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制度・プログラム事例

ソフトバンクイノベンチャー

社内ベンチャー 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
ソフトバンク株式会社
種別
社内ベンチャー
開始年
2011年
状態
運営中
主な成果
HELLO CYCLING , スマートコーチ, MICHIMO
公式サイト
www.sbinnoventure.co.jp

History & Evolution

2011

「ソフトバンクイノベンチャー」制度開始

孫正義氏の「新30年ビジョン」におけるグループ5,000社構想を受け、社内起業制度をスタート。

2014

年1回開催・事業化実績の蓄積

2014年度まで年1回の開催で応募数と事業化ノウハウを蓄積。

2015

年2回開催に変更・子会社SBイノベンチャー設立

開催頻度を年2回に増やし、SBイノベンチャー株式会社を事業推進の母体として設立。スマートコーチ、MICHIMOなど事業化案件が増加。

2016

「イノベンチャー・ラボ」開始

社内起業家の育成を後押しする学習プログラムを提供開始。新規事業企画のノウハウや国内外スタートアップの知見を習得できる場を整備。

2018

「HELLO CYCLING」急成長

OpenStreet社が運営するシェアサイクルサービスが全国展開を加速。イノベンチャー発の代表的成功事例に。

2024

累計実績:応募約7,800件、事業化21件

2024年5月時点で、応募件数約7,800件、β版リリース116件、事業化21件の実績を達成。

概要

ソフトバンクイノベンチャーは、ソフトバンク2011年に開始した社内起業制度 である。孫正義氏が2010年に発表した「ソフトバンク新30年ビジョン」における 「戦略的シナジーグループ5,000社」 構想の実現に向けた、0→1の新規事業創出プログラムだ。

2024年5月時点での累計実績は、 応募約7,800件、β版プロダクトリリース116件、事業化21件。毎年1,000件以上の応募を維持し続けており、日本の大企業における新規事業提案制度としては 最大級の規模と実績 を誇る。

「イノベーション」と「ベンチャー」を掛け合わせた造語である「イノベンチャー」には、 大企業の中からベンチャー精神でイノベーションを起こす という意志が込められている。

「ソフトバンクイノベンチャーを通じて次世代経営者と事業を同時に育成する」 ――リクルートマネジメントソリューションズ(リクルートマネジメントソリューションズ)

プログラムの仕組み

応募と選考

ソフトバンクグループの全社員を対象に、新規事業アイデアを公募する。2014年度までは年1回、 2015年度からは年2回 の開催に変更され、挑戦の機会が倍増した。

当初は個人での応募が主流だったが、年を追うごとにチームでの応募が増加傾向にある。参加人数は応募件数以上に増えており、 「新規事業に挑戦する」という文化が組織に浸透 しつつある証左だ。

選考では特に 「圧倒的な当事者意識」 が問われる。市場分析や収益モデルの精緻さ以上に、「なぜあなたがやるのか」「退路を断つ覚悟はあるか」が最大の評価基準となる。これは孫正義氏自身の起業家精神を反映したものであり、ソフトバンクのDNAそのものと言える。

SBイノベンチャー株式会社による事業推進

採択された事業は、ソフトバンクの完全子会社である SBイノベンチャー株式会社 のもとで運営される。独立した法人格を持つことで、大企業特有の稟議プロセスや意思決定の遅さから解放され、 スタートアップ並みのスピード で事業を推進できる。

起案者は「社内起業家」としてSBイノベンチャーに移籍し、事業の全責任を負う。必要に応じてソフトバンクグループのリソース(通信インフラ、営業網、ブランド力)を活用できるが、あくまで 「自分の会社」として経営する ことが求められる。

イノベンチャー・ラボ

2016年度からは、社内起業家の育成を後押しする 「イノベンチャー・ラボ」 も開始された。国内外のスタートアップに関する知識、新規事業企画のノウハウ、事業プランの検討方法など、幅広い学習プログラムを提供する。

ラボの狙いは単なるスキル研修ではない。 「事業を創る人をつくる」 というソフトバンクイノベンチャーの第二の目的に直結しており、たとえ事業化に至らなくても、ここで鍛えられた人材がソフトバンクグループ全体のイノベーション力を底上げする。

代表的な成果・卒業プロジェクト

HELLO CYCLING ——都市の移動を変えるシェアサイクル

ソフトバンクイノベンチャーから生まれた最も成功した事業の一つが、 OpenStreet株式会社 が運営するシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」である。全国の自治体や企業と連携し、都市部を中心に数千カ所のステーションを展開。短距離移動の「ラストワンマイル問題」を解決する社会インフラとして急成長した。

IoTを活用したスマートロックとアプリによるシームレスな利用体験は、ソフトバンクの通信技術との シナジーを最大限に活かした好例 である。

スマートコーチ ——スポーツの「個別指導」を民主化

2015年にリリースされた 「スマートコーチ」 は、プロのスポーツコーチからプライベートレッスンを受けられるマッチングサービスである。動画を送るだけでプロからアドバイスがもらえるという手軽さが支持を集めた。

MICHIMO ——観光地×超小型モビリティ

奈良県明日香村など観光地で展開された 超小型モビリティのレンタルサービス「MICHIMO」 は、既存の交通インフラでは届かない観光スポットへの移動手段として注目された。

このプログラムの特徴・差別化

1. 孫正義イズムの「5,000社構想」が制度の根幹

多くの企業の新規事業制度が「既存事業の延長線上」を志向する中、ソフトバンクイノベンチャーは 「グループ5,000社」 という桁違いのビジョンから逆算された制度設計になっている。1つの事業が失敗しても、1,000件のアイデアから次の芽を見つければいい——この 「量が質を生む」哲学 が、毎年1,000件超の応募を維持し続ける原動力だ。

2. 「β版」で市場に問う文化

116件のβ版リリースに対して事業化は21件。この数字は失敗率の高さを示しているのではなく、 「まず出してみる」という実験文化 の証拠である。社内の会議室で完璧な事業計画を作るよりも、不完全でも市場に出して顧客の反応を見る——リーンスタートアップの実践が、制度として組み込まれている。

3. グループ全体への「起業家精神」の波及

事業化21件という数字以上に重要なのは、 累計7,800件の応募を通じて「事業を考える」経験をした社員が数千人規模で存在する ことだ。たとえ採択されなくても、顧客課題の発見、ビジネスモデルの設計、ピッチの経験は、本業に戻った後の仕事の質を確実に上げる。ソフトバンクイノベンチャーは、組織全体の アントレプレナーシップのOSをアップデートする装置 として機能している。

関連項目

成功の鍵

1

「圧倒的な当事者意識」を最重要基準とする審査

通常の新規事業提案と異なり、アイデアの斬新さよりも「なぜあなたがやるのか」「人生を賭ける覚悟はあるか」という当事者意識を最も重視する。事業計画の精緻さではなく、起案者の「Will(意志)」で選ぶ。これにより、困難に直面しても撤退せずに粘れる人材が自然と選抜される。

2

「0→1」と「人材育成」の二刀流

ソフトバンクイノベンチャーの目的は「事業を創ること」と「事業を創る人をつくること」の2つが明示されている。事業化に至らなくても、プロセスを通じて鍛えられた人材が本業に戻り、組織の変革エージェントとなる。この「人材育成装置」としての機能が、制度の持続性を支えている。

3

子会社化による「経営の自律性」の確保

SBイノベンチャー株式会社という専用の子会社を設け、採択された事業は独立した法人格のもとで運営される。大企業の意思決定プロセスの遅さから解放され、スタートアップと同等のスピードで動ける体制を制度として整備した。

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