人物概要
西村 悠貴(にしむら ゆうき)は、愛知県を中心とした東海地方の巨大インフラ企業である名古屋鉄道株式会社(名鉄)の事業創造部に所属する人物である。
「公共交通インフラ」という安全・確実・安定を絶対的な至上命題とする極めて保守的な組織風土と重厚な承認プロセスのなかにおいて、新規事業創出という「不確実性」に挑戦するためのプロセス構築と社内起業家の支援に取り組むイントラプレナーである。
経歴・実績
名古屋鉄道に入社後、既存の鉄道事業や関連事業の運営に携わるなかで、沿線の人口減少やライフスタイルの変化(モビリティの多様化など)に対する長期的な危機感を抱くようになる。自社が持つ莫大なアセット(駅、不動産、顧客基盤、ブランドなど)を活用した非連続な成長の必要性を感じ、事業創造部へと歩みを進めた。
名鉄のような歴史あるインフラ企業では、稟議や承認のプロセスが「失敗しないこと(減点方式)」を前提に設計されているため、新規事業の起案者が挫折しやすいという構造的な課題があった。西村は、この「社内承認の壁」を乗り越えるために、制度の改善と起案者への伴走支援の仕組み作りに従事してきた。
現在の職務・プロジェクト
事業創造部において、社内からの新規事業アイデアの吸い上げ、事業化に向けたPoC(概念実証)の設計、そして経営層への上申プロセスの構築など、名鉄の新規事業エコシステムの根幹となる実務を担当している。
具体的には以下のような取り組みを推進している。
- スモールスタートの仕組み化: 大規模な予算や人的リソースをかけず、リーンスタートアップの手法を用いて仮説検証を小刻みに回すプロセスの導入。
- 起案者のメンタリングと社内政治のサポート: 新規事業の知見を持たない起案者に対し、ビジネスモデルのブラッシュアップだけでなく、「どの部署の誰に事前に根回しをすべきか」「役員に対してどのようなファクト(顧客の声など)を提示すれば承認されやすいか」といった、大企業特有の社内政治や合意形成のノウハウを伝授し、伴走している。
思想とアプローチ
大企業における新規事業の最大のボトルネックは「アイデアの枯渇」ではなく「アイデアを潰してしまう組織の力学」にあると考えている。そのため、西村のアプローチは、起案者の熱量(パッション)を守り抜きながら、既存の組織ルールとうまく折り合いをつける「社内調整のハック」に重点を置いている。
「インフラ企業だからこそ、挑戦できる余白と資本がある」という前向きなメッセージを社内に発信し続け、上意下達の組織文化の中に、ボトムアップのイノベーションの火を灯し続ける泥臭い活動を実践している。