Wiki by IntraStar
用語集

ノーコード

ノーコード(No-Code) とは、プログラミングを一切行わずにWebアプリやモバイルアプリなどのサービスを構築できる開発手法・ツールの総称である。「NoCode」とも表記される。

エンジニアリソースが不足しがちな大企業の新規事業開発において、アイデアの検証スピードを劇的に向上させる武器となる。以下では、ノーコードツールの選定方法、MVP構築への活用法、非エンジニア人材の育成アプローチを解説する。


エンジニア不足がアイデア検証を阻んでいる

大企業の新規事業開発における最大のボトルネックの一つが、エンジニアリソースの不足である。社内のIT部門は既存システムの保守運用で手一杯、外部への開発委託は 見積もりだけで2ヶ月、開発に半年、費用は 最低でも数千万円――この状況では、アイデアの検証に着手する前に予算申請と稟議だけで半年が過ぎてしまう。

新規事業は仮説検証のスピードが命であるにもかかわらず、「作れない」という物理的な制約が最初の一歩を阻んでいる。結果として、PowerPointの事業計画書だけが量産され、 実際に顧客に触れてもらえるプロダクトが一向に生まれない。この構造的な問題を解決するのがノーコードというアプローチである。

4,500万円の見積もりを17万円で解決した実例

ある大手保険会社の新規事業担当者は、営業現場の課題を解決するBtoB向けSaaSのアイデアを持っていた。しかし、IT部門に相談したところ 「開発着手は最短で8ヶ月後、見積もりは4,500万円」 という回答だった。新規事業の初期予算は500万円。このままでは検証すらできない。

途方に暮れていた彼は、社外のスタートアップ勉強会でBubbleというノーコードツールの存在を知った。独学で2週間、外部メンターの支援を受けながらさらに2週間。計1ヶ月で、基本機能を備えたプロトタイプが完成した。

費用はBubbleの月額利用料2万円とメンター費用の15万円、 合計17万円。このプロトタイプを10社に見せたところ、 3社から「有料でも使いたい」 という反応を得た。4,500万円の開発の前に、17万円で仮説が検証できたのである。

ノーコードを新規事業に活用する3つの手法

ノーコードを新規事業開発に活用するための具体的手法は以下の3つである。1) 用途別ツール選定:Webアプリにはbubble、モバイルアプリにはAdalo、データベース管理にはAirtable、Webサイトにはstudio、業務自動化にはZapierなど、 目的に応じた最適なツール を選定する。1つのツールで全てを賄おうとせず、組み合わせて使うことがポイントである。

2) MVP特化の割り切り:ノーコードで構築するのはあくまでMVPであり、 スケールフェーズでは専門的な開発に移行 することを前提とする。この割り切りがあるからこそ、完璧を求めずに素早くリリースできる。

3) 非エンジニア人材の育成:事業企画者自身がノーコードツールを扱えるようになることで、「思いついたらすぐ作る」文化が生まれる。 2〜4週間の集中学習 で基本操作は習得可能である。

コア画面1つをまず作って顧客に見せる

明日から始められるアクションとして、まずBubbleまたはAdaloの無料アカウントを作成し、チュートリアルを1つ完了させてほしい。所要時間は約2時間である。

次に、現在検討中の新規事業アイデアの中で「最も重要な1画面」をノーコードで作ってみる。ログイン画面や設定画面ではなく、顧客が最も価値を感じるコア画面を1つだけ作る。その画面を5人の潜在顧客に見せて反応を確認する。

「これならお金を払う」という反応が得られれば、その方向で開発を進める根拠となる。ノーコードの真価は、「作る」ことではなく「学ぶ」ことにある。顧客の反応から学ぶスピードを10倍にする武器として活用してほしい。

非エンジニアの事業開発リーダーに最適

ノーコードの活用が特に有効なのは、以下のような状況にある人々である。エンジニアリソースが不足しており、アイデアの検証に着手できていない新規事業企画担当者。開発予算が限られており、低コストでMVPを構築したいスタートアップ的な社内チーム。

また、非エンジニアでありながら事業開発を任されている営業・企画出身の新規事業リーダーにとっても、ノーコードは強力な武器となる。一方で、高度なセキュリティ要件が求められる金融・医療分野や、大量データ処理が必要なサービス、リアルタイム性が求められるシステムでは、ノーコードの限界を理解した上で使う必要がある。

「作れない」という制約を今週中に取り除こう

ノーコードはMVPを最速で構築するための手段であり、PoCの段階でもプロトタイプ作成に大いに活用できる。ローコードとの違いも理解しておくとよい。ノーコードがプログラミング不要なのに対し、ローコードは最小限のコーディングで拡張性を持たせるアプローチである。まずは今週中にノーコードツールのアカウントを作成し、最初のプロトタイプを完成させることを目標にしてほしい。「作れない」という制約を取り除くだけで、新規事業の検証スピードは劇的に向上する。行動を起こした瞬間から、学びが始まる。

情報の修正・追加を提案
登録して新規事業の最新情報を受け取る
NEWSLETTER

IntraStar NEWS

新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。

Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます