トランスフォーメーション
トランスフォーメーション(Transformation / 変革) とは、ビジネスモデルや組織構造、収益構造などを根本から変える抜本的な構造改革のことである。既存の延長線上にある「改善」とは本質的に異なり、企業のあり方そのものを変容させることを意味する。
DX・CX・BXなど様々な文脈で使われるトランスフォーメーションだが、その本質を理解しないまま取り組むと「改善をトランスフォーメーションと呼び替えただけ」に終わる危険性がある。以下では、トランスフォーメーションの本質的な定義と改善との違い、実現のための条件について解説する。
「改善」を「変革」と呼び替える形骸化の実態
「トランスフォーメーション」という言葉が日本企業のあらゆる場面で使われるようになったが、多くの場合その実態は「改善」の域を出ていない。業務プロセスの効率化をDXと呼び、組織図の変更をCXと呼び、新サービスの追加をBXと呼ぶ。
しかし、トランスフォーメーションの本質は 抜本的な構造改革 であり、既存のビジネスモデルや組織構造を根本から変革することを意味する。改善とトランスフォーメーションの違いを理解しないまま、「変革」の旗を振っても、組織は本当の意味で変わることはない。
50億円投じたDXがデジタル化で終わった企業
ある大手小売企業は「デジタルトランスフォーメーション推進部」を設置し、3年間で 50億円の投資 を行った。しかし、その中身は既存業務のデジタル化(紙の帳票をExcelに、ExcelをWebシステムに)が大半であった。確かに業務効率は向上したが、ビジネスモデルは何も変わっていない。
一方、同業の競合企業は、店舗をショールーム化してEC中心の販売モデルに転換し、 在庫リスクの劇的な低減 と顧客データの統合を実現した。前者は 「デジタル化」、後者が 「トランスフォーメーション」 である。この違いを理解していない企業は、投資対効果に疑問を持ちながらも変革の方向を修正できない。
本当の構造改革に必要な3つの条件
本当のトランスフォーメーションを実現するには、以下の3つの条件が不可欠である。1. 変革の対象を明確に定義する。何を変えるのかを 「ビジネスモデル」「収益構造」「組織のあり方」「顧客との関係性」 の4つのレイヤーで具体的に記述する。すべてを同時に変える必要はないが、少なくとも1つのレイヤーで根本的な変化が必要である。
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経営トップ自らが変革の推進者となる。トランスフォーメーションは既存の権限構造を変えるため、推進部門だけでは実行できない。 経営トップのコミットメント と、それを体現する意思決定が不可欠である。
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変革の痛みを受け入れる覚悟を組織全体で共有する。既存の強みの一部を手放し、新たな能力を獲得するプロセスには必ず混乱と抵抗が伴う。
自社の取り組みを改善と変革に分類する
明日から始められるアクションとして、まず自社で「トランスフォーメーション」と呼ばれている取り組みを、 「改善(既存の延長)」と「変革(構造の転換)」 に分類してみることを勧める。おそらく 大半が「改善」に分類される はずである。
その上で、本当に構造を変えるべき領域はどこかを経営チームで議論する。次に、変革の成功事例として、同業他社や異業種の企業がどのような構造転換を行ったかをリサーチし、自社への示唆を抽出する。
中計で変革を掲げるCxOと経営企画向け
トランスフォーメーションの概念が特に重要なのは、中期経営計画で「変革」を掲げている企業のCxOと経営企画部門である。また、DX推進部門のリーダーが「デジタル化」と「トランスフォーメーション」を混同している場合、 本質的な変革が進まないリスク がある。
新規事業開発の文脈では、既存事業のトランスフォーメーションと新規事業の創出は表裏一体であり、両方を統合的に推進する視点を持つ人材が求められている。
DX・CX・BXの定義を理解し計画を再設計する
トランスフォーメーションの具体的な実践に向けて、デジタル・トランスフォーメーション、コーポレート・トランスフォーメーション、ビジネス・トランスフォーメーションのそれぞれの定義と適用範囲を理解してほしい。自社に必要なトランスフォーメーションがどの領域にあるのかを特定し、「改善」ではなく「構造転換」の視点で計画を再設計することが、本当の変革への第一歩となる。
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