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用語集

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)

CVC(Corporate Venture Capital / コーポレートベンチャーキャピタル) とは、事業会社が戦略的目的でスタートアップに投資を行うベンチャーキャピタル活動のことである。財務リターンの追求に加え、新技術へのアクセス、新市場の探索、将来のM&A候補の発掘など、自社の事業戦略と連動した投資を行う点が独立系VCとの大きな違いである。

日本ではKDDI、ソフトバンク、NTTデータ、ソニーなど大手企業がCVCを運営し、オープンイノベーションの重要な手段として位置づけている。以下では、CVCの成功要因、事業部門との連携設計、アクセラレータープログラムとの組み合わせについて解説する。


自前主義の限界と外部連携の難しさ

大企業が自社のR&Dだけでイノベーションを実現することが年々困難になっている。 技術の進化速度は加速 し、新たなビジネスモデルは異業種から突然現れる。自前主義では、市場の変化に追いつけないどころか、 次の成長領域を見落とすリスク がある。

一方で、スタートアップへの投資や協業を試みても、事業会社とスタートアップの間には 文化、スピード感、意思決定プロセスの大きなギャップ がある。独立系VCのように財務リターンだけを追求するわけにもいかず、戦略的なシナジーをどう生み出すかという固有の課題に直面する。この「自前主義の限界」と「外部連携の難しさ」の狭間で、多くの大企業が立ちすくんでいる。

投資15社でシナジーわずか2件の苦戦

多くの大企業がCVC活動を始めたものの、期待した成果を得られずに苦戦している。ある大手商社は、 年間30億円の投資枠 でCVCを設立した。3年間で15社に出資したが、本業との シナジー案件はわずか2件 に留まった。投資先の選定が「財務リターン重視」に偏り、 事業部門との連携がほとんど設計されていなかった ためである。

別の大手メーカーでは、 投資委員会の承認に3か月 かかる間に有望なスタートアップが他社からの出資を受け入れてしまい、投資機会を逸するケースが頻発した。事業会社ならではの 意思決定スピードの問題 は、CVC運営における普遍的な課題である。

CVCを成功に導く3つの不可欠な要素

CVCを成功に導くためには、3つの要素が不可欠である。第一に、投資の目的を 「財務リターン」と「戦略的リターン」の両面 で明確に定義する。新技術へのアクセス、新市場の探索、将来のM&A候補の発掘など、自社が求める戦略的価値を投資基準に組み込む。

第二に、 事業部門との連携の仕組みを制度化 する。投資先と事業部門のマッチング、PoC(実証実験)の予算確保、協業成果の評価方法を事前に設計しておく。

第三に、 意思決定のスピードを確保するための権限設計 を行う。一定金額以下の投資判断はCVC責任者に権限委譲し、スタートアップのスピード感に対応できる体制を構築する。

オープンイノベーション戦略の中で位置づける

CVCの立ち上げや改善に向けて、まず自社のオープンイノベーション戦略全体の中でCVCをどう位置づけるかを整理することから始めよう。アクセラレータープログラムとの連携も重要な論点である。

KDDIのKDDI Open Innovation Fundのように、アクセラレーターで発掘したスタートアップにCVCが出資するモデルは、日本のCVC活動の先駆的な成功事例として参考になる。ソフトバンクNTTデータの事例も合わせて研究し、自社に適したモデルを設計することを推奨する。

CVC導入・強化が有効な企業の特徴

CVCの導入・強化が特に有効なのは、次のような企業・人物である。自社の事業領域に関連するスタートアップエコシステムが活発で、有望な投資先が存在する業界にいる企業。M&Aの実行力はあるが、初期段階のスタートアップとの接点が不足している企業。新規事業の種を社内だけでなく社外にも求めたいと考えている経営層。

また、CVCの投資担当者やファンドマネージャーとして、独立系VCとは異なる事業会社CVCの価値提案を理解し、投資先との関係構築を行う必要がある人にとっても、CVCの本質的な理解は不可欠である。

投資案件を財務・戦略の両面で棚卸しする

CVCに関わるアクションを起こそう。まだCVCを持っていない企業は、投資活動の前段階として、 スタートアップイベントへの参加 や業界特化型のコミュニティへの加入を通じて、スタートアップとの接点を増やすことから始める。既にCVCを運営している企業は、過去の投資案件を「財務リターン」と「戦略的リターン」の両面で棚卸しし、 投資戦略の精度を高めよう

社内ベンチャーとの相乗効果も検討に値する。CVCが外部から取り込んだ技術やビジネスモデルを、社内ベンチャーと連携させることで、イノベーション活動全体の成果を最大化できる。

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