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イントラプレナー

山下 昌哉

旭化成
旭化成シニアフェロー / キュレーションズ CKTO イントラプレナー 新規事業推進

人物概要

山下昌哉は、旭化成世界初の実用的な3軸電子コンパス を開発し、スマートフォンの地図・ナビゲーション機能を支える世界シェアNo.1の部品を生み出した技術系イントラプレナーである。MRI、リチウムイオン電池と2度の事業撤退を経験した後に電子コンパスで成功を収め、2015年には 紫綬褒章 を受章した。旭化成シニアフェロー(元グループフェロー)を務めるとともに、キュレーションズ株式会社のCKTO(最高テクノプレナーシップ知識責任者)として技術者の事業創出知見を広く共有している。

経歴

1955年岡山県生まれ。1982年に 東京大学大学院物理工学専攻博士課程 を修了し、旭化成工業(現・旭化成)に入社した。入社後はMRI(磁気共鳴断層像撮影装置)の開発に携わったが、ベルリンの壁崩壊による為替変動で事業撤退を経験した。

次にリチウムイオン電池の開発に移ったが、ソニーとの競争の中でこの事業も売却された。 2度の事業撤退 を経験した後、2000年頃に電子コンパスの開発を提案。携帯電話からの緊急通報が急増する中、歩行者ナビゲーションに必要な方位情報を得る技術として着目した。

2003年に世界初の実用的な3軸電子コンパスの事業化に成功。2008年にAndroid OS、2009年にiOSに標準搭載された。2010年に旭化成グループフェロー(現シニアフェロー)に就任し、2012年に 全国発明表彰恩賜発明賞、2015年に紫綬褒章を受章。2023年11月にはキュレーションズ株式会社のCKTOに就任した。

主な実績

最大の実績は、 世界シェアNo.1の電子コンパス の開発と社会実装である。Google AndroidとiOSへの標準搭載により、世界中のスマートフォンの地図・ナビゲーション機能を支えるインフラ部品となった。量産品のホール素子を使ってデモ機を作り、製品仕様書を書く前に学会で発表するという大胆な手法で、正式な開発テーマとしての承認を勝ち取った。

MRIとリチウムイオン電池という 2度の事業撤退 を経験しながらも諦めず、3度目の挑戦で世界トップシェアを達成したキャリアそのものが、技術系イントラプレナーのロールモデルである。

旭化成シニアフェローとしての知見を活かし、キュレーションズCKTOとして BtoB製造業における新規事業創出の「思考プロセス」 の研究・開発を進め、後進の育成に取り組んでいる。

思想とアプローチ

山下の思想の特徴は、テーマ選定において 「一歩先の未来」を狙う ことにある。素直なアイデア出しで見つかる良さそうなテーマは、大抵は誰かが既に取り組んでいる。それが実現した後に起きる問題を先回りして解決するという発想が、電子コンパスの着眼につながった。

「新しいビジネスは、市場に新しい価値概念を生むと同時に社会実装を行わなければならない」

研究者と技術者の役割を明確に分ける点も重要だ。「研究者は原理を解明して実用化するのが目的。 技術者は汎用化して社会実装するまでが仕事」という区分を意識することで、技術の実証で終わらず社会価値の創出にまで進む。経営層の説得は「理屈」ではなく「事実の積み重ね」で行い、論理ではなくファクトで突破する手法を実践している。

山下 昌哉の名言

山下 昌哉の名言
素直なアイデア出しで見つかる良さそうなテーマは、大抵は誰かが既に取り組んでいる。そのときはテーマを1回パスしよう。それが実現した後に、起きる問題を先回りして解決する。それが実現した後に、何ができるようになるのか考える。それが実現した後に、あらたに生まれる課題に取り組む。
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山下 昌哉の名言
研究者は、原理を解明して実用化するのが目的。技術者は、汎用化して社会実装するまでが仕事。だから「社会・ユーザー」の価値に重きを置く。
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山下 昌哉の名言
スタートアップは、アーリーアダプターの市場が勝負所。大企業内の新規事業は、マジョリティの市場になるまで生き残るのが仕事。だから、キャズムを超えることよりも、超えた後の社会実装に重きを置く。
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山下 昌哉の名言
エンドユーザーの to C に届かないと、新規事業の「社会実装」が実現しない。バリューチェーンの価値は生まれない。例え to B ビジネスであったとしても、社会価値はコンシューマーで生むのが、イノベーションの基本。
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経営層の説得は、成功条件ではない。イノベーティブであればあるほど論理的な説明は難しさを増す。だからデモ機で価値を体感してもらった。ほとんど社内の人は「こんなものが売れる」と想像しなかった。だからお客さんに「買うから作ってくれ」と言ってもらった。理屈で理解を得るのはなく、事実の積み重ねで突破していった。
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