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事業会社

TOUCH TO GO

TOUCH TO GO ロゴ

TOUCH TO GO Inc.

JR東日本スタートアップとサインポストの合弁で設立された無人決済店舗企業。「お母ちゃんでも使える」を合言葉に、200店舗超への展開を実現。

企業概要
企業名
TOUCH TO GO
業種
無人決済 / リテールテック
所在地
東京都
創業
2019年
公式サイト
ttg.co.jp

新規事業の歴史

History & Evolution

2017

JR東日本スタートアッププログラムで最優秀賞

サインポスト社のAI無人決済システムが採択。JR大宮駅で初の実証実験を実施。

2018

JR赤羽駅で2回目の実証実験

前年の知見を活かし改良版を投入。事業化への手応えを確認する。

2019

株式会社TOUCH TO GO設立

JR東日本スタートアップとサインポストが50%ずつ出資し、資本金3億円で合弁会社設立。

2020

高輪ゲートウェイ駅に1号店オープン

日本初の常設型無人AI決済店舗を開業。ウォークスルー型買い物体験を実現。

2021

ファミリーマートとの協業開始

サピアタワー/S店をオープン。大手コンビニチェーンとの本格パートナーシップが始動。

2024

導入店舗数200店舗突破

TTG-SENSEとTTG-MONSTARシリーズの合計導入店舗が200店舗を超える。

2025

多製品展開と1,000店舗構想

TTG-SENSE MICRO W、TTG-SENSE SHELFなど多様な製品ラインで設置環境を拡大。

TOUCH TO GOの新規事業の歴史

TOUCH TO GOは、JR東日本グループのスタートアッププログラムから生まれた無人決済店舗企業である。その原点は2017年、サインポスト社が開発したAI無人決済システムがJR東日本スタートアッププログラムで最優秀賞を獲得したことにさかのぼる。同年12月にJR大宮駅で初の実証実験を実施し、 翌2018年10月にはJR赤羽駅で2回目の実証 を行った。

これらの実績を踏まえ、2019年7月にJR東日本スタートアップとサインポストが 50%ずつ出資し、資本金3億円 で株式会社TOUCH TO GOが設立された。代表取締役社長に就任した阿久津智紀は、JR東日本で駅ナカコンビニNEWDAYSの店長として20〜30名のアルバイトをマネジメントし、店舗運営の現場課題を肌で知る人物である。

2020年3月、JR高輪ゲートウェイ駅の開業と同時に日本初の常設型無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」1号店をオープン。2021年にはファミリーマートとの本格協業を開始し、 2024年10月に累計導入200店舗を突破 した。実証実験の開始からわずか7年で、無人決済のスタンダードを築きつつある。

「大企業の現場の人間が、当事者意識をもって、リスクも背負いながら事業開発に臨むことが大切。仲介役としてではなく、実業の担い手として動く」

――TOUCH TO GO 強烈な当事者意識で「無人決済」の未来を創る(Incubation Inside)

新規事業戦略の特徴

TOUCH TO GOの新規事業戦略は、「短期でスモールに目に見えるものを作る」という原則を一貫して実践している点が特徴的である。技術の完成度よりも、まず動くプロダクトを見せて外部の評価を獲得し、その実績で社内の支持を広げるアプローチだ。

第一の特徴はリーンな段階的検証である。 大宮駅でのPoCを皮切りに、赤羽駅での改良実証、高輪ゲートウェイ駅での常設店舗と、段階を踏んで事業化の確度を高めていった。各ステップで得られたデータと顧客反応が、次のステップへの投資判断の根拠となった。合弁会社の設立は実証実験の成功を踏まえた判断であり、「まず実証、その後に組織を作る」という順序が徹底されている。

第二の特徴は大手パートナーとの共創によるスケール戦略である。 ファミリーマートは主要な導入パートナーとなり、2021年3月のサピアタワー/S店を皮切りに 53店舗以上 の無人決済店舗を展開している。JR東日本の駅ナカに加え、医療施設やオフィスビルなど多様な立地への展開も進んでいる。

第三の特徴は多製品ラインナップによる市場適応である。 大型店舗向け「TTG-SENSE」、省スペース向け「TTG-SENSE MICRO」「TTG-SENSE MICRO W」、棚1台から導入可能な 「TTG-SENSE SHELF」、多機能セルフレジ「TTG-MONSTAR」シリーズと、設置環境に応じた複数のプロダクトを展開している。

代表的な事業事例の深掘り

高輪ゲートウェイ駅1号店:日本初の常設無人AI決済店舗

2020年3月、JR高輪ゲートウェイ駅の開業と同時にオープンしたTOUCH TO GO 1号店は、日本初の常設型無人AI決済店舗として大きな注目を集めた。AIカメラと重量センサーで来店客が手に取った商品を自動認識し、バーコードスキャン不要の ウォークスルー型買い物体験 を実現した。

通常3〜4名必要な店舗運営を1名で可能にし、 人件費を月額約80万円削減 する効果が確認された。事前登録不要、スマホアプリのダウンロードも不要という「入って、取って、出る」だけのシンプルさが、幅広い年齢層の利用を可能にしている。

「事前登録不要、スマホアプリのダウンロードも不要。入って、取って、出る。ただそれだけの買い物体験を実現した」

――高輪ゲートウェイ駅に出現、常設「駅ナカ無人コンビニ」の全貌(Business Insider Japan, 2020年3月)

ファミリーマートとの大規模パートナーシップ

ファミリーマートとの協業は、TOUCH TO GOのスケール戦略の中核を担っている。2021年3月の「ファミリーマート サピアタワー/S店」では、約55平米の店舗に48台のカメラを設置し 商品認識率95% を達成した。その後、オフィスビル、病院、大学キャンパスなど多様な施設への展開を加速させている。

2025年には甲南大学西校舎に「TTG-SENSE SHELF」を全国初導入し、商品棚1本から無人決済を実現する最小構成モデルの実用性を証明した。川越西郵便局には「TTG-SENSE MICRO W」を導入し、郵便局内での無人店舗という新しい設置モデルも開拓している。

「『自分のお母ちゃんが使えるシステムにしよう』が合言葉。高齢化が進む日本では、親世代こそがマスマーケットになる」

――お母ちゃんでも使える無人決済店舗システムで人手不足問題を解決する(MUGENLABO Magazine)

東芝テックとの協業:全国展開への布石

TOUCH TO GOは東芝テックとの業務提携により、全国規模での無人決済システム導入体制を構築した。東芝テックの全国サービスネットワークを活用することで、地方都市や小規模店舗への展開が可能になり、 1,000店舗構想 の実現に向けた基盤が整いつつある。

キーパーソンと組織文化

TOUCH TO GOの事業推進を支えるのは、代表取締役社長阿久津智紀の「誠実な対話」を軸とした経営スタイルである。NEWDAYSの店長時代に人手不足の現場課題を肌で経験したことが、無人決済による省人化というコンセプトの原点となった。技術的な優位性を持ちつつも、それを 「3分で伝わる資料」 に翻訳し、相手の意思決定を助けるコミュニケーションを重視している。

JR東日本スタートアップとサインポストという異なる企業文化を持つ2社の合弁である点も、TOUCH TO GOの組織文化に独自性を与えている。大企業のリソースとスタートアップのスピード感を両立させるために、「仲介役ではなく実業の担い手として動く」というイントラプレナー精神が組織全体に浸透している。

「新規事業は短期でスモールに目に見えるものを作ることが重要。外部の評価やメディア報道が、結果として組織内の巻き込みにつながる」

――新規事業は短期でスモールに目に見えるものを(BUSINESS LAWYERS)

成功と失敗から学べること

TOUCH TO GOの成功から学べる最大の教訓は、 技術の優位性だけでは事業は成り立たない という点である。AI画像認識や重量センサーを組み合わせた無人決済システムは、開発コストが高く導入先の確保も容易ではない。技術的に「動く」ことと事業として「成り立つ」ことの間には大きな溝がある。

この溝を埋めたのが、段階的な実証実験による信頼構築と、ファミリーマートという大手パートナーの獲得であった。特に「お母ちゃんでも使える」という合言葉に象徴される ユーザー視点の徹底 が、技術者目線に陥りがちなリテールテック企業との差別化要因となった。高齢化が進む日本市場では、最新技術よりも「誰でも迷わず使える」シンプルさこそが競争優位の源泉である。

大企業発スタートアップが直面する「事業化の壁」を乗り越えるには、外部の評価やメディア報道を戦略的に活用し、社内の支持を獲得するアプローチが有効だ。TOUCH TO GOの実践は、MVPを素早く作り、外部の反応で仮説を検証するリーンスタートアップの好例でもある。

今後の展望

TOUCH TO GOは 長期目標として1,000店舗 の展開を掲げている。2024年10月に200店舗を突破した後、来期(2025年4月〜)は 年間80店舗の新規オープン を目標としており、出店ペースの大幅な加速を計画している。

製品ラインナップの多様化も今後の成長を支える柱となる。大型店舗向けの「TTG-SENSE」から棚1台の「TTG-SENSE SHELF」まで、あらゆる設置環境に対応する製品群は、これまで無人決済の導入が難しかった小規模施設や地方の店舗にも展開の道を開く。東芝テックとの提携による全国サービス体制の整備も、地方展開を加速させるだろう。

人手不足が深刻化する日本の小売・流通業界において、 無人決済は「あれば便利」から「なければ困る」インフラ へと変わりつつある。TOUCH TO GOが切り拓いた「入って、取って、出る」という買い物体験が、日本の消費のスタンダードになる日は遠くないかもしれない。

関連項目

成功の鍵

1

段階的実証から事業化へ(リーンな検証)

大宮駅→赤羽駅→高輪ゲートウェイ駅と段階的に実証を重ね、合弁設立へ。

2

大手パートナーとの共創(スケール戦略)

ファミリーマートとの協業で44店舗超を展開し、無人決済の社会実装を加速。

3

多製品ラインナップ(市場適応)

大型店舗からの棚1台まで、設置環境に応じた複数製品で導入障壁を低減。

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