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用語集

ミッション

ミッション(Mission) とは、企業や事業が「Iの視点」で描く未来のあるべき姿であり、自らが実現したいことを宣言するものである。

パーパス(存在意義)やビジョン(実行方針)と並ぶ企業・事業の根幹概念であり、日々の意思決定における判断基準として機能する。以下では、新規事業においてミッションが果たす役割と、チームで機能するミッションを策定するための具体的手法を解説する。


ミッション不在の新規事業が迷走する理由

新規事業を立ち上げる際、多くのチームが「何を作るか」「どう売るか」から議論を始める。しかし、事業の方向性を定める 北極星としてのミッション が不在のまま走り出した事業は、意思決定のたびにチーム内で方針が揺れ、最終的には迷走する。

大企業の新規事業開発では特に顕著で、経営陣の一言で方向性がころころ変わる、市場環境の変化に振り回されて軸を見失う、チームメンバー間で「何のためにやっているのか」の認識がバラバラ――こうした症状の根本原因は、 ミッションの不在または形骸化 にある。全社のミッションはあっても、 新規事業固有のミッション が設定されていないケースも非常に多い。

曖昧な出発点がチームを分裂させた実例

ある電機メーカーの新規事業チームは、IoTプラットフォーム事業を立ち上げた。技術的には順調に進んでいたが、半年後にチーム内で深刻な対立が生じた。「BtoB向けの工場効率化」を目指すメンバーと「BtoC向けのスマートホーム」を推すメンバーに分かれ、議論は平行線をたどった。

その根本原因を遡ると、チームにはミッションが存在しなかった。 「IoTで何かやる」という曖昧な出発点 しかなかったのである。結局、 3ヶ月の議論の末にチームは分裂 し、どちらの事業も中途半端な形で縮小された。

後に事業統括部長は「最初の1週間でミッションを定義していれば、この無駄な3ヶ月はなかった」と振り返っている。

機能するミッションを策定する3つの手法

効果的なミッションを策定するための具体的手法は以下の3つである。1) 「Iの視点」での言語化:ミッションは「私たちはこういう未来を実現する」というIの視点で語られるべきである。「社会が〜になる」というWeの視点はパーパスの領域であり、ミッションは自社が主語となる宣言である。実現したい未来の状態を 30文字以内 で表現することから始める。

2) 選択基準としての検証:策定したミッションが、実際の 意思決定で機能するか を検証する。「AとBのどちらに進むべきか」という過去の論点に対して、ミッションが明確な方向性を示せるか確認する。

3) 全員参加のワークショップ:ミッションはトップダウンで降ろすのではなく、チーム全員が議論に参加して合意形成する。 自分事として腹落ちしたミッション だけが、日々の判断基準として機能する。

「仮ミッション」をチームで言語化する手順

明日から取り組むべき具体的アクションとして、まず新規事業チーム全員で「この事業が5年後に大成功した場合、世の中の何が変わっているか」を各自付箋に書き出すワークを実施する。次に、出てきたキーワードを整理し、共通する要素を抽出して1文にまとめる。

この「仮ミッション」を壁に貼り出し、1週間の業務の中で判断に迷ったときに参照してみる。機能する実感があれば採用し、しっくりこなければ翌週に修正する。

ミッションは完璧に作り込んでから発表するものではなく、 仮説検証を通じて磨き上げる ものである。重要なのは、チーム全員が同じ言葉を共有し、同じ方向を向いていることの確認である。

ミッション策定が急務となる状況とは

ミッションの策定・見直しが特に急務なのは、以下のような状況にある人々である。新規事業を立ち上げたばかりで、チームの方向性を定める必要がある事業リーダー。事業の方向性について社内で議論が紛糾しており、判断基準が必要な新規事業推進担当者。

また、複数の新規事業を統括する立場にあり、各事業の位置づけと優先順位を明確化したい経営企画部門にも有効である。一方で、既にミッションが機能しており、チームの方向性が明確な場合は、ビジョンやパーパスとの整合性確認に移行する方がよい。

今週30分のワークショップで一歩を踏み出す

ミッションはビジョンパーパスと密接に関連する概念であるが、それぞれの役割は異なる。パーパスが「Weの視点」で社会的意義を語り、ミッションが「Iの視点」で自社の実現したい未来を描く。

この違いを理解した上で、まずは自社の新規事業固有のミッションを言語化するところから始めてほしい。今週中にチーム全員で30分のワークショップを設定し、「仮ミッション」を1つ決めることを推奨する。完璧を求めず、まず言葉にすることが最初の一歩である。言語化された瞬間から、チームの意思決定の質は確実に変わる。

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