人物概要
岡部 晃博(おかべ あきひろ)は、日本を代表する総合化学メーカーである三井化学株式会社の新事業開発センター 共創ビジネスデザイン室の室長(2024年6月就任)である。
20年以上にわたる強固な研究開発(R&D)のバックグラウンドを持ちながら、アーリーステージの事業創造、スタートアップ投資(CVC機能)、そしてオープンイノベーション戦略の最前線へとキャリアを拡張してきた人物である。「ディープテック領域の大企業における事業構想から社会実装まで」のプロセスを俯瞰できる稀有なイントラプレナー・事業家である。
経歴・実績
三井化学に入社後、生産技術研究所などに所属し、触媒を用いた化学品製造プロセスの開発などに22年間にわたり従事。アンモニア燃料を用いた固体酸化物形燃料電池スタックの開発など、高度な技術研究の最前線でキャリアを築いた。「新規ブロックポリマー『エクスフォーラ』の開発・事業化」においては、2019年に日本化学会の「化学技術賞」を受賞するなど、研究者・技術者として卓越した実績を残している。米国子会社(ライブルック)におけるプロセス技術センターへの赴任経験も持つ。
その後、2020年に新事業開発センターへと籍を移し、自らの技術バックグラウンドをベースに「三井化学の次なる収益の柱となる事業をゼロから生み出す」というミッションに飛び込んだ。2022年からは、独立系資産運用会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社(未来創生ファンド等)へ2年間の出向を経験。投資ファンドのフロント業務として数多くのディープテック・スタートアップと対峙し、「事業を創る側」から「事業に投資し育てる側」のリアルな視座を獲得した。
現在の職務・プロジェクト
2024年より現職である「共創ビジネスデザイン室長」に就任。
主要な役割は、三井化学が持つ最先端の素材技術や研究リソースと、外部のスタートアップエコシステムを掛け合わせ、中長期的な次世代事業の構想(ビジネスデザイン)と立ち上げの指揮を執ることである。
従来の素材メーカーが陥りがちな「良い素材を作ったから、用途は顧客企業に考えてもらう」というマテリアルプロバイダーの思考から脱却し、三井化学自らが「モビリティ」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」といった最終製品や社会課題から逆算して事業を組み立てるアプローチを推進している。
思想とアプローチ
岡部のオープンイノベーションにおける最大の強みは、「大企業のR&Dの壁」と「スタートアップのリアル」の双方を知り尽くしている点にある。出向先である投資ファンドでの経験を通じ、「スタートアップがいかにスピード感と死の谷の危機感を持って経営しているか」を肌で学んだ。
この経験に基づき、大企業とスタートアップの協業において発生しがちな「スピードのズレ」や「文化的な不和」を解消するためのアプローチを社内に還元している。「化学の力が創る未来」というパーパスを実現するためには、自前主義による技術の囲い込みではなく、フラットに技術とビジネスをつなぎ、次世代の産業エコシステムを形成する(共創する)ことが不可欠であると説き、三井化学のイノベーションの最前線に立ち続けている。