Wiki by IntraStar
用語集

デジタル・トランスフォーメーション

デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation / DX) とは、デジタル技術を活用して企業の業務プロセス、ビジネスモデル、組織文化を変革することである。業務効率化を目的とする「守りのDX」と、ビジネスモデルそのものをデジタルで再構築する「攻めのDX」の2つの側面を持つ。

多くの日本企業がDXに取り組んでいるが、定義の曖昧さや守りへの偏重により、期待した成果が出ていないケースが多い。以下では、DXの本質的な定義、守りと攻めの整理方法、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)やコーポレート・トランスフォーメーション(CX)との関係性について解説する。


「DX」の定義が組織ごとにバラバラである

「DX」という言葉は日本企業で広く使われているが、その意味する内容は組織や文脈によって大きく異なる。ある部門では「紙の書類をPDFに置き換えること」をDXと呼び、別の部門では「事業モデルそのものをデジタルで再構築すること」を指す。この 定義の曖昧さ が、組織内のコミュニケーションを混乱させ、 投資判断を誤らせている

経済産業省のDXレポートが警鐘を鳴らして以降、多くの企業がDX推進室を設置したが、「守りのDX」(業務効率化)と「攻めのDX」(ビジネスモデル変革)が混在したまま推進され、結局どちらも中途半端に終わるケースが後を絶たない。

数十億円のクラウド移行が「成果が見えない」

多くの企業のDX担当者が、「DXとは結局何をすればいいのか」というジレンマに苦しんでいる。ある大手流通企業は、DX推進の一環として全社的なクラウド移行プロジェクトを実施した。 2年間で数十億円 を投じ、基幹システムのクラウド化は完了した。しかし経営層からは「 DXの成果が見えない。売上にどう貢献しているのか」と問われ、答えに窮した。

インフラの近代化は重要だが、それは「守りのDX」に過ぎない。一方で「攻めのDX」に取り組もうとしても、 デジタルネイティブな新規事業を構想できる人材 が社内にいない。この「 守りと攻めのギャップ」に多くのDX推進担当者が板挟みになっている。

「守りのDX」と「攻めのDX」を分けて整理する

DXの混乱を解消するためには、3つの整理が必要である。第一に、自社のDXを「 守りのDX」と「 攻めのDX」に明確に分類する。守りのDXは既存業務のデジタル化(FAX→メール、紙の帳票→電子化など)であり、コスト削減と効率向上が目的である。攻めのDXはビジネスモデルそのもののデジタル化やSaaS化であり、ビジネス・トランスフォーメーションと密接に関連する。

第二に、それぞれに異なるKPIと推進体制を設定する。守りと攻めを同じチームで推進すると、緊急度の高い守りに時間を取られ、攻めが後回しになる。

第三に、DXを手段として位置づけ、その先にあるトランスフォーメーションの全体像を描く。

DX活動を一覧にまとめリソース配分を確認する

DXの推進に取り組むために、まず自社のDX活動を一覧にまとめ、「守り」と「攻め」に分類することから始めよう。次に、各施策の目的、KPI、推進体制、投資額を整理し、リソース配分のバランスを確認する。

多くの企業では守りのDXに 90%以上のリソース が配分されており、攻めのDXは予算も人材も不足している。この現状を 可視化 することで、経営層との対話が進みやすくなる。攻めのDXはビジネス・トランスフォーメーションの文脈で語り、守りのDXはIT部門の近代化として整理すると、社内の共通理解が得やすい。

DX戦略を策定・実行する立場の人へ

DXの本質的な理解が特に重要なのは、次のような人・組織である。DX推進室の責任者として、全社のDX戦略を策定・実行する立場にある人。「DXをやれ」と言われたが、具体的に何をすべきか方向性が定まらない事業部門のリーダー。IT投資の優先順位を判断する必要がある経営企画部門。

中期経営計画に「DX推進」を掲げているが、進捗の測り方がわからない経営層。また、新規事業としてデジタルサービスを立ち上げたい担当者にとって、自社のDX戦略との整合性を理解しておくことは、社内での支持を得るために不可欠である。

「当社にとってのDXとは何か」を1文で定義する

DXの推進を加速させるために、具体的なアクションを起こそう。まず、自社のDXの現状を「守り」「攻め」の2軸で棚卸しするワークシートを作成する。次に、経営層とDXの定義について合意形成を行う。「当社にとってのDXとは何か」を1文で定義できる状態を目指す。

攻めのDXに着手する場合は、ビジネス・トランスフォーメーションの観点から事業構造の変革シナリオを描き、コーポレート・トランスフォーメーションの観点から組織の変革計画を策定する。 DXは目的ではなく手段である という原則を忘れず、トランスフォーメーション全体の中での位置づけを常に確認しながら進めよう。

情報の修正・追加を提案
登録して新規事業の最新情報を受け取る
NEWSLETTER

IntraStar NEWS

新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。

Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます