avatarin
avatarin Inc.
ANAホールディングス発のスタートアップ。アバターロボット「newme」やプラットフォーム事業を通じて、距離や身体的制約を超えた「移動の民主化(瞬間移動)」という新たな社会インフラの構築を目指す。
企業概要
- 企業名
- avatarin
- 業種
- ロボティクス・モビリティテック
- 所在地
- 東京都中央区日本橋
- 創業
- 2020年
- 公式サイト
- avatarin.com
新規事業の歴史
History & Evolution
ANA社内AVATAR事業推進室発足
深堀昂氏がANAホールディングス社内でアバター事業の構想を開始。
XPRIZE ANA Avatar発表
XPRIZE財団と共同で総額1,000万ドルのアバター技術コンペティションを発表。
avatarin設立(カーブアウト)
ANAホールディングスからスピンアウトし、株式会社avatarinとして独立。
newme商用展開開始
遠隔操作型アバターロボット「newme」の商用サービスを本格展開。
XPRIZE受賞チーム決定
ANA Avatar XPRIZEの最終審査が完了し、受賞チームが決定。
概要:「瞬間移動」を実現するアバターロボット企業
avatarin(アバターイン)は、ANAホールディングスから生まれたアバターロボット・スタートアップである。「距離・身体・時間の制約を超え、誰もがどこからでも社会参加できる世界」をビジョンに掲げ、遠隔操作型ロボット「newme(ニューミー)」の開発・提供を通じて、移動の概念そのものを根本から再定義しようとしている。
「アバターは、移動の民主化を実現する。身体が動かせない人も、海外にいる人も、アバターを通じてその場にいるかのように活動できる。これは単なるロボットではなく、人類の可能性を拡張するインフラだ」
2020年4月の設立以来、観光・教育・医療・オフィスなど多様な領域でアバターの社会実装を推進し、日本発のアバター・プラットフォーマーとしてグローバル展開を加速している。累計資金調達額は約45億円に達し、国内外の投資家から高い評価を受けている。
誕生の経緯:ANAの「瞬間移動プロジェクト」から独立
avatarinの原点は、ANAホールディングス社内で深堀昂氏が立ち上げた**「AVATAR事業推進室」**にある。航空会社が「人を物理的に運ぶ」ことを本業とする中で、深堀氏は「物理的に移動しなくても”そこにいる”体験を届けられないか」という逆転の発想に挑んだ。
社内プロジェクトとして始まった取り組みは、2018年にANA発のXPRIZE ANA Avatar XPRIZEとして国際コンペティションへと発展。世界中の研究者や技術者を巻き込み、アバター技術のグローバルな研究開発を加速させた。このコンペティションは総額1,000万ドルの賞金をかけた大規模なものであり、アバター技術の発展に大きく貢献した。
2020年、事業の成長ポテンシャルとスピードある意思決定の必要性から、ANAホールディングスの**コーポレートベンチャー**としてスピンアウト。独立した株式会社avatarinとして新たなスタートを切った。
製品・サービス:newmeとアバタープラットフォーム
avatarinの中核製品は、遠隔操作型コミュニケーションアバター**「newme」である。操作者はPCやスマートフォンから遠隔地のnewmeを自由に操作し、カメラとマイクを通じてまるでその場にいるかのようにコミュニケーション**を取ることができる。
newmeの特長は、そのシンプルさとアクセシビリティにある。複雑な操作を排し、誰でも直感的に利用できる設計とすることで、テクノロジーに不慣れな高齢者や子どもでも簡単にアバター体験が可能だ。観光地への「アバター旅行」、病院での遠隔面会、学校での不登校児の授業参加など、ユースケースは急速に拡大している。
さらに、avatarinは個々のロボット販売にとどまらず、**アバター・プラットフォーム「avatarin Platform」**の構築を進めている。世界中のアバターをネットワーク化し、誰もが好きな場所のアバターにアクセスできる「瞬間移動のインフラ」を目指す構想だ。
XPRIZE ANA Avatar XPRIZE:世界規模の技術コンペティション
avatarinの技術開発を語る上で欠かせないのが、XPRIZE ANA Avatar XPRIZEである。ANAホールディングスが冠スポンサーとなり、XPRIZE財団と共同で2018年に立ち上げたこの国際コンペティションは、アバター技術の急速な発展を促す起爆剤となった。
世界99チームが参加し、遠隔地のロボットを通じて視覚・聴覚・触覚を含むリアルタイムの身体体験を実現する技術を競った。2022年のグランプリでは、ロボットアームでの精密作業から対面コミュニケーションまで、アバター技術の実用性が世界に示された。この取り組みにより、avatarinは単なる一企業の製品開発を超え、アバター技術のグローバルなエコシステム構築者としての地位を確立した。
「XPRIZE ANA Avatar XPRIZEは、賞金の額以上に、世界中の研究者にアバター技術の可能性を示す”灯台”としての役割を果たした。技術は一社だけでは進化しない。世界を巻き込むことで、アバターの未来は10年早まった」
戦略的意義:航空会社が「移動しない世界」を創る逆説
avatarinの最大の特異性は、「移動させること」を本業とするANAグループから、「移動しなくてもよい世界」を創る企業が生まれたという戦略的逆説にある。これは既存事業の否定ではなく、「移動の価値」を再定義する挑戦として位置づけられている。
「航空会社だからこそ、移動の本質的な価値を知っている。物理的に動くことだけが移動ではない。遠くにいる孫の顔を見ること、異国の景色を体感すること。その”体験”こそが移動の本質だ」
大企業のスピンアウトとして、ANAグループの航空ネットワーク・空港インフラ・ブランド信頼性を活用しながら、スタートアップとしてのスピードで新市場を開拓するというハイブリッド戦略を展開している。COVID-19のパンデミックにより物理的移動が制限される中でのスピンアウトという時期的要因も、アバター技術への社会的ニーズを高め、事業の追い風となった。
今後の展望
avatarinは、アバター技術を社会インフラへと進化させることを目指している。高齢化や過疎化が進む日本において、遠隔医療・遠隔教育・遠隔就労をアバターで実現し、地理的格差を解消することは、社会課題解決の切り札となりうる。
空港や観光施設への常設配備、企業のリモートワーク環境への導入、さらには国境を越えた「アバター外交」の可能性まで、その応用範囲は無限に広がっている。深堀昂氏が語る「瞬間移動の民主化」は、大企業発スタートアップが既存事業の延長線上にない非連続なイノベーションを生み出せることの力強い証明である。
関連項目
成功の鍵
瞬間移動のインフラ化
アバタープラットフォーム構想により、世界中のアバターをネットワーク化。
シンプルUX
誰でも直感的に使えるnewmeで、テクノロジーの敷居を下げる。
ANAアセット活用
空港インフラ・航空ネットワーク・ブランド信頼性をスタートアップ経営に転用。
おすすめ書籍
IntraStar NEWS
新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を
ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。
Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます


