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事業事例

リコー 統合型アクセラレーター「TRIBUS 2025」 — 社内4チームと外部8社が同じ土俵で事業共創する第7期の全容

株式会社リコー
電機・精密機器 #ricoh #tribus #accelerator #co-creation #open-innovation #intra-venture #printing
事業・会社概要
事業会社
株式会社リコー
業界
電機・精密機器
開始年
2019年
サービスサイト
jp.ricoh.com/business/tribus
コーポレートサイト
jp.ricoh.com

History & Evolution

2019-01

TRIBUS第1期開始

リコーが社内外の起業家・スタートアップを統合的に支援するアクセラレータープログラム「TRIBUS」を開始。社内チームと外部スタートアップが共通プロセスで事業検証を行う統合型設計が特徴。

2025-06-02

TRIBUS 2025(第7期)応募開始発表

「出会いが変える 未来の選択肢」をテーマに第7期の応募受付を開始。11の事業領域を設定し、2025年6月から7月22日まで募集。社外応募数は過去最多255件を記録。

2025-09-08

採択チーム選出(社内4・外部8の計12チーム)

統合ピッチコンテストを実施し、社内起業家4チームと外部スタートアップ8社の計12チームを採択。プログラムを通じた事業検証・リコーとの共創フェーズが開始。

課題・背景:精密機器大手が「印刷の外」に挑むイノベーション構造の必要性

リコーは複写機・プリンターを中核とする精密機器・電機メーカーだ。オフィスドキュメントソリューション領域では世界的なプレゼンスを持つが、ペーパーレス化・クラウドシフトという長期的トレンドの中で、印刷事業の延長線上にない新たな価値軸の開拓が経営的に不可欠な課題となっている。

既存の精密機器メーカーがデジタルサービス・ヘルスケア・環境・教育といった異質な領域に進出するためには、社内の知見だけでは限界がある。外部スタートアップの技術・顧客接点・事業スピードを内部に取り込みながら、同時に社内のドメイン知識と顧客ネットワークを外部に開放する「双方向の共創」が求められる。

しかしオープンイノベーションの多くは「大企業が外部から技術・ソリューションを調達する」一方向的な構造に陥りがちだ。リコーがTRIBUSで設計したのは、社内起業家と外部スタートアップを同じプロセスに組み込み、互いが学び合う双方向の共創環境だ。第7期までの継続的な運営と応募数の拡大は、この設計が機能していることを示す。

取り組みの経緯:第1期から第7期への進化

2019年頃に開始されたTRIBUSは、リコーが手がける「統合型アクセラレータープログラム」として設計された。特徴は社内起業家と外部スタートアップを同一プロセスに乗せる点だ。多くの企業アクセラレーターが外部のみ(またはまれに社内のみ)を対象とするのに対し、TRIBUSは両者が同じメンタリング・検証・ピッチプロセスを経ることで「助け合いと高め合い」を生む構造をとる。

第7期「TRIBUS 2025」は**「出会いが変える 未来の選択肢」をテーマに掲げた。応募開始は2025年6月2日、受付期間は7月22日まで。社外応募数は過去最多の255件**を記録し、累計応募数は1534件に達した。社内からも65件の応募があり、合計で大きな注目を集めた。

2025年9月8日の統合ピッチコンテストで社内起業家4チームと外部スタートアップ8社の計12チームが採択された。11の事業領域を設定した過去最大規模のプログラムとして、事業共創フェーズが開始された。9社のパートナー機関(2025年度から2社新規追加)が支援に加わり、外部の事業化支援リソースも充実させた。

「スタートアップ企業と社内起業家が助け合い、高め合う共創プログラム」

――TRIBUS公式コンセプト

サービス・事業の仕組み:統合型プログラムの運営構造

TRIBUSの採択チームは、リコーのリソース(技術・顧客接点・実証フィールド)を活用しながら事業検証を進める。400名以上のリコー社員がサポーターとして参画し、採択チームの課題に応じた専門知識・人脈・組織内調整を支援する体制をとる。1700名のコミュニティ登録者も緩やかに関与する。

採択企業の例として、物流データ管理のKasanareや飲料容器の持続可能性に取り組むGokuriなど、リコーの既存事業から見て「隣接領域」ではなく、大きく異なる課題領域のスタートアップが採択されている。これはTRIBUSがリコーの既存事業補完ではなく、新市場開拓を目的としていることを示している。

事業領域は11領域と設定され、設計・製造・教育・ヘルスケア・環境・物流・地域社会など幅広いテーマをカバーする。社内チームはリコーの内部リソースを使いながら外部スタートアップと同じ土俵で競い合う。この設計は、社内起業家が「ぬるま湯」での事業検証に陥ることを防ぎ、外部の視点からの厳しいフィードバックを受ける機会を提供する。

成果と現状:7期で蓄積した共創エコシステムの厚み

第7期時点で、TRIBUSは累計応募数1534件・6期分の採択企業・社内チームの共創実績というエコシステムを形成している。応募数が毎期増加していることは、プログラムへの外部評価が高まっていることを示す最も直接的な指標だ。

リコーにとっては、7期分の共創プロセスで蓄積されたスタートアップとの協業ノウハウ・失敗事例・成功パターンが組織知として内部化されつつある。400名超のサポーター体制は、TRIBUSの運営を通じてリコー社員自身がイノベーションマネジメントを学ぶ「組織学習プラットフォーム」としても機能している。

具体的な事業化成果については、第7期完了後の詳細が今後発表される見通しだ。過去6期の実績では複数のスタートアップとの協業が継続的なビジネス関係に発展しており、単発の実証実験で終わらない「本格共創」へのコミットメントがリコーの姿勢として定着している。

この事例から学べること

「社内と社外を同じ土俵に乗せる」統合型設計が、互いの強みを引き出す。 社内起業家は外部スタートアップのスピードと顧客志向を学び、外部スタートアップは大企業の組織調整と既存顧客への展開を学べる。分離型では生まれない相互学習効果が、統合型ならではの付加価値だ。

応募数の継続拡大は「プログラムの信頼性」の最も正直な指標だ。 TRIBUSが7期255件まで応募を増やし続けていることは、スタートアップコミュニティが「参加する価値がある」と判断し続けていることを意味する。大企業アクセラレーターへの参加コスト(時間・情報開示リスク)を引き受けるに値する事業機会があると認識されているかどうかが、持続性の鍵だ。

400名のサポーター体制は「組織全体の動員」による本気のシグナルだ。 事業部担当者数名でなく400名が参与することは、リコーが組織としてオープンイノベーションに本気であることを外部に示す。人数の規模が「担当部署の業務」ではなく「全社的な優先事項」として定着していることを証明する。

関連項目

参考文献・出典

成功の鍵

1

社内と社外を同じプロセスに乗せる「統合型」設計が相互学習を生む

多くの企業アクセラレーターは社内か社外かのいずれかを対象にするが、TRIBUSは両者を同一プログラムに組み込む。社内起業家が外部スタートアップと並走することで、外部の事業スピードやアプローチへの感度が高まる。逆に外部スタートアップは社内の課題理解と調整プロセスを学べる。

2

400名以上のサポーターと1700名コミュニティがリコーの「総力戦」を体現

単なる事業部の担当者だけでなく、400名以上のリコー社員がサポーターとして参画し、1700名のコミュニティ登録者が緩く関与する構造をとる。大企業の新規事業支援が「少数精鋭」ではなく「組織全体の動員」として機能する設計だ。

3

過去最多応募の継続拡大がプログラムのブランド価値を示す

第6期の社外応募172件から第7期は255件へと急増し、累計応募数は1534件に達した。応募数の増加は、参加後の事業進展事例が外部スタートアップコミュニティに広まった結果であり、TRIBUSが「実績のある共創機会」として認知されていることを示す。

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