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事業事例

柏の葉共創機構 ― 三井不動産×Relicが10年で100事業創出を掲げる産業デベロッパーモデル

不動産 / 都市開発 / 事業共創 #オープンイノベーション #スマートシティ #産学連携 #事業創出機構 #インキュベーション
事業・会社概要
事業会社
三井不動産
業界
不動産 / 都市開発 / 事業共創
開始年
2026年
コーポレートサイト
www.mitsuifudosan.co.jp

History & Evolution

2005年〜

柏の葉キャンパス開発・スマートシティ構想

つくばエクスプレス開通とともに、三井不動産が柏の葉エリアの長期まちづくりに着手。スマートシティ宣言を経てイノベーション拠点としての地位を確立。

2014年

KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)開設

ベンチャー共創の場として整備。アクセラレータープログラム「KOIL STARTUP PROGRAM」も開始。

2026年4月23日

柏の葉共創機構 設立

三井不動産とRelicが業務提携契約を締結し、UDCKタウンマネジメント内に「柏の葉共創機構」を設立。

2026年度上期予定

事業拠点「KOIL BASE」開設予定

柏の葉キャンパス駅前のハードテックラボ「KOIL BASE」を共創機構の事業拠点として開設予定。

課題・背景:街の集積から事業を生み続ける仕組みの不在

柏の葉スマートシティは、2005年のつくばエクスプレス開通以降、三井不動産が 20年以上のまちづくり を続けてきたプロジェクトである。柏の葉キャンパス駅から半径2km圏内に、東京大学柏キャンパス、千葉大学環境健康フィールド科学センター、国立がん研究センター東病院、産業技術総合研究所などが集積し、ライフサイエンス・フードテック・健康分野で 国内最高水準の研究密度 を誇るエリアに成長した。

しかし、研究機関や大企業が集積するだけでは事業が生まれ続けない。 研究シーズを事業化するプロセスを、街全体の機能として制度化する仕組み が欠けていた。柏の葉スマートシティが次の成長段階に進むには、シーズ発掘から事業成長までを一気通貫で支援する専門組織が必要だった。

取り組みの経緯:三井不動産×Relicの業務提携

2026年4月23日、三井不動産と事業共創カンパニーである Relic が業務提携契約を締結し、 「柏の葉共創機構」 を設立した。組織はUDCKタウンマネジメント内に位置づけられ、 「産業デベロッパー」 としてのモデル都市実現を目指している。

担当責任者は、三井不動産の 光村圭一郎氏 (グループ長兼部長)と、Relicの 金子佳市氏 (執行役員)が務める。最大10人体制で技術シーズの発掘から構想・実証・事業化までをサポートする設計だ。

「研究機関やスタートアップは原則無償支援。10年で100件の事業創出を目指す」

――三井不動産関係者(PR TIMES、2026年4月)

事業拠点としては、柏の葉キャンパス駅前のハードテックラボ 「KOIL BASE」 が2026年度上期に開設予定で、共創機構の活動拠点として機能する。

サービス・事業の仕組み:4つの基本アクション

柏の葉共創機構が運用するのは 「生む・呼ぶ・試す・育てる」 という4つの基本アクションの統合運用である:

  • 生む(シーズ発掘):大学・研究機関の技術シーズを発掘し、事業化候補を抽出する
  • 呼ぶ(誘致):有望なスタートアップ・企業・人材を柏の葉エリアに誘致する
  • 試す(実証):街全体を実証フィールドとして開放し、社会実装を加速する
  • 育てる(事業成長支援):構想段階から実証・事業化・成長までを一気通貫で支援する

この4アクションは、 20年のまちづくりで蓄積された資産 と接続される。研究機関の集積、KOILなどの既存拠点、住民データ基盤、企業ネットワーク、CVCである31VENTURESの投資機能などが、新機構の活動を支える構造だ。

ライフサイエンスやフードテック分野での事業者支援と新規事業者の誘致を通じ、エリア全体の価値向上を狙う エリア全体の事業価値最大化戦略 として位置づけられる。

この事例から学べること

第一に、「街」を新規事業創出のプラットフォームとして再定義する設計は、不動産業の事業領域を拡張する。 三井不動産は土地・建物の提供者から、街全体の事業化を支援する 「産業デベロッパー」 へと事業領域を進化させている。20年のまちづくりの蓄積を新規事業支援機構という形で価値化したことで、不動産デベロッパーの事業モデルそのものに新しい解を提示した。

第二に、デベロッパーと事業共創ファームの役割分担が、再現性を生む。 拠点運営とコミュニティ形成は三井不動産、事業化プロセスとアクセラレーション運営はRelicという分担は、両者の専門性を組み合わせる合理的な設計だ。社内人材だけでイノベーション支援を完結させようとする企業より、外部のプロを巻き込む構造のほうが事業創出の質と量を担保しやすい。

第三に、「10年で100事業」という具体的な数値目標は、長期コミットメントを社内外に示すシグナルとなる。 一過性のプログラムではなく、街単位・10年単位で事業創出を続ける機構として位置づけたことで、研究機関・スタートアップ・大企業の三者から「本気度」が認識される。新規事業支援機関の信頼性は、こうした長期コミットメントの可視化によって積み上がる。

関連項目

参考文献・出典

成功の鍵

1

生む・呼ぶ・試す・育てるの4アクション統合

研究シーズの発掘(生む)、有望事業者の誘致(呼ぶ)、街単位での実証(試す)、成長支援(育てる)を一気通貫で運用。事業化の各フェーズに分断がない設計。

2

20年のまちづくり資産との接続

東大・千葉大・国立がん研究センター東病院・産総研など研究機関の集積、KOILなどの既存拠点、住民データ基盤を新機構が活用できる構造。

3

デベロッパーと事業共創ファームの役割分担

不動産・拠点運営は三井不動産、事業化プロセスとアクセラレーション運営はRelicが担う役割分担。両者の専門性を組み合わせる協業設計。

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