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事業事例

エイベックスの新規事業群 ― CEO直轄の「コエステ」「itoma」「MEET YOUR ART」

エイベックス株式会社
エンターテインメント #エンターテインメント #新規事業 #音声合成 #アート #CEO直轄
事業・会社概要
事業会社
エイベックス株式会社
業界
エンターテインメント
開始年
2018年
コーポレートサイト
avex.com

History & Evolution

2018

CEO直轄の新規事業開発・戦略投資機能を新設

松浦勝人CEOのもと、新規事業開発と戦略投資を担う直轄部門が発足。

2019

会員制旅行予約サービス「itoma」を発表

月額2,980円で厳選された高級旅館の平日宿泊が半額になるOTAサービスを開始。

2020

コエステ株式会社設立・MEET YOUR ART始動

東芝デジタルソリューションズの出資を受けコエステ社設立。同年、アート事業MEET YOUR ARTを立ち上げ。

2022

MEET YOUR ART FESTIVAL開催

日本最大級の現代アートフェスティバル「MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 NewSoil」を開催。

課題・背景:エンタメ産業のビジネスモデル転換

音楽業界は2010年代を通じて、CDからストリーミングへの移行という歴史的な構造変化を経験した。エイベックスは日本のエンタメ業界の雄として 音楽・映像レーベル事業 を主軸に成長してきたが、パッケージ販売の衰退は避けられない現実だった。デジタル化がもたらす収益構造の変化に対応するため、音楽・映像の枠を超えた 事業の多角化 が経営課題となっていた。

同時に、エイベックスには タレント・アーティストとの強固なネットワーク や、大規模イベントの企画・運営力、ブランド発信力といった、他の産業の企業には真似のできない「無形資産」が蓄積されていた。問題は、これらの資産を音楽以外のどの市場に展開するかという戦略的判断だった。

取り組みの経緯:CEO直轄の新規事業機関を創設

2018年、エイベックスは CEO直轄 の新規事業開発・戦略投資機能を新設した。この組織は後に エイベックス・ビジネス・デベロップメント株式会社 として子会社化され、加藤信介氏が代表取締役社長に就任する。既存のレーベル事業やマネジメント事業とは完全に独立した組織体制で、複数の新規事業を同時並行で推進する体制が整えられた。

ここから生まれた代表的な事業が、 コエステ(音声合成)itoma(旅行)MEET YOUR ART(アート) の3つである。いずれもエイベックスのコア資産を異分野に転用するという共通の戦略思想を持っている。

サービス・事業の概要

コエステ:「声」を資産化する音声合成事業

コエステ株式会社は2020年2月に設立された。東芝デジタルソリューションズの AI音声合成技術 と、エイベックスが持つ タレント・著名人のネットワーク を掛け合わせたオープンイノベーションである。ユーザーは「 コエステーション 」アプリで自分の音声合成(コエ)を作成でき、タレントや著名人のコエも法人向けに提供された。

itoma:高級旅館の会員制予約サービス

2019年に発表された「 itoma(イトマ) 」は、月額 2,980円 の会員制OTA(オンライン旅行代理店)である。会員は厳選された高級旅館に 平日半額 で宿泊できる。最大の特徴は、宿泊施設から 手数料を徴収しない ビジネスモデルを採用した点だ。大手OTAの高額手数料に苦しむ中小旅館の経営課題に着目し、会員の月額料金のみを収益源とする設計だった。

MEET YOUR ART:エンタメの手法でアート市場を拡張

2020年12月に始動した MEET YOUR ART は、YouTubeチャンネル、ECサイト、大規模フェスティバルの3つを柱とするアート事業である。森下美佳をホストとするYouTubeチャンネルは 日本最大級の現代アートチャンネル に成長。2022年5月には「 MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 ‘NewSoil’ 」を開催し、音楽フェスのプロデュース力をアートフェアに転用する新たなフォーマットを提示した。

成果と現状

3事業の中で最も顕著な成長を見せているのは MEET YOUR ART である。YouTubeの登録者数は 4万人 を超え、フェスティバルは定例化されている。エイベックスが得意とする「ファンコミュニティの形成」と「イベントプロデュース」のノウハウが、アート市場という新たなフィールドで有効に機能している。

コエステは技術基盤としては機能しているが、コンシューマ向けの大規模普及には至っていない。itoma はコロナ禍による旅行需要の激減という外部環境の逆風を受けた。CEO直轄で複数の事業を同時に立ち上げることのリスクとリターンの両面が、この事例には凝縮されている。

この事例から学べること

第一に、CEO直轄組織は「スピード」と「リソース集中」の最大化に向いている。 通常の事業部門内で新規事業を進める場合に発生する調整コストを省略でき、経営判断を即座に実行に移せる。一方で、トップの関心が移ると事業全体が失速するリスクも内包している。

第二に、エンタメ企業の「無形資産」は汎用性が高い。 タレントの「声」や「影響力」、イベント企画力、ファンコミュニティの運営ノウハウは、音声合成・旅行・アートという全く異なる市場で価値を発揮した。自社の強みを「コンテンツ」ではなく「コンテンツを生み出す能力」として再定義することが、事業多角化の鍵となる。

第三に、複数事業の同時推進には、明確な優先順位と撤退基準が不可欠である。 3事業すべてが成功する確率は低い。成果が出た事業にリソースを集中し、そうでない事業を縮小・転換する「ポートフォリオ管理」の視点が、多角化戦略の成否を分ける。

関連項目

成功の鍵

1

CEO直轄による迅速な意思決定と資源配分

既存のレーベルや音楽事業から独立した直轄組織を設け、新規事業に経営トップの決裁権とリソースを集中。

2

エンタメ企業の「タレント資産」を異分野に転用

タレントの声(コエステ)やアーティストネットワーク(MEET YOUR ART)など、他社が持ちえない資産をテコに新市場を創出。

3

技術パートナーとの戦略的提携

コエステでは東芝デジタルソリューションズの音声合成技術と、エイベックスのコンテンツ力を掛け合わせたオープンイノベーション。

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