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事業事例

キヤノンマーケティングジャパン、CVC「MIRAI Fund」でLIFESCAPESに出資——脳波から意図を読むBMI技術に、AIの新たな事業機会を探る

事業・会社概要
事業会社
キヤノンマーケティングジャパン
業界
商業(卸売業・小売業)
設立/開始
1968年2月
開始年
2026年
代表者
足立 正親
本社
東京都港区港南2-16-6
コーポレートサイト
canon.jp

History & Evolution

2018年5月

LIFESCAPES設立

慶應義塾大学発の医療スタートアップとして設立された。

2026年10月30日

MIRAI FundからLIFESCAPESへの出資を発表

キヤノンマーケティングジャパンがCVCファンド「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」を通じて出資したと発表した。出資額は公表されていない。

課題・背景:販売会社が、自社の外にある技術に目を向ける

キヤノンマーケティングジャパンは、キヤノン製品の国内販売を担う東証プライム上場企業だ。1968年2月に設立され、発表上の業種は商業(卸売業、小売業)に分類されている。自社で技術を開発するメーカーとは違い、顧客の現場に近い位置にいる。

同社のCVCファンド「Canon Marketing Japan MIRAI Fund」は、Well BeingとBusiness Transformationを投資領域に置く。発表によれば、さらに「Human Potential Enlargement(人間が持つさまざまな能力を拡張することにより、誰もが自分に合ったライフスタイルを追求できる社会の実現)」を領域の一つに掲げている。今回の出資は、この領域の一環という位置づけだ。

取り組みの経緯:100億円のファンドから、BMIスタートアップへ

2026年10月30日、同社はMIRAI FundからLIFESCAPESへ出資したと発表した。出資額、出資比率、ラウンドの詳細はいずれも公表されていない。

MIRAI Fundの概要は次のとおり。

項目内容
ファンド名Canon Marketing Japan MIRAI Fund(キヤノンマーケティングジャパン未来投資事業有限責任組合)
ファンド規模100億円
無限責任組合員グローバル・ブレイン株式会社
有限責任組合員キヤノンマーケティングジャパン株式会社

無限責任組合員をグローバル・ブレイン株式会社が務め、キヤノンマーケティングジャパンは有限責任組合員として加わる構成だ。

事業の仕組み:脳波から運動の意図を読み、装具を動かす

出資を受けたLIFESCAPESは2018年5月設立の慶應義塾大学発の医療スタートアップで、本社は東京都港区。代表取締役社長は林 正彬氏。BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)/BCI技術を用いた医療機器を開発している。

発表によれば、機器は脳卒中後の手指の麻痺に対するリハビリを支援するものだ。

  1. ヘッドセットで脳活動を計測する
  2. 脳波から、手指を動かそうとする運動意図を読み取る
  3. その信号に応じて、手指に装着した電動装具を動かす

同社のビジョンは「脳の『可塑性』を引き出し、麻痺を治せる世界の創出に貢献する」。2025年には「WE AT CHALLENGE 2025」で「WE AT CHALLENGERS」に採択されている。LIFESCAPES自身の資金調達については、別の事例としてLIFESCAPES 総額7.2億円調達で扱っている。

展開・進化:支援の中身は「社会実装」と「AIの事業機会の検証」

発表で示された出資の目的は2つある。

  • LIFESCAPESの事業拡大と、BMI/BCI技術の社会実装を支援する
  • 脳波などの生体信号から人の意図や状態を理解する技術の可能性を検証し、AIによる新たな事業機会の創出を目指す

AIの事業機会の検証という2つ目の目的が、財務的なリターンだけでは説明できない部分だ。あわせて、「WE AT」を通じてLIFESCAPESの成長を後押しするとしている。一方で、具体的な事業計画、期限、数値目標は発表に記載がない。連携の中身は、今後の続報で明らかになる段階だ。

この事例から学べること

CVCの投資領域を先に言葉にしておくと、出資の理由を説明しやすい。 今回の出資は、MIRAI Fundが掲げる「Human Potential Enlargement」の一環として語られている。個別案件の前に領域が定義されているため、リハビリ機器という本業から遠く見える先への出資にも、筋の通った説明がつく。

財務リターンのほかに、自社が試したい仮説を出資の目的に書いている。 「生体信号を活用したAIの事業機会」という検証したい問いが、発表の時点で明示されている。出資を「関係づくりの入口」として位置づけるCVCの使い方として参照できる。

ファンドの無限責任組合員を外部の会社が務め、自社は有限責任組合員の側に立っている。 この構成は、ファンドの運営を外部に任せる形の一例だ。ただし、出資額や連携の具体策は公表されておらず、成果を測る材料はまだ乏しい。

関連項目

参考文献・出典

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