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用語集

ビジョン

ビジョン(Vision) とは、企業やブランドが成し遂げるべき使命や、実現したい未来像を明文化したものである。ミッション(何を行うか)やパーパス(なぜ存在するか)とは異なり、「何を成し遂げるか」という到達目標を宣言する概念である。

新規事業においてビジョンはチームの求心力となり、日常の意思決定の指針として機能する。以下では、ビジョンの定義とミッション・パーパスとの違い、チームを動かす効果的なビジョンの構築方法について解説する。


抽象的スローガンに留まり機能しないビジョン

新規事業を立ち上げる際、「ビジョンが大事だ」と繰り返し言われるものの、実際にチームの求心力となるビジョンを言語化できている企業は少ない。多くの場合、ビジョンは抽象的なスローガンに留まり、日常の意思決定の指針として機能していない。

「イノベーションで社会を変える」「テクノロジーで未来を創る」といった言葉は美しいが、 具体的な行動に結びつかない。また、ミッション・ビジョン・バリューの違いが曖昧なまま使われている企業も多く、ビジョンが「あるべき姿」なのか「やるべきこと」なのかが混乱している。

チーム拡大で方向性の対立が頻発した現場

ある大手商社の社内ベンチャーは、3名のチームで農業テックの新規事業を立ち上げた。初期は創業メンバーの情熱で事業を推進していたが、チームが 10名に拡大した段階で方向性の対立 が頻発するようになった。

「有機農業に特化すべきか、大規模農業にも展開すべきか」「テクノロジーの優位性を訴求するか、農家の収益改善を訴求するか」。毎週のミーティングで議論が紛糾した。振り返ると、チームには 「何を成し遂げたいのか」という共有されたビジョン がなかった。各メンバーがそれぞれの正義で動いていたのである。

ビジョンの不在は、チーム規模が拡大した途端に顕在化する。

意思決定の指針となるビジョンの3条件

有効なビジョンを構築するには、以下の3つの条件を満たす必要がある。1. ビジョンは「I(私たち)の視点」で語られる未来像でなければならない。「世界がこうなってほしい」ではなく「私たちはこうする」という主語で記述する。これにより、ビジョンが他人事ではなく、チーム自身のコミットメントとなる。

  1. 意思決定のフィルター として機能する具体性を持たせる。「このビジョンに照らして、AとBどちらを選ぶべきか」と問われたときに明確な答えが導き出せる程度の具体性が必要である。

  2. チームメンバー全員が策定プロセスに関与する。トップダウンで与えられたビジョンは形骸化しやすい。全員が議論に参加し、自分の言葉として語れる状態を目指す。

チーム全員参加のビジョン策定ワークショップ

明日から始められるアクションとして、チームメンバー全員に「この事業を通じて3年後にどんな世界を実現したいか」を各自100文字以内で書いてもらうワークショップを実施することを勧める。出てきた回答のキーワードを抽出し、共通項と相違点を可視化する。

次に、その共通項を核にして、チーム全体で1つの文章にまとめる。完成したビジョンは、チームの意思決定の場面で繰り返し参照し、「このビジョンに沿っているか」を判断基準として運用する。 使われないビジョンは存在しないのと同じ である。

チーム拡大期のリーダーと事業審査員向け

ビジョンの策定と活用が特に重要なのは、新規事業の立ち上げ期においてチームが3名から10名以上に拡大するフェーズにあるリーダーである。少人数なら暗黙の共通理解で動けるが、チームが拡大すると明文化されたビジョンが不可欠になる。また、社内ベンチャーの審査員を務める経営層にとって、起案者のビジョンの質を評価する力は、将来有望な事業を見極めるための重要な能力である。

ミッション・パーパスとの違いを整理して活用する

ビジョンの理解を深めるために、ミッションパーパスとの違いを明確にしてほしい。ミッションが「何を行うか」、パーパスが「なぜ存在するか」であるのに対し、ビジョンは「何を成し遂げるか」を宣言するものである。野心的なビジョンの一形態としてムーンショットという概念も参考になる。ビジョンは掲げるだけでなく、日々の意思決定に組み込んで初めて価値を持つ。チームの行動指針として機能するビジョンの構築に取り組んでほしい。

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