人物概要
北瀬聖光は、NECで 事業イノベーション戦略本部長 としてカーブアウト・オープンイノベーション・社内ビジネスコンテストなど「6つのイノベーションモデル」を構築し、大企業発のイノベーションの仕組みを体系化した人物である。dotData、NEC X、BIRD INITIATIVEなど複数の新事業を創出し、2025年4月からは ヤマハの執行役員 に就任。著書『大企業イノベーション』で実践知を公開している。
経歴
1993年にNECに入社し、文教・科学市場で数多くの 世界初・日本初の最先端事業開発 を実現した。2008年から2013年までコーポレート戦略スタッフとして全社戦略に携わり、2014年からは事業部の営業を担当。2017年4月にNEC事業イノベーション戦略本部長に就任し、全社のイノベーション推進を統括する立場となった。
本部長就任後は、カーブアウト、オープンイノベーション、社内ビジネスコンテストなど 「6つのイノベーションモデル」 を構築。さらに人事評価制度やガバナンスポリシーの見直しなど、会社のルールそのものを変革する改革を推進した。2020年にはBIRD INITIATIVE代表取締役に就任。その後NEC Corporate SVP兼ヘルスケア・ライフサイエンス事業部門長を経て、2025年4月にヤマハ執行役員に転じた。
主な実績
最大の成果は、NECの最年少主席研究員(当時33歳)だった藤巻遼平氏をCEOとする AIスタートアップdotData のカーブアウトである。NEC内部であれば1〜2年かかる開発がわずか数カ月で市場投入され、2019年にはジャフコとゴールドマン・サックスから2,300万ドルのシリーズA資金調達を完了した。
そのほか、シリコンバレーのベンチャースタジオ NEC X、異業種共創型R&DのBIRD INITIATIVEなど、多様な新事業モデルを立ち上げた。2012年に株価99円まで下落したNECに「変われる」という空気を生み出し、新規事業の制度と文化の両面から組織変革を牽引した功績は大きい。
思想とアプローチ
北瀬の思想の核心は 「混ぜるな危険」 の原則にある。既存事業の利益最大化と新規事業の価値創造では、そもそもKPIが異なる。同じ物差しで管理すれば、短期的な収益性で判断されイノベーションの芽が摘まれる。新規事業には学びの量や仮説検証の回数など、独自の評価基準を設けるべきだと主張する。
「KPIが異なる経営は、混ぜるな危険。現業は利益を最大化する。新規事業は新しい価値を作る。この2つを同じ物差しで測ってはいけない」
著書
北瀬は2023年に『 大企業イノベーション 新規事業を成功に導く4つの鍵』(幻冬舎)を出版した。「事業ビジョン」「チームビルディング」「評価制度改革」「事業開発プロセス」の4つの観点から、NECでの実践知を体系化している。制度設計の実務に携わる担当者にとって、カーブアウトやオープンイノベーションの具体的な進め方を学べる一冊である。
