Wiki by IntraStar
事業事例

富士通デザイン経営とイントレプレナー育成 — FICから生まれた出向起業スタートアップの誕生

富士通株式会社
IT / テクノロジーサービス #fujitsu #design-thinking #intrapreneur #fic #spinout #new-business
事業・会社概要
事業会社
富士通株式会社
業界
IT / テクノロジーサービス
開始年
2020年
サービスサイト
www.fujitsu.com/jp/innovation/fujitsu-innovation-circuit
コーポレートサイト
www.fujitsu.com/jp

History & Evolution

2020-07

富士通デザイン吸収合併

子会社・富士通デザインを吸収合併し、デザイナー約180人が富士通本体のデザインセンターに合流。

2020-10

フジトラ(Fujitsu Transformation)本格始動

全グループ社員13万人へのデザイン思考浸透を掲げるDXプロジェクトが開始。

2021-12

Fujitsu Innovation Circuit(FIC)事務局設立

アントレプレナーシップ人材育成と新規事業創出を目的としたプログラム発足。

2024-03

FIC参加者2,500人超・Challengeチーム145件到達

IgnitionステージにグループAで累計2,500人超が参加。事業化実践ステージへ進んだチームは145件。

2024-10

初の出向起業スタートアップ「BLUABLE」設立

ブルーカーボン測定・藻場造成事業を手がけるBLUABLEがFIC出身の出向起業スタートアップとして誕生。

課題・背景:SIerが直面したイノベーション不全の構造

富士通はかつて、「失敗を恐れるあまりイノベーティブな風土とは程遠い状態」と自己評価していた。国内最大のITサービス企業として受託開発モデルで成長してきた半面、2010年代に加速したクラウドシフトとデジタル変革は、同社の事業構造に根本的な問いを突きつけた。「SIビジネスだけでは次の10年を牽引できない」という認識のもと、デザイン経営を軸とした内部変革が2020年から本格的に動き出した。

課題の根は2つある。第一に、デザインが外注依存だったことだ。富士通は長らく、製品・サービスのデザインを子会社「富士通デザイン」に委託してきた。第二に、社内に新規事業を生み出す人材と仕組みが不在だった。13万人の社員のうち、起業家的発想を持つ人材が組織的に育てられる環境はなかった。

取り組みの経緯:デザインの内製化から全社変革へ

2020年7月、富士通はデザイン子会社の富士通デザインを吸収合併した。デザイナー約180人が本体のデザインセンターに合流し、経営層と直接連携しながら全社のデザイン経営をリードする体制が整った。同年10月には全社DXプロジェクト「Fujitsu Transformation(フジトラ)」が本格始動。グループ社員13万人へのデザイン思考浸透を目標に掲げ、単なる研修ではなく業務変革と一体化したアプローチを採用した。

これらの流れを受けて、2021年12月にFujitsu Innovation Circuit(FIC)が発足した。FICは「挑戦が当たり前の富士通」を実現するための新規事業創出プログラムであり、アントレプレナーシップ人材の育成と事業化の双方を目的とする。事務局はアーキタイプ株式会社の支援のもと立ち上げられ、バブソン大学の准教授を招聘した起業家教育プログラムを核に据えた。

サービス・事業の仕組み:3ステージ構造と出向起業の経路

FICは「Academy → Challenge → Growth」の3ステージで構成される。Academyでは起業家的思考と手法を学ぶIgnitionプログラムを提供し、2024年3月時点でグループ全体の参加者は累計2,500人を超えた。バブソン大学准教授による全11回のワークショップや、社外プロフェッショナルからのメンタリングが軸となる。

Challengeステージは審査通過者のみが進む実践フェーズだ。通常業務から離れて最大6か月間、100%専任で新規事業の創出に取り組む。2024年3月までに145チームが挑戦し、そのうち35チームが次のステージへ進んだ。さらに14チームが富士通の100%出資子会社「富士通ローンチパッド」へ異動し、本格的な事業化フェーズに入った。

「失敗を恐れるあまりイノベーティブな風土とは程遠い状態にあるのではないか、という課題感が起点でした」

――FIC事務局(2024年インタビューより)

Growthステージでは事業化を進める中で、出向起業という出口オプションも用意された。2024年10月、FIC出身の社員がブルーカーボン事業を手がけるBLUABLE(ブルアブル)を出向起業スタートアップとして設立。FICから生まれた初の独立会社となり、藻場造成・ブルーカーボン測定・申請支援を事業とする。

成果と現状:数値が示す内部変革の深度

FIC発足から約2年半で、参加2,500人・145チーム挑戦・35チーム通過・14チーム事業化・1件出向起業という実績が積み上がった。社員の年齢・職種を問わず参加できる設計が、組織横断的な起業家人材の発掘を可能にしている。

デザイン思考面では、デザインセンターが「デザイン効果の定量化宣言」を実施し、定性・定量双方の成果を『デザイン白書』として公開。新規事業開発プロジェクトを年間約50件立ち上げる体制が整い、営業部門では3年間で約1,000人のデザイン思考専門人材を育成した。単なる研修施策ではなく、デザインが経営戦略と直結する構造が整備されつつある。

この事例から学べること

第一に、デザイン組織の内製化がイノベーション土台を変える。 富士通デザインの吸収合併は、単なる組織再編ではなかった。デザイナーが経営層と直接対話できる構造を作ることで、「デザインは外部が担うもの」という思考から「デザインが経営を動かすもの」への転換が実現した。

第二に、選抜と専任の組み合わせが事業の質を担保する。 Challengeステージで「100%専任・最大6か月」という条件を設けることは、副業的・兼業的な取り組みで生まれがちな「小粒な事業提案」を構造的に防ぐ。覚悟を担保する仕組みが事業品質に直結する。

第三に、出向起業という出口オプションが参加者の本気を高める。 FICがBLUABLEという独立会社を生んだ事実は、参加者に「ここで本気でやれば本当に起業できる」という現実的な期待を与える。出口が見えることで、挑戦の引力が増す。

関連項目

参考文献・出典

成功の鍵

1

デザイン組織の内製化

子会社を吸収合併し、デザイナーを事業戦略の中枢に組み込んだ。外部委託から内製への転換がイノベーションの速度を高めた。

2

3ステージ型人材育成の設計

Academy(学習)→ Challenge(実践)→ Growth(事業化)の段階構造が、参加者の覚悟を段階的に高めながら事業の質を担保する。

3

富士通ローンチパッドとの連動

100%出資子会社「富士通ローンチパッド」がChallengeを通過したチームの受け皿となり、通常業務から切り離した専任環境を提供する。

このサイトは生成AIによる情報収集をベースに作成されています。
本ページの情報に誤りがある場合があります。
修正についてご報告いただければ、随時修正対応いたします。

情報の修正・追加を提案する
登録して新規事業の最新情報を受け取る
NEWSLETTER

IntraStar NEWS

新規事業の事例・セミナー情報・スタートアップの資金調達情報を ほぼ毎週お届け。1,200名超のイントラプレナーが読んでいます。

Powered by Substack ・ いつでも配信停止できます