概要:「情報革命」を加速させるグローバル公募
SoftBank Innovation Program(SIP)は、ソフトバンクが2015年に開始した新規事業創出プログラム。
最大の特徴は、 「世界中から」 革新的なソリューションを募集する点にある。日本の社員だけでなく、海外のスタートアップやベンチャー企業も対象とし、ソフトバンクの巨大なリソース(営業網、顧客基盤、技術)と掛け合わせることで、短期間での商用化を目指す。
詳細
ソフトバンクの「SIP」は、単なる社内コンテストではなく、世界中の技術を吸い上げるための「巨大な公募装置」として機能している。
第1回募集の衝撃:世界中から集まった「異能」
2015年の第1回募集では、173件もの応募が殺到し、その多くが海外スタートアップであった。 採択された企業の顔ぶれは非常に国際的豊かだ。
- Drivemode(米国): ドライブ中のスマホ操作を安全にするインターフェース技術。後にHondaなどとも提携する有力スタートアップを発掘した。
- MoBagel(米国/台湾): 家電のビッグデータを解析し、故障予測などを行うAI技術。
- BuzzElement(マレーシア): ビーコンを使った店内ナビゲーションとクーポン配信。
これらの企業に対し、ソフトバンクは資金だけでなく、 「日本のソフトバンクショップや実店舗」 という巨大な実験場を提供した。シリコンバレーの技術を、日本のリアルな市場で即座にテストできる環境こそが、SIPの最大の価値である。
「テストマーケティング」こそが最大の支援
多くのアクセラレータープログラムが「メンタリング」でお茶を濁す中、SIPは 「プロトタイプ開発費用の全額負担」 と 「テストマーケティング環境の提供」 を約束した。 「売れるかどうかわからないもの」に予算をつけるのは、通常の大企業では至難の業だ。しかし、ソフトバンクは「まずはやってみる」という孫正義氏のDNAの下、テストマーケティング自体への投資を惜しまない。この「リスクマネー」の供給こそが、イノベーションの呼び水となっている。
AI・ロボット領域へのシフト
当初はスマートホームなどが中心だったが、近年は「AI」「ロボティクス」への傾斜を強めている。 Pepper(ペッパー)やWhiz(清掃ロボット)といったハードウェアに加え、それらを動かす「脳」の部分でのスタートアップ連携が進んでいる。これは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が投資する世界最先端のユニコーン企業群と、日本市場を接続する役割も果たしている。
学べること
- 「自前」にこだわらない強さ: ソフトバンクの強みは「技術を自社開発すること」ではなく、「世界一の技術を見つけてきて、圧倒的な営業力で広めること(タイムマシン経営)」にある。そのDNAがプログラムにも色濃く反映されている。
- 商流の開放: 大企業がスタートアップに提供できる最大のアセットは「顧客」である。自社の販路をテストフィールドとして開放することは、資金提供以上の価値を持つ。
- スピード感: 第1回からわずか数ヶ月でテストマーケティングまで漕ぎ着けるスピード感は、日系大企業としては異例であり、スタートアップから選ばれる理由となっている。


