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制度・プログラム事例

39works

NTTドコモ
カーブアウト 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
NTTドコモ
種別
カーブアウト
状態
運営中
主な成果
hachidori , ecbo cloak , embot

History & Evolution

2014

プログラム開始

NTTドコモ・ベンチャーズ内で、スタートアップとの協業プログラムとして始動。

2016

ドコモ本社へ移管

R&Dイノベーション本部へ移管。社員と社外パートナーの「共創」スタイルへシフト。

2017

「ecbo cloak」提携

荷物預かりサービスのecboと提携。ドコモのアセットを活用した協業の代表例。

2019

「embot」事業化

ダンボールプログラミング教材。社内起案から生まれ、後に別会社としてカーブアウト。

2021

スピンアウト加速

MR技術を活用した「株式会社複合現実製作所」などを設立。

2022

「docomo STARTUP」へ統合

制度全体をリブランド。「39works」のメソッドは新制度へ継承された。

概要

39works(サンキューワークス)は、NTTドコモが2014年から運営していた新規事業創出プログラムである(現在は「docomo STARTUP」へ統合・発展)。

通信キャリアであるドコモが、自前主義を捨て、 社外のパートナーとの「共創」 を前提としてスタートさせた点が画期的であった。企画段階からパートナー企業とチームを組み、高速でPDCAを回すスタイルは、大企業の新規事業開発における「オープンイノベーション」の先駆けとなった。

詳細

39worksは、NTTドコモ・ベンチャーズの社内プログラムとして始まり、後にドコモ本社R&Dイノベーション本部へと移管された。そのプロセスは「Lean Startup」の思想を色濃く反映している。

「ecbo cloak」との提携と苦難の乗り越え

荷物預かりサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」は、39worksのプログラムを通じてドコモと提携した好例である。スタートアップのアイデアとアプリ開発力に、ドコモが持つ店舗網や顧客基盤(d払いなど)を掛け合わせることで、短期間での全国展開を実現した。

しかし、順風満帆ではなかった。2020年のコロナ禍により、観光需要は蒸発。売上が99%減少するという壊滅的な打撃を受けた。

「もはや事業継続は不可能ではないか」 社内でも売却論が出るほどの危機だったが、CEOの工藤慎一氏は「荷物を預けたいというニーズ自体は消えていない」と信じ、物流拠点としての活用など新たなピボットを模索。ドコモ側も単なる投資家として切り捨てるのではなく、共に苦境を乗り越えるパートナーとして伴走を続けた。この「雨の日の友情」こそが、オープンイノベーションの真価であったと言える。

「embot」のスピンアウト:大企業社員が社長になるまで

ダンボールでロボットを作るプログラミング教育キット「embot(エムボット)」は、ドコモ社員のアイデアから生まれた。 39worksでの検証を経て事業化された後、さらなる成長と自由な経営判断を実現するために、ドコモからカーブアウト(スピンアウト)し、別会社(株式会社e-Craft)として独立した。

通常、大企業の社員が事業をスピンアウトさせる際、「出向」扱いになることが多いが、embotの場合は 「転籍(退職して新会社へ移る)」 という選択肢も用意された(結果的にどう選択したかはケースによるが、制度として用意されていることが重要)。「本体に戻れる保証」を捨てることで、起業家としての覚悟が決まる。大企業にいながらにして「背水の陣」を敷ける環境が、39worksの強みであった。

組織文化の変革:「39works」から「docomo STARTUP」へ

2022年、39worksは「docomo STARTUP」へと統合された。これは単なる名称変更ではない。39worksで培われた「リーンスタートアップ」「外部共創」「カーブアウト」といった文化が、一部の先進的な部署のものから、 ドコモグループ全社員の新しい当たり前 へと昇華されたことを意味する。 かつて「石橋を叩いて渡る」と言われた慎重なドコモの文化に、「とりあえずやってみる(Just Do It)」の精神を植え付けた功績は計り知れない。

学べること

  • 「自前主義」からの脱却: すべてを社内リソースで賄おうとするとスピードが落ちる。餅は餅屋に任せ、外部パートナーと対等な関係で「共創」することが、大企業の新規事業を加速させる。
  • 「出島」の重要性: 本体とは異なる人事制度や評価基準を持つ「出島」組織を作ることで、既存事業の論理に潰されずに新しい芽を育てることができる。
  • 出口の多様性: 「本体事業への統合」だけがゴールではない。M&Aやカーブアウトなど、事業の特性に合わせた最適な「出口」を用意しておくことが、起案者のモチベーション維持に繋がる。

関連リンク

成功の鍵

1

「外部プロフェッショナル」との混成チーム

ドコモ社員だけでチームを組むのではなく、エンジニア、デザイナー、マーケターなど、社外のプロフェッショナルを初期段階からチームに招き入れる。社員に足りないスキルを外部人材が補うことで開発スピードが向上し、「ドコモの常識」にとらわれない発想が可能になる。

2

「カーブアウト(スピンアウト)」の推奨

既存事業とのシナジーを無理に追求せず、事業単体での成長を最優先する。その結果として、ドコモ本体に取り込むだけでなく、別会社として切り出す(カーブアウト)ことを積極的に推奨している。

3

「リーンスタートアップ」の徹底

「CPF(顧客課題の検証)」「PSF(解決策の検証)」「SPF(市場性の検証)」という検証フェーズを定義。最初から完璧な製品を作らず、MVP(実用最小限の製品)で市場の反応を見ながら修正を繰り返すプロセスを大企業内に実装した。

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