人物概要
武井 啓(たけい けい)は、川崎重工業株式会社(カワサキ)の企画本部 経営企画部 戦略課にて主事を務める人物である。
航空宇宙、鉄道車両、船舶、エネルギープラント、そしてモーターサイクル(二輪車)まで、日本を代表する「陸海空の総合重機メーカー」として強固なブランドと伝統を持つ同社において、全社的な経営戦略の策定や、新たな事業ドメイン(新規事業)へと進出するための構造改革および土壌作りに奔走している。
経歴・実績
入社以来、巨大システムの製造・インフラ構築といった既存の重厚長大なビジネスモデルに携わるなかで、グローバルな競争環境の激化やテクノロジーの急激な変化に触れ、企業の持続的成長のコアとなる戦略部門へと歩みを進めた。
「ハードウェアの大量生産・納入」に特化したビジネスからの脱却や、BtoB(企業間取引)中心の事業ポートフォリオに新たな付加価値(サブスクリプション、データ活用など)をいかに組み込むか、という極めて難易度の高い経営課題に取り組んでいる。特に経営層の直轄部門である経営企画部に身を置くことで、トップダウンの意思決定と現場(各カンパニー)の実態をリンクさせる重要なパイプ役を果たしている。
現在の職務・プロジェクト
川崎重工業の中長期的な成長軌道を描き、実行計画へと落とし込むミッションを担っている。
同社に見られるような、カンパニー制を敷く歴史ある大企業では、各カンパニー(部門)が自律的で強い権限を持つ(サイロ化)反面、会社全体の横断的な新規事業や、既存の枠に収まらないイノベーションが生まれにくいという構造的課題(横ぐしの不在)が存在する。 武井は、この「白地(どのカンパニーの担当領域でもない部分)」の領域において立ち上がる新しい事業の芽に対し、予算、人材、評価システムの観点からサポートを行う「エコシステム(土壌)の構築」を全社横断で推進している。
また、外部のスタートアップエコシステムへの参画や、オープンイノベーション手法の社内展開、ならびに次世代のリーダー育成を目的とした社内プログラムの起案・伴走などにも携わっている。
思想とアプローチ
彼のアプローチの本質は、「伝統あるモノづくり企業のプライドを否定せず、新しい方向付けに昇華させること」にある。
重厚長大な組織風土においては、「現場の強さ」と「技術力への自信」が極めて高い。スタートアップのようなアジャイルな手法を無闇に押し付けるのではなく、現場が持つ「世界最高峰の技術力」がいかにして新しい社会課題(脱炭素化、ロボティクスによる人手不足解消など)の解決に直結するかを、ロジカルな「経営戦略」の言葉で翻訳し、全社への共感を広げることに腐心している。大企業の社内政治や合意形成のノウハウにも長けた、泥臭い実践家である。