人物概要
鏑木裕介は、三井不動産初の 社内ベンチャー企業GREENCOLLAR の代表取締役を務めるイントラプレナーである。2007年に三井不動産へ入社し、オフィスビルの法人営業を経て、2018年の新規事業提案制度「MAG!C」第1回に応募し採択された。不動産業とは全く異なるぶどう生産・販売事業を立ち上げ、 大企業発の異業種参入 の先駆的事例として注目されている。
経歴
鏑木は群馬県桐生市出身で、2007年に三井不動産に入社した。商業施設部門の経理を経て、2011年からオフィスビルの法人営業部門に配属され、入居企業への付加価値提供をミッションとした。2014年からはオフィスビル入居企業との協業や新規事業創出に携わり、瀬戸内国際芸術祭と連携した法人向けクルーズ企画など、不動産の枠を越えた事業開発を経験した。
2015年に山梨とニュージーランドで生食用ぶどうの生産を手がける事業パートナーと出会い、農業ビジネスの可能性に着目。2018年の第1回「MAG!C」に上司2人と共同で提案し、 一度はボツになりながらも再提案で採択 された。2019年12月にGREENCOLLARが設立され、鏑木は代表取締役の一人として経営・管理を担当している。
主な実績
GREENCOLLARは、季節が真逆の日本(北半球)とニュージーランド(南半球)でシャインマスカット系の高品質ぶどうを大規模生産し、 通年で「旬のぶどう」を世界へ届ける というビジネスモデルを構築した。クラフトぶどうブランド「極旬」を立ち上げ、農業の国際競争力強化に向けた品種開発にも参入している。
大企業の信用力と資本力を活かしながら、スタートアップのスピード感で新市場を開拓する手法は、 社内ベンチャー制度の成功モデル として三井不動産グループ内外に影響を与えた。「より人間らしく、自然と生きる=グリーンカラー」というビジョンのもと、働きがいと生きがいを融合させた事業モデルを推進している。
思想とアプローチ
鏑木のアプローチの核心は、 権限を待つのではなく責任を先に取る ことで状況を動かす姿勢にある。大企業の新規事業担当者は権限が限られがちだが、「これは自分がやります」と手を挙げ結果に責任を持つことで、組織は自然と権限を委ねるようになると実践で示してきた。また、事業の社会性を設計段階から組み込むことで、社内外のステークホルダーからの支持を引き出す好循環を生み出している。
「大企業には明日倒産するリスクはない。だからこそ短期的な収益だけを追うのではなく、社会にとっての意味を事業計画に織り込むべきだ」