人物概要
板谷敏正は、 プロパティデータバンク株式会社 の代表取締役会長であり、清水建設の社内ベンチャー制度第1号として同社を設立したイントラプレナーである。不動産管理向けクラウドサービス 「@プロパティ」 を開発し、不動産テック分野の先駆者として業界のデジタル化を牽引してきた。
経歴
1989年に 清水建設株式会社 に入社し、エンジニアリング事業部門に配属された。建設業界における不動産管理の非効率性に着目し、ITを活用した不動産資産管理の仕組みづくりに関心を深めていく。
2000年10月、清水建設の 社内起業家公募制度 を活用し、プロパティデータバンク株式会社を設立。清水建設初の社内ベンチャーとして誕生した同社で代表取締役社長に就任し、不動産管理のクラウドサービス「@プロパティ」の開発・提供を開始した。創業当初からDXとサブスクリプションモデルを採用するという、当時としては極めて先進的なビジネスモデルを構築している。
2010年には早稲田大学で 博士号 を取得。実務と学術の両面から不動産管理のデジタル化を追求してきた。2022年4月に代表取締役会長に就任し、現在は経営の監督と業界への提言を主な役割としている。
主な実績
最大の実績は、不動産管理クラウドサービス 「@プロパティ」の開発と事業化 である。不動産ファンドや大手デベロッパーを中心に、不動産資産の統合管理プラットフォームとして広く採用されている。
2018年6月には東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に 株式上場 を果たした。清水建設の社内ベンチャーから出発し、独立企業として上場にまで至った道のりは、日本におけるカーブアウト型の新規事業創出のモデルケースとして高く評価されている。
著書に 「不動産トランスフォーメーション」 があり、不動産業界のDXに関する体系的な知見を発信している。BCP-Mapなど大規模地震直後の被災可能性シミュレーションツールの開発にも携わるなど、PropTech領域での事業拡大を続けている。
思想とアプローチ
板谷のアプローチは、 「不動産のデータ化」 という一貫したビジョンに基づいている。不動産は物理的な資産であるがゆえにデジタル化が遅れがちだが、管理情報をクラウド上で一元化することにより、意思決定の迅速化と資産価値の最大化が実現できるとの確信を持っている。
社内ベンチャーとして出発した経験から、 大企業の信用と独立企業の機動力を両立させる ことの重要性を説く。清水建設のブランド力と顧客基盤を活用しつつ、独立した事業体として迅速な意思決定を行える体制を構築したことが、上場という成果につながった。