人物概要
飯島芳之は、三越伊勢丹ホールディングスが導入した社内新規事業プログラムの第1期で採択され、単日・短時間ワークのマッチングアプリ 「ワンデイワーク」 を事業化したイントラプレナーである。2002年に伊勢丹に入社し、約10年間メンズバイヤーを務めた現場経験から、百貨店特有の人材課題を発見。2019年にワンデイワーク社を設立し代表取締役社長に就任した。社内起業から経営、そして事業撤退に至るまでの全過程を経験した稀有な事例として注目される。2023年に三越伊勢丹を離れ、現在は新規事業支援の株式会社アルファドライブでシニアコンサルタントを務める。
経歴
2002年に新卒で伊勢丹(現・三越伊勢丹)に入社し、伊勢丹新宿本店メンズ館の紳士服売り場で バイヤーとして約10年 勤務した。その後、三越日本橋本店に異動し、メンズバイヤーおよびマネージャーとして売り場のマネジメントに従事した。
2018年に三越伊勢丹HDが導入した社内新規事業プログラムに応募し、第1期の優秀案件として採択された。2019年10月1日、三越伊勢丹HD100%出資で 株式会社ワンデイワーク を設立し、代表取締役社長に就任した。同社は2023年にサービスを終了し、飯島は同年に三越伊勢丹を退職。以後は株式会社アルファドライブで大企業の新規事業創出を支援する側に回っている。
主な実績
ワンデイワークは、単日・短時間で働きたい求職者と、柔軟に人材確保を行いたい雇用主をマッチングするアプリサービスである。求人検索、申し込み、契約書締結、給与の支払いまでが アプリ上で完結 する仕組みを、Wakrakとの共同開発で実現した。
飯島が着目したのは、結婚・出産・介護などを理由に退職する女性社員が多いという 百貨店業界の構造的課題 である。長期のシフトを組めない人材にも働く機会を提供し、同時に店舗側の慢性的な人手不足を解消するという双方向の価値を設計した。三越伊勢丹グループの百貨店だけでなく、外部企業にもサービスを展開し、大規模な広告宣伝を行わないまま 求職者の登録会員は約10万人 に達した。
思想とアプローチ
飯島のアプローチの特徴は、 現場起点の課題発見 にある。経営企画やコンサルティングの視点ではなく、バイヤーとして売り場に立ち続けた経験から見えた人材の非効率を事業化した。大企業の新規事業が陥りがちな「机上の空論」を回避し、現場のペインポイントに根差した事業設計を行った点が評価されている。
社内起業の立ち上げから経営、そして事業撤退に至る全過程を経験したことは、大企業の新規事業における リアルな知見 として他のイントラプレナーに示唆を与える。撤退は事業の巧拙だけで決まるものではなく、親会社の本業の状況という自分では動かせない要因に左右される——その現実と向き合った経験が、社内起業の議論に厚みを加えている。
参考文献
- 【元・三越伊勢丹 飯島芳之】社内起業、経営、廃業の全記憶。ワークシェア黎明期に見た夢(Ambitions Web)
- 【ワンデイワーク】元百貨店バイヤーが挑む”現場起点”での新規事業(Incubation Inside)
- 三越伊勢丹ホールディングスが新会社「ワンデイワーク」を設立(PR TIMES / 2019年10月25日)
- メンバー | AlphaDrive(アルファドライブ)




