「あしたが変わる」:即断即決の新規事業創出装置
サイバーエージェントの成長を支える最強の仕組みが、2006年に開始された 「あした会議」 である。その名の通り、「サイバーエージェントのあした(未来)を創る」ことを目的としており、単なるビジネスプランコンテストとは一線を画す、極めて実戦的かつ冷徹な場である。
仕組み:ドラフト制と合宿形式
あした会議の最大の特徴は、役員が主導する点にある。
- ドラフト組閣: 代表取締役の藤田晋を除く役員が、全社から「この人間と一緒に事業を創りたい」と思うエース社員数名をドラフト形式で選出し、チームを組む。
- 1泊2日の合宿: 各チームは事前に練り上げた新規事業案や組織改善案を持ち寄り、合宿で藤田に対してプレゼンを行う。
- 即断即決の審査: 審査員は藤田一人。その場で「A(即採用)」「B(検討)」「C(却下)」などの評価を下す。A評価を受けた案件には、その場で予算と責任者が割り当てられる。
「あした会議の成功の秘訣は、役員にプライドを賭けさせることだ。自分の提案が却下されれば役員として恥ずかしい。この健全な危機感が、提案の質を極限まで高める」
――サイバーエージェント関係者
圧倒的な実績
これまでに、あした会議から生まれた事業は計り知れない。
- 累計子会社設立数: 30社以上
- 累計売上貢献: 3,000億円超(2024年時点)
- 代表的な創出事業: ABEMA、VR関連事業、アドテクノロジー関連子会社、マッチングアプリ「tapple」など。
成功のポイント
- トップの直接関与: 最終意思決定者がその場にいることで、決裁のリードタイムをゼロにした。
- 役員のリソース投入: アイデアだけでなく、役員という「経営資源」が事業の立ち上げをバックアップする。
- 「ジギョつく」からの進化: 社員のみによる提案制度(ジギョつく)の限界を認め、経営陣の知見を融合させた。
学べること
「あした会議」は、多くの日本企業が抱える「新規事業の承認が遅すぎる」「経営陣が当事者意識を持っていない」という課題に対する強力なアンサーである。組織のトップが自ら時間を割き、役員に責任を負わせる仕組みこそが、真のイノベーションを生む土壌となる。


