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制度・プログラム事例

京セラ CVCファンド ――KVIF-IとKVF-Iによるグローバル二本立て(2024年)

京セラ
CVC 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
京セラ
種別
CVC
開始年
2024年
状態
運営中
主な成果
Turingへの投資(完全自動運転・EV領域)
公式サイト
www.kyocera.co.jp/rd-openinnovation

History & Evolution

2024年4月1日

京セラベンチャー・イノベーションファンド1号(KVIF-I)設立

国内外スタートアップを対象とした約4,000万米ドル規模のCVCファンドを設立。グローバル・ブレインとの共同運営。

2024年9〜10月

Kyocera Venture Fund-I LP(KVF-I)設立

欧米スタートアップに重点を置く約6,000万米ドル規模のCVCファンドをアメリカに組成。2ファンド合計で約1億米ドルのグローバルCVCポートフォリオが完成。

概要

京セラは2024年に、KVIF-I(京セラベンチャー・イノベーションファンド1号)とKVF-I(Kyocera Venture Fund-I LP)の二本のCVCファンドを組成した。合計投資規模は約1億米ドル(約145億円相当)で、素材・電子部品メーカーとしては異例の規模感のオープンイノベーション資金として注目されている。

両ファンドはグローバル・ブレイン(Global Brain Corporation)との提携により運営される。


投資対象9領域

両ファンドが対象とする技術領域は以下の9分野である。

  1. 環境・エネルギー ― 再エネ・蓄電・省エネ素材
  2. 情報通信 ― 次世代通信・半導体
  3. 医療・ヘルスケア ― デジタルヘルス・医療機器
  4. モビリティ ― EV・自動運転・MaaS
  5. 先進材料 ― セラミクス・ポリマー・複合材料
  6. AI含むソフトウェア ― 産業AIアプリケーション
  7. 航空・宇宙・防衛 ― 宇宙インフラ・防衛エレクトロニクス
  8. 半導体 ― パッケージ材料・製造装置
  9. 核融合 ― 次世代エネルギー技術

二本立て構造の設計思想

KVIF-I(国内外スタートアップ向け、約4,000万米ドル)

日本・アジアのスタートアップを主な投資対象とし、2024年4月1日に設立。京セラが長年培ってきた精密セラミクス・電子部品の技術基盤との親和性が高いスタートアップを中心に発掘する。

KVF-I(欧米スタートアップ向け、約6,000万米ドル)

2024年9〜10月に米国でLPとして組成。欧米のディープテック・スタートアップへのアクセスを目的とし、より大きな規模の資金を欧米市場に配分している。

この「国内外二本立て」は、京セラが国内市場に閉じず、グローバルに技術変化を取り込む意図の表れである。特にAI・自動運転・核融合といった技術変化が速い領域では、欧米スタートアップとの接点を早期に確保することが競争力維持の前提条件になっている。


注目投資先:Turing(完全自動運転EV)

京セラCVCの投資先として公開されている一例がTuring(チューリング)だ。日本発の完全自動運転EV開発スタートアップで、「すべての移動を自動化する」を掲げる。

京セラは自動車向けセラミクス部品・電子部品を事業の一角に持ち、自動運転・EV分野のスタートアップへの投資は戦略的シナジーが見込みやすい典型例といえる。


みなとみらいリサーチセンターとの連携

CVCだけでなく、京セラはオープンイノベーション拠点として横浜市に「みなとみらいリサーチセンター」を設置している。同センターは一般も利用できる試作品工作室や技術発表・討論会スペースを備え、投資先スタートアップと共同実験・PoC(概念実証)を物理的に実施できる環境を提供する。

資金提供(CVC)と実証フィールド(リサーチセンター)の組み合わせは、「カネだけ出して放置」という大企業CVCの典型的な失敗パターンを回避するための構造設計である。


関連項目

成功の鍵

1

国内外の二本立てで投資地域と投資対象を分散

KVIF-Iが日本・アジア重点、KVF-Iが欧米重点という二本立て構造により、地域リスクを分散しながら幅広い技術領域にアクセスできる設計になっている。

2

グローバル・ブレインとの提携による運営専門性の確保

CVCの運用経験が豊富なグローバル・ブレインとの提携により、スタートアップ発掘・デューデリジェンス・バリューアッドの専門性を外部から補完。製造業CVCの典型課題「運用人材不足」を解消した。

3

みなとみらいリサーチセンターとの一体運営

オープンイノベーション拠点「みなとみらいリサーチセンター」(横浜市)とCVCを組み合わせることで、投資したスタートアップとの共同実験・PoC実施を物理的に可能にしている。資金提供だけでなく「試作・実証の場の提供」を付加価値にしている。

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