人物概要
松本 大輝(まつもと ひろき)は、有名飲食店の本格的な料理を冷凍でお届けするお取り寄せグルメサービス「mitaseru(ミタセル)」の運営主体である、株式会社mitaseru JAPANの代表取締役社長である。
三井不動産株式会社のビジネスイノベーション推進部に在籍中、社内の事業提案制度「MAG!C(マジック)」を活用して本事業を提案。その実績と思いが認められ、2024年6月の本格的な事業会社化に伴い、イントラプレナー(社内起業家)として同社の代表に就任した。
経歴・実績
2010年に三井不動産に入社。不動産デベロッパーの王道とも言える商業施設や物流施設の開発業務に長年携わった。この過程で、多くのテナント飲食店と接点を持ち、「家賃」や「立地」といった不動産的制約に縛られる飲食業界の構造的な課題を目の当たりにしてきた。
コロナ禍において、休業や時短営業を余儀なくされ苦境に立たされる多くの名店を見て、「世界に誇れる日本の飲食事業を、来客や立地(店舗のキャパシティ)に限定されないロケーションフリーな事業にシフトさせたい」と強く決意。佐々木悠氏らとともに「mitaseru」の事業アイデアを発案し、社内起業制度「MAG!C」に挑戦。数々の審査やPoC(概念実証)を経て見事事業化の承認を勝ち取り、2023年4月にサービスの本格提供を開始した。
現在の職務・プロジェクト
株式会社mitaseru JAPANの経営トップとして、2030年までに事業規模50億円を目指す成長戦略のエグゼキューションを主導している。
「mitaseru」の競争力の源泉は、ミシュランガイドに掲載されるような予約困難な名店や、熱狂的なファンを持つ人気店を口説き落とし、そのレシピを最新の冷凍・保存技術を用いて自社の専用ファクトリーで再現する「製造請負・D2Cモデル」にある。松本は、参画店舗の開拓から、独自冷凍技術を持つパートナー企業との提携、さらにはマーケティングやEC基盤の強化に至るまで、サプライチェーン全体の構築を牽引している。
また、「美味しいの継承プロジェクト」として、後継者不足や人手不足で惜しまれつつ閉店を決断した名店の味のレシピを預かり、「mitaseru」上で販売を継続する取り組みにも力を入れており、文化的価値の保存という側面での社会課題解決も推進している。
思想とアプローチ
「場所や空間(=不動産)」を事業の根幹とする三井不動産出身でありながら、「立地に縛られない(ロケーションフリー)」というアンチテーゼ的なビジネスモデルを構築した点に、松本のユニークな視点がある。「不動産会社だからこそ、不動産の限界(席数、営業時間、家賃負担)に縛られているテナントの痛みが分かる」という逆転の発想が事業開発の原動力となっている。
「料理は総合芸術」というリスペクトの念を強く持ち、単なる冷凍食品の大量生産ではなく、「シェフが店舗で提供するものと遜色のない体験」にこだわる姿勢を貫いている。社内起業家特有の「大資本による力技」ではなく、一店舗一店舗のシェフと「食の未来をどう残すか」という対話(共感形成)を重ねるスタイルで、事業参画者のネットワークを広げている。