計測を後回しにしていたことが、問題の発見を遅らせた根本原因であった。

解約率を改善する3つのアプローチ

チャーンレートを改善するためには、3つのアプローチが有効である。第一に、解約理由の徹底分析を行う。解約した顧客全員にヒアリングを実施し、「なぜ解約したのか」を定性的・定量的に把握する。多くの場合、機能不足、オンボーディングの失敗、利用定着の低さなど、パターンが見えてくる。第二に、 解約の予兆を検知する仕組み を構築する。ログイン頻度の低下、主要機能の未利用など、解約前の行動パターンをデータから特定し、早期にフォローを入れる。第三に、カスタマーサクセスの体制を構築し、顧客の成功に能動的にコミットする。受動的なサポートではなく、顧客の成果創出を支援する攻めの活動が不可欠である。

月次チャーンレートを6か月分遡って算出する

チャーンレート改善に向けて、まず現在の月次チャーンレートを正確に算出することから始めよう。月初の顧客数に対する当月解約数の割合を、最低6か月分遡って算出する。次に、解約した顧客のリストを作成し、共通する特徴(業種、企業規模、導入時期、利用頻度など)を分析する。

チャーンレートの目標値は、B2B SaaSであれば 月次1〜2%、年次で10〜20% が一般的な基準である。この水準を大きく超えている場合は、新規獲得への投資を一旦抑え、既存顧客の維持に注力する判断も必要である。

チャーンレート管理が生命線となる事業

チャーンレートの管理が特に重要なのは、次のような事業・人物である。サブスクリプション型やSaaS型のビジネスモデルを採用している新規事業。月次の売上は伸びているが、純増数(新規獲得数−解約数)が鈍化してきている事業。ユニットエコノミクスの成立を確認したい事業責任者。また、CACの回収期間が長い( 12か月以上 の)事業では、チャーンレートの管理は 事業存続の生命線 であり、毎月の経営指標として最優先でモニタリングすべき数値である。

解約顧客へのヒアリングから始めよう

今すぐ取り組むべきアクションは、チャーンレートの計測の仕組み化である。顧客管理ツールやBIツールを使い、月次チャーンレートが自動で算出されるダッシュボードを構築しよう。次に、直近3か月以内に解約した顧客5社にヒアリングを実施し、解約理由のパターンを把握する。

解約理由が明確になったら、その原因に対する改善策を優先度順に実行する。チャーンレートの改善はLTVの向上に直結し、ユニットエコノミクスの改善、ひいてはグロースの加速につながる。まずは数字を見える化することが、すべての始まりである。

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