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事業事例

MUJI HOUSE「インフラゼロハウス」――電気・水道なしで暮らせる家のオープンイノベーション

MUJI HOUSE株式会社
住宅 / 建設 / スマートシティ #住宅 #スマートハウス #オープンイノベーション #オフグリッド #防災 #SDGs
事業・会社概要
事業会社
MUJI HOUSE株式会社
業界
住宅 / 建設 / スマートシティ
設立/開始
2023年(ゼロ・プロジェクト開始)
開始年
2023年
代表者
川内浩司(商品開発責任者)
本社
東京都豊島区
サービスサイト
www.muji.net/ie/infrazerohouse
コーポレートサイト
www.mujihouse.co.jp

History & Evolution

2022年3月

八ヶ岳に実証施設ラボを設立

山梨県八ヶ岳に実証施設を設置。開発チームが実際に生活しながらオフグリッド技術を2年以上にわたり検証。

2023年3月

「ゼロ・プロジェクト」開始

既存インフラに依存しない暮らしの実現を目指すゼロ・プロジェクトが正式スタート。

2024年4月

プロトタイプ第一号完成

千葉県南房総市の閉校校舎跡地に初号機を設置。ユーティリティ棟とリビング棟の2ユニット構成で試泊実証を開始。

2024年11月

リビング棟2号機完成

約40名の試泊フィードバックを反映した改良版2号機を新潟県の無印良品 津南キャンプ場に設置。

2025年8月〜10月

UR×MUJI HOUSE 実証実験(南花台団地)

大阪府河内長野市の南花台団地にてUR・河内長野市・関西大学と連携した防災・コミュニティ形成の実証実験を実施。

2025年12月〜2026年2月

和歌山・神戸へ移設実証

和歌山市の北ぶらくり丁商店街(2025年12月末まで)、HAT神戸・の浜(2026年2月8日まで)で実証実験を継続。

課題・背景:「インフラが整っていない場所に住めない」という壁

日本の住宅市場には、技術的ポテンシャルが高いにもかかわらず活用されない土地が多数存在する。閉校した学校跡地、過疎化した集落の空き地、商店街の空きスペース——いずれも電気・水道・排水インフラの整備コストが高く、住宅の新設が現実的でない場所だ。

MUJI HOUSEは「無印良品の家」ブランドで住宅事業を展開してきた。その商品開発責任者・川内浩司氏が注目したのは、この「インフラが整っていない好立地」という逆説的な問題だった。川内氏は「立地の良い未開発地域で一から家を建てるのはすごくお金がかかる」として、「できあがった家をここに持ってこられたら一番いい」という発想からトレーラーハウス化を構想した。

同時に、気候変動の深刻化に伴い災害時のインフラ寸断リスクへの対応も急務となっている。電気・水道が止まっても住み続けられる住宅の需要は、防災意識の高まりとともに現実的なマーケットとして浮上しつつあった。

取り組みの経緯:八ヶ岳での2年間の「体当たり実証」

2022年3月、MUJI HOUSEは山梨県八ヶ岳に実証施設ラボを設立した。開発チームが実際にオフグリッド環境で生活しながら技術を検証するという、「自分たちが住む」体当たり方式の開発プロセスを採用した。

この実証の過程でMUJI HOUSEが連携したのが、INNFRA株式会社だ。INNFRAはオフグリッドインフラを専門とする企業で、代表取締役の川島壮史氏と、オフグリッドインフラプロデューサーの渡鳥ジョニー氏が技術共創に参画した。水循環システムの設計・監修をINNFRAが担い、住宅設計・商品開発をMUJI HOUSEが担う役割分担が確立した。

2023年3月には「ゼロ・プロジェクト」として取り組みを正式にブランド化。「既存インフラへの依存をゼロにする」という明確なコンセプトのもと、外部発信を開始した。2024年4月には千葉県南房総市の閉校校舎跡地にプロトタイプ第一号を設置し、試泊実証を開始した。

サービス・事業の仕組み:太陽光と水循環で完結するシステム設計

インフラゼロハウスは、ユーティリティ棟とリビング棟の2ユニットで構成されるトレーラーハウスだ。タイヤが装備されており、車両での運搬・移動が可能な設計となっている。

エネルギーシステムは外壁と屋根を全面太陽光パネルとし、発電した電力を蓄電池に蓄積することで、生活に必要な電力を自給する。電力系統への接続を前提としない独立型の設計だ。

水システムは三段階の循環処理方式を採用する。生物処理(微生物による有機物分解)、膜処理(フィルタリング)、殺菌処理の順で行い、約200リットルの水を循環させる。水道接続・排水処理設備なしで、調理・シャワーを含む生活用水を賄う。INNFRAが水循環システムを設備として納品し、インフラ全般の設備構成・容量設計を監修する役割を担っている。

インフラゼロハウスは単なる住居としてだけでなく、多拠点居住・防災拠点・地域コミュニティの結節点としての活用も想定されている。川内氏は「自然環境を察知しながら暮らすことで、自分のリテラシーが上がることへの満足感」を強調しており、住む人の意識変容も価値として位置づけている。

UR・自治体・大学との多機関実証

2025年8月から10月にかけて、MUJI HOUSEはUR都市機構・河内長野市・関西大学と連携し、大阪府河内長野市の南花台団地での実証実験を実施した。防災・減災意識の向上、人と人のつながり構築、環境配慮への関心拡大の3点を目的として設定し、地域住民向けイベントや防災啓発展示を展開した。

MUJI HOUSE本多氏は「『いつものもしも』という考えを象徴する存在だと思います」と述べており、平常時から防災機能を生活に溶け込ませる「常備型防災」のコンセプトを打ち出している。実証後、インフラゼロハウスは和歌山市・神戸市へと移設され、異なる地域・文脈での検証が継続されている。

この事例から学べること

「インフラ依存」を前提とした住宅設計そのものを疑うことが、新市場を開く。 住宅産業は「インフラに接続することが前提」として設計されてきた。インフラゼロハウスはその前提を排除することで、従来は住宅建設が不可能だった場所——閉校跡地・過疎地・商店街空き地・災害被災地——に新たな住宅需要を創出する可能性を持つ。

オープンイノベーションは「技術調達」ではなく「役割の明確な分業」で機能する。 MUJI HOUSEとINNFRAの連携では、住宅設計と水・電気インフラ技術という異なるドメインが明確に分業されている。単に技術を外部調達するのではなく、それぞれが主体性を持って担う領域を確定した上で共創する設計が、プロトタイプ完成までの速度を生んだ。

「自分たちが住む」という体当たり実証が、実用性の担保と信頼形成を同時に果たす。 2年間のラボ生活と40名以上の試泊フィードバックは、スペック上の性能ではなく「実際に暮らせるか」の検証プロセスだ。この徹底した実証姿勢が、UR・自治体・大学という公的機関との連携を引き寄せた。

関連項目

参考文献・出典

成功の鍵

1

INNFRA社との技術共創

オフグリッドインフラの専門企業INNFRA株式会社が水循環システムの設計・監修を担当。MUJI HOUSEの住宅設計力とINNFRAの技術力を組み合わせた役割分担が開発を加速した。

2

「体当たり実証」による信頼性担保

2022年から開発チーム自身が八ヶ岳のラボで実際に生活しながら技術を検証。40名以上の試泊フィードバックを反映した改良サイクルが製品の実用性を高めた。

3

多機関横断の実証実験設計

UR・自治体・大学・MUJI HOUSEが役割分担して実証実験を設計。防災・コミュニティ・環境の3視点から住宅の社会的価値を多角的に検証する枠組みを構築した。

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