Wiki by IntraStar
制度・プログラム事例

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)

社内ベンチャー 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
ソニーグループ
種別
社内ベンチャー
開始年
2014年
状態
運営中
主な成果
MESH , wena , toio , REON POCKET
公式サイト
sony-startup-acceleration-program.com

History & Evolution

2014

「SAP」スタート

「Seed Acceleration Program」として発足。当時の平井社長直轄プロジェクトとして開始。

2015

「MESH」「wena wrist」発売

IoTブロックやスマートウォッチなど、初期の代表作が次々とクラウドファンディングで成功。

2018

「SSAP」へリニューアル・外販開始

社外へのサービス提供を開始し、名称を「Sony Startup Acceleration Program」へ変更。

2019

「StartDash」提供開始

事業検証をWeb上で管理・実行できるアプリケーションを公開。

2020

「SSAP Open Innovation Village」開設

大崎に共創のための物理拠点をオープン。

2022

Sony Innovation Fundと連携

社外スタートアップへの投資機能とも連携し、エコシステムを拡大。

概要

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、ソニーグループが2014年に開始した新規事業創出プログラムである。 かつてのウォークマンのような「社内発のイノベーション」を意図的に起こすための仕組みとして、当時社長だった平井一夫氏の直轄プロジェクトとしてスタートした。

最大の特徴は、ゼロから事業を立ち上げるプロセスを完全に「 型化」し、それを社内だけでなく 社外(他企業や大学)にも外販 している点である。

詳細

SSAPは、「Seed Acceleration Program(SAP)」として始まり、後に「Sony Startup Acceleration Program」へとリブランディングされた。 創設者の小田島伸至氏が、自身の海外での立ち上げ経験を元に、「天才でなくても事業を作れる仕組み」を構築したことが全ての始まりである。

「REON POCKET」の開発秘話:社員の熱意と組織の壁

着るクーラー「REON POCKET」は、SSAPの象徴的な成功事例である。 発案者の伊藤陽一氏は、かつてモバイル機器の設計者だったが、「夏の暑さや冬の寒さから人々を解放したい」という個人的な強い想い(Will)からプロジェクトをスタートさせた。 当初、社内では「ペルチェ素子で冷やすなんて、バッテリーが持たない」「ニッチすぎる」といった懐疑的な声もあった。しかし、SSAPの仕組みを使い、クラウドファンディングで市場の反応を直接問うたところ、目標額を瞬時に達成(6,600万円以上を調達)。 「社内の会議室」ではなく「市場」がGoサインを出した ことで、製品化への道が拓けた。

「MESH」と「wena wrist」:初期の突破口

プログラム初期には、誰でも発明家になれるデジタルDIYキット「MESH」や、バンド部分に機能を凝縮したスマートウォッチ「wena wrist」が生まれた。 特にwenaは、新卒1年目の社員が起案したプロジェクトであり、「年次に関係なく、良いアイデアなら機会を与える」というSSAPのスタンスを社内外に強く印象づけた。これらの成功が呼び水となり、多くの社員が手を挙げる文化が醸成された。

「ノウハウ外販」という逆転の発想

2018年、ソニーはSSAPのノウハウを社外に開放し、京セラの子供向け仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」や、LIXILのキャットウォール「猫壁(にゃんぺき)」など、他社の新規事業も支援し始めた。 これは単なるコンサルティング事業ではない。製造業の競合他社とも手を組み、「日本企業全体でイノベーションを起こす」というエコシステム作りへの挑戦である。結果として、新規事業部門自体が利益を生むプロフィットセンターとなり、制度の持続可能性(サステナビリティ)を盤石なものにしている。

「新規事業は『千三つ』と言われるが、プロセスを正しく踏めば、その確率は上げられる」——小田島伸至

学べること

  • 「仕組み」そのものを事業にする: 新規事業部門はコストセンターになりがちだが、SSAPはそのノウハウ自体を外販することで、持続可能性を高めている。
  • 品質基準の「翻訳」: スタートアップのスピード感と、ソニーブランドが求める品質基準(Quality Assurance)のバランスを取るために、新規事業専用の品質管理ルールを設けた点は、メーカーにとって非常に重要な示唆である。
  • 「市場」を上司にする: 社内決裁でなく、クラウドファンディングの支援者数を判断基準にすることで、社内の政治的な壁を突破できる。

関連リンク

成功の鍵

1

徹底した「プロトタイピング」環境

本社ビル1階の「Creative Lounge」には3Dプリンターや最新の工作機械が完備され、エンジニアとデザイナーが即座に試作を行える。紙の企画書ではなく、実際に動く「体験」で事業価値を検証する文化が、REON POCKETのようなハードウェア・スタートアップを成功させた。

2

明確な「ステージゲート」と「オーディション」

事業化プロセスは「アイデア」「検証」「事業化準備」「事業化」の4フェーズに分かれ、厳しい審査(ゲート)がある。特に「顧客獲得コスト(CPA)」や「LTV」など、スタートアップ同様のシビアな数値目標が課され、基準に達しないプロジェクトは容赦なくストップまたはピボットを求められる。

3

ノウハウの「外販」による進化

自社の新規事業ノウハウを「Sony Acceleration Platform」として京セラやLIXILなど他社に提供。他流試合を重ねることで、ソニー社内だけでは得られない知見(BtoBビジネスの勘所など)が逆輸入され、プラットフォーム自体が進化し続けている。

おすすめ書籍

情報の修正・追加を提案
登録して新規事業の最新情報を受け取る
NEWSLETTER

IntraStar NEWS

新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。

Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます