Wiki by IntraStar
事業事例

日立製作所 デジタルアセット取引AML共同化構想 ― 13社連携による業界横断マネーロンダリング対策インフラ

IT / 金融インフラ / フィンテック #AML #デジタルアセット #暗号資産 #フィンテック #共同化 #金融規制 #新規事業大賞
事業・会社概要
事業会社
日立製作所
業界
IT / 金融インフラ / フィンテック
設立/開始
2025年2月(実証実験開始)
開始年
2025年
コーポレートサイト
www.hitachi.co.jp

History & Evolution

2025年2月

実証実験開始・金融庁FinTech実証実験ハブ採択

日立製作所と13社によるデジタルアセット取引AML実証実験を開始。金融庁「FinTech実証実験ハブ」への採択が決定。

2025年2〜4月

パイロット期間実施

業界横断でのAML情報共有・モニタリング基盤の実証。各社個別対応から共同インフラへの転換可能性を検証。

2026年4月15日

第3回 日本新規事業大賞 シード部門グランプリ・TECHFUND賞 受賞

「Startup JAPAN 2026」内で開催された第3回 日本新規事業大賞のシード部門グランプリを受賞。TECHFUND賞も同時受賞。

2026年10月(予定)

サービス提供開始

実証実験の成果を踏まえた共同AMLインフラのサービス提供を開始予定。

課題・背景:個社対応が限界を迎えたデジタルアセットのAML

デジタルアセット市場の拡大とともに、マネーロンダリング(AML)対策の重要性は急速に高まっている。暗号資産・ステーブルコイン・NFTはブロックチェーン上でボーダーレスに移転するため、従来の金融機関が前提としてきた取引モニタリングの手法が通用しにくい。国際的な規制強化(FATF勧告のトラベルルール等)への対応は、各社に多大な人的・システム的コストを要求する。

しかし問題の本質は、各事業者が個別にAML対応を行っている構造的な非効率にある。暗号資産取引所、銀行、ブロックチェーン基盤企業がそれぞれ独自のリスク情報を収集・分析しているため、業界全体として把握できるリスクの全体像が断片化している。個社の対応では捕捉できない不審なアドレスや取引パターンが見逃されるリスクも高い。

また、国内デジタルアセット市場で有効なリスクデータは、海外ツール(Chainalysis等)でも十分にカバーできないケースがあり、国内の実態に即したAMLインフラの整備が求められていた。

取り組みの経緯:日立が主導した業界横断の共同化構想

日立製作所は長年の金融IT事業で培った決済インフラ・セキュリティ・データ管理の技術基盤を持ち、デジタルアセット領域でも複数の金融機関との協働実績がある。2024年から業界横断でのAML共同化構想を策定し、2025年2月に実証実験を開始した。

本構想が金融庁「FinTech実証実験ハブ」に採択されたことは、規制当局の関与のもとで安全な実証環境を確保できることを意味する。単なる民間企業間の取り組みにとどまらず、制度設計に影響を与えうるプロジェクトとして位置づけられている。

「各社が個別に規制対応を行っており、対応コストやAML業務の専門人材不足が課題となっている。デジタルアセット取引の特性として、個社対応ではブロックチェーン上のリスクを包括的に把握することが困難である」

――日立製作所・実証実験概要資料(2025年2月)

サービス・事業の仕組み:13社連携による共同AMLインフラ

参加企業13社の構成

実証実験には日立製作所を含む13社が参画した。業態を横断した参画企業の構成が、本構想の実効性を担保している。

カテゴリ参加企業
プラットフォーム提供日立製作所
ブロックチェーン基盤・分析NTT Digital、Crypto Garage、Chainalysis Japan、Digital Platformer
暗号資産決済・ステーブルコインJPYC、オプテージ
暗号資産取引所ビットバンク、finoject
証券・金融HD野村ホールディングス、Laser Digital Japan
通信・フィンテックNEC(日本電気)
地方銀行北國銀行

共同化インフラの仕組み

各社が個別に収集・分析していた不審取引情報・リスクアドレス情報を共同プラットフォームに集約し、業界横断で共有する。個社では見えにくい取引パターンやアドレスクラスターが、複数社のデータを統合することで可視化される設計だ。

実証実験では以下の機能を検証した:

  • マネーロンダリング対策プラットフォーム:各社のリスク情報を集約・共有する中央基盤
  • デジタルアセット取引モニタリング機能:取引パターンのリアルタイム監視と不審取引の検出

金融庁実証実験ハブとの連携により、規制上の整合性を行政と共同で確認しながら実証を進めた点も特徴的である。

成果と現状:第3回 日本新規事業大賞 シード部門受賞

2026年4月15日、「Startup JAPAN 2026」内で開催された第3回 日本新規事業大賞でシード部門グランプリを受賞した。TECHFUND賞も同時受賞している。

2025年2〜4月に実施したパイロット実証では、業界横断での情報共有がAML精度向上とコスト削減の実効性を持つことが確認された。この実証結果を踏まえ、2026年10月のサービス提供開始を目指して開発が進んでいる。

デジタルアセット取引のAMLという高度に専門的な領域に大企業として正面から取り組み、13社の参画と金融庁との連携を実現した点が評価された。

この事例から学べること

第一に、大企業主導の「業界横断型インフラ」は、単一企業では解決困難な規制対応課題に有効なアプローチだ。 各社が個別対応し続けても費用対効果が上がらない構造的課題に対し、日立は「共同化」という発想でコスト構造そのものを変えようとした。大企業が持つ産業内の信頼性と調整力が、多社参画を実現する鍵となる。

第二に、規制当局との連携は事業化リスクを大幅に低減する。 金融庁FinTech実証実験ハブへの採択は、単なるお墨付きにとどまらず、規制の解釈・制度設計に参加できるポジションを確保することを意味する。金融・医療・インフラ分野での新規事業は、規制を「外部障壁」ではなく「共に設計するもの」として扱う姿勢が事業化を加速させる。

第三に、ブロックチェーン技術の事業化は「技術単体」ではなく「業界構造の再設計」として捉えるべきだ。 AML共同化構想の本質は技術的なイノベーションではなく、業界の情報共有構造を変えるビジネスモデルイノベーションである。技術の先端性よりも、それを活用して産業構造のどの非効率を解消するかが事業の価値を決める。

関連項目

参考文献・出典

成功の鍵

1

個社対応から共同インフラへの発想転換

各社が独立して行っていたAML業務を共同インフラ化することで、対応コストの分散と情報精度の向上を同時に実現する設計。単独では解決困難な課題を業界横断で取り組む。

2

金融庁実証実験ハブとの連携

規制当局と連携した実証実験の枠組みを活用することで、サービス化に向けた法規制上の整合性を先行して確認。実用化への道筋を行政と共同で設計している。

3

多業種13社の実態的な実証参加

銀行・暗号資産交換所・ブロックチェーン基盤企業・証券HDなど業種を横断した13社が実際に参画することで、単一業態の閉じた実証にならない幅広い検証を実現。

このサイトは生成AIによる情報収集をベースに作成されています。
本ページの情報に誤りがある場合があります。
修正についてご報告いただければ、随時修正対応いたします。

情報の修正・追加を提案する
登録して新規事業の最新情報を受け取る
NEWSLETTER

IntraStar NEWS

新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。

Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます