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事業事例

ど冷えもん ― サンデン・リテールシステムが生んだ冷凍自動販売機革命

自動販売機・流通機器 #ハードウェア #食品 #自動販売機 #新カテゴリ創出
事業・会社概要
事業会社
サンデン・リテールシステム
業界
自動販売機・流通機器
開始年
2017年
本社
群馬県伊勢崎市
サービスサイト
www.sanden-rs.com/product/vending-machine/frozen.html
コーポレートサイト
www.sanden-rs.com

History & Evolution

2017

冷凍食品自販機の企画着手

飲料自販機市場の縮小を背景に、コンビニで2桁成長を続ける冷凍食品市場に着目した新カテゴリの自販機企画を開始

2018

市場調査・製品設計

大手メーカー各社の冷凍食品パッケージサイズを徹底調査し、幅広い商品を収容できる庫内設計を確立

2021-01

「ど冷えもん」発売

コロナ禍による飲食店の営業時間短縮を受け、当初予定より前倒しして販売を開始

2023

累計販売台数9,000台突破

発売から約2年で8,000台、3年で9,000台を突破。通常の食品自販機の年間販売台数500台と比較して桁違いの成長

2024

累計1万台超・検索アプリ「ど冷えもんGO」展開

累計販売台数が1万台を突破。設置場所を検索できるスマホアプリのダウンロード数も5万8,000件に到達

飲料自販機メーカーの「生存戦略」

ど冷えもん 」は、サンデン・リテールシステムが開発・販売する冷凍食品専用の自動販売機である。2021年の発売以来、累計1万台超を販売し、自販機業界に「冷凍自販機」という全く新しいカテゴリを創出した。

開発の背景には、飲料自販機市場の構造的な縮小がある。国内の飲料自販機はピーク時に約350万台に達したが、その後5年間で約250万台まで急減し、以降も横ばいが続いていた。コンビニエンスストアの台頭により、飲料を自販機で買う必然性が薄れたためである。自販機メーカーにとって、既存市場の延長線上に成長の余地はなかった。

コンビニの棚から見つけた「次の市場」

開発を主導したのは同社常務執行役員の 大木哲秀 である。大木は2017年頃、成長市場を探索する中でコンビニの冷凍食品コーナーの急拡大に着目した。冷凍食品はコンビニの取り扱い商品の中で唯一、毎年2桁の成長を続けるカテゴリであった。

「冷凍食品を自動販売機で売れば、飲料以外の新市場を開拓できるのではないか。」大木はこのアイデアを冷凍食品メーカーに持ち込んだが、当初は全く相手にされなかった。「自販機で冷凍食品が売れるわけがない」という既成概念が業界に根強く存在したのである。

それでもチームは開発を続けた。大手メーカー各社の冷凍食品パッケージを徹底調査し、多様なサイズの商品を収容できる庫内設計を確立した。製品は完成したが、発売のタイミングは見定められないままであった。

コロナ禍が生んだ「偶然の追い風」

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店の対面営業が大幅に制限された。売上激減にあえぐ飲食店にとって、「 対面なしで自店の商品を24時間販売できるチャネル 」は切実な課題(バーニングニーズ)となった。

サンデン・リテールシステムは発売を前倒しし、2021年1月に「ど冷えもん」の販売を開始した。コロナ禍で苦境にあった外食産業がいち早く導入し、「自販機で餃子が買える」「ラーメン店の冷凍つけ麺が24時間購入できる」といった事例がSNSで爆発的に拡散した。テレビやネットメディアがこぞって取り上げ、広告費をほとんどかけずに全国的な認知を獲得した。

成果と現状

販売実績は驚異的である。通常の食品用自販機の年間販売台数は 約500台 であるのに対し、ど冷えもんは発売から約2年で 8,000台 、3年で 9,000台 を突破し、累計 1万台超 を記録した。設置場所は飲食店の店頭、パチンコ店、スーパー、道の駅、高速道路のサービスエリアなど多岐にわたる。

設置場所を検索できるスマートフォンアプリ「 ど冷えもんGO 」のダウンロード数も5万8,000件に達し、消費者とのデジタル接点も構築している。「ど冷えもん」というキャッチーなネーミングもブランド認知に大きく貢献した。

この事例から学べること

第一に、「既存市場の縮小」を嘆くのではなく「成長市場との交差点」に新カテゴリを創る発想である。 サンデン・リテールシステムは「飲料自販機の改良」ではなく、「冷凍食品×自販機」という未開拓の交差点に新カテゴリを創出した。イノベーションは既存市場の改善ではなく、異なる成長市場との組み合わせから生まれるという典型例である。

第二に、「最初は相手にされない」ことを恐れない粘りである。 冷凍食品メーカーに持ち込んでも門前払い。しかし開発チームは「いつか来る市場の変化」を信じて製品を完成させた。結果的にコロナ禍という外部環境の激変が追い風となったが、製品が準備できていなければその風を掴むことは不可能であった。

第三に、SNS時代の「口コミ駆動型マーケティング」の威力である。 「自販機で餃子が買える」という異質さがSNSでの自然拡散を生んだ。大企業の新規事業は巨額の広告予算を前提としがちだが、製品そのものの「語りたくなる体験」がマーケティングコストを劇的に圧縮できることを、ど冷えもんは実証した。

関連項目

成功の鍵

1

既存市場の「隣」に新カテゴリを創出

縮小する飲料自販機市場の延長ではなく、成長する冷凍食品市場との交差点に「冷凍自販機」という全く新しいカテゴリを創造した発想

2

外部環境の変化を事業機会に転換

コロナ禍という未曾有の環境変化を、飲食店の非対面販売チャネルへの切実なニーズとして捉え、発売を前倒しして市場の空白を先取りした判断力

3

SNS・メディアによる自然増殖的な認知拡大

「自販機で餃子が買える」というインパクトがSNSで口コミを生み、テレビ等のマスメディアが追随報道。広告費を最小化した有機的な認知拡大モデル

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