人物概要
吉澤 克哉(よしざわ かつや)は、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)の事業推進本部に所属し、新規事業開発と地域活性化を牽引するイントラプレナーである。
安全性を最優先とする巨大インフラ企業であるJR東海において、公式なビジネスコンテスト等の制度に頼らず、社員同士の非公式な有志ワーキンググループからプロジェクトを立ち上げ、ボトムアップ型で新規事業をリリースしたという極めてユニークな実績を持つ人物である。
経歴・実績
JR東海に入社後、人事部門などに所属。人事畑での経験を通じて「社員の思いや熱意をいかに事業価値に結びつけるか」というテーマに問題意識を抱く。その後、新規事業開発部門での事業立ち上げ経験を経て、自社が持つアセット(沿線エリア、駅、顧客基盤など)を活用した新たな価値創造を模索し始めた。
当時は社内に明確な提案制度などがない中、有志のメンバー数名と自主的なワーキンググループを結成し、業務外の時間や有休を使って地域の課題リサーチやビジネスモデルの検討を行った。何度も経営陣や関係部署への壁打ちと説得を繰り返し、社内の合意形成を取り付け、JR東海グループが運営する共創型ローカルメディア「conomichi(コノミチ)」の事業化に成功した。また、EC事業「JR東海MARKET」の立ち上げプロジェクトにも参画し、沿線地域の産品や魅力を全国に届ける仕組みづくりに貢献している。
現在の職務・プロジェクト
「conomichi(コノミチ)」のプロデューサー兼運営責任者として、サービスのグロースと発展を主導している。
「conomichi」は単なる観光情報サイトではなく、「旅する」と「住む」の間に位置する「関係人口(特定の地域と継続的かつ多様に関わる人々)」の創出を目的としたローカルメディアである。地域で面白い活動をしているローカルプレイヤー(個人や事業者)を可視化し、彼らと関わりたいと考える都市住民らを繋ぐマッチングプラットフォームとして機能している。
吉澤は自ら地域に飛び込み、地元の核となるプレイヤーたちと直接対話を重ねる泥臭い足で稼ぐスタイルを貫いている。
思想とアプローチ
吉澤のアプローチの根底には、「大企業だからこそできる、地域への本質的な貢献とは何か」という強いパーパス(目的意識)がある。「インフラ企業は地域が元気でなければ事業が成り立たない」という危機感に基づき、一過性の観光誘客ではなく、長期的な「人のつながり」を生み出す仕組みが必要だと提唱している。
また、社内起業に関する強い信念を持つ。制度がなくても「まずは自分たちで小さく始めて実績(ファクト)を作ること」、そして「批判的な意見も事業を磨くためのフィードバックとして受け入れること」の重要性を社内外のセミナー等で語っており、インフラ企業におけるボトムアップイノベーションの成功例として広く注目を集めている。