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事業会社

サイバーエージェント

サイバーエージェント ロゴ

CyberAgent, Inc.

インターネット総合企業。「あした会議」等の独自制度で年間多数の子会社・新規事業を創出。

企業概要
企業名
サイバーエージェント
業種
インターネット / 広告 / メディア / ゲーム
所在地
東京都渋谷区
創業
1998年
公式サイト
www.cyberagent.co.jp

新規事業の歴史

History & Evolution

1998

創業(インターネット広告代理店)

24歳の藤田晋が創業。「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに掲げる。

2004

Amebaブログ開始

広告代理から自社メディア運営へと大きく舵を切る。ブログブームを牽引。

2006

「あした会議」制度開始

役員主導の新規事業創出システムを構築。経営陣のコミットメントを義務化。

2016

AbemaTV(現ABEMA)開局

テレビ朝日とのJVにより、ネットテレビ市場を創出。10年規模の先行投資を開始。

2021

「ウマ娘 プリティーダービー」爆発的ヒット

ゲーム事業の収益力を証明。メディア事業(ABEMA)への投資力を支える柱へ。

2025

ABEMA通期黒字化・社長交代

開局10年でメディア&IP事業が初の通期黒字化。藤田晋が会長に就任し、山内隆裕が2代目社長に。

【歴史】「21世紀を代表する会社を創る」:藤田晋の野心と実験の四半世紀

サイバーエージェントの歴史は、1998年、24歳の 藤田晋 氏が渋谷のマックの上で数名の仲間と始めた広告代理店からスタートする。しかし、同社はネット広告の成功に満足することはなかった。彼らが目指したのは、常に最先端のインターネット市場で覇権を握る「事業開発集団」への進化であった。

1. 創成期:ネット広告から自社メディア『Ameba』へ

創業初期の広告代理事業で得た利益を、当時は海のものとも山のものともつかなかった「ブログ(Ameba)」という自社メディアへ全投入。これが現在まで続く「メディア事業」の源泉となった。

2. 変革期:人材の活性化と「多産多死」のシステム化

急成長の一方で組織の停滞に直面した2000年代中盤、藤田氏は 「あした会議」 などの人事制度を次々と発明。事業の立ち上げを「天才のひらめき」から「組織的なシステム」へと昇華させた。

3. 現実期:ゲーム事業の爆発と「ABEMA」への挑戦

スマートフォンシフトを機にゲーム事業(『ウマ娘 プリティーダービー』等)で莫大なキャッシュを獲得。その利益を投じ、2016年にテレビ朝日とのJVで『ABEMA』を開局。ネット企業が公共インフラ(テレビ)をリプレイスするという、日本最大級の社会実験を開始した。

【戦略】サイバーエージェントを動かす「4つの独自エンジン」

なぜサイバーエージェントは、既存事業の成功に安住せず、常にリスクを冒せるのか。その背景には、極めて精緻に設計された「事業創造OS」が存在する。

あした会議:経営陣を「起業家」に戻す場

あした会議は、単なるアイデア出しの場ではない。執行役員がエース社員をドラフトし、自ら経営責任を負う事業を藤田氏にプレゼンする。

「執行役員が、自らのクビ(評価)を賭けて事業案を持ってくる。このヒリヒリした緊張感こそが、机上の空論ではない『勝てる事業』を生み出す」

――藤田晋(ICC FUKUOKA

CAJJ / スタートアップJJJ:冷徹な「物差し」

事業の成長ステージをJ1からJ3までのリーグに見立てた「CAJJ制度」。および、さらに初期のプロジェクトを管理する「スタートアップJJJ」。これらには 明確な数値による撤退基準 が定められている。

  • 営業利益の継続的な減少
  • 市場環境の変化による勝機の喪失

これらがルール化されているため、担当者は「感情的な執着」に囚われず、あるいは「責任追及」を恐れずに、次の挑戦へ資源(ピボット)を振り分けることができる。

抜擢人事:新卒社長という名の「経営修行」

サイバーエージェントには、新卒数年目の社員が子会社の社長に就任し、数千万円から数億円の予算を動かす「抜擢文化」がある。

「経営を教える最高の教育は、経営をさせることだ。失敗しても死ぬわけではない。その失敗のコストこそが、将来の経営者を育てるための授業料である」

この思想により、同社は国内でも類を見ない「経営者候補の厚み」を誇っている。累計で60人以上の新卒社員が子会社社長を経験している事実は、他社の追随を許さない。

戦略的「全振り」:ABEMAという出島

多くの新規事業が既存の撤退ルールに縛られる中で、ABEMAだけは別格の扱いを受けた。

「ABEMAは、サイバーエージェントのあしたを支える最優先事項。これはルールではなく、私のWill(意志)だ。だから、10年は赤字でも私が守り抜く」

この「制度(ロジック)」と「意志(情熱)」の使い分けこそが、同社の真の恐ろしさであり、2025年の ABEMA開局10年での通期黒字化 という結実をもたらした。

「間違えていれば全てが水の泡だ。だからこそ、後継者選びは16名の候補者から8年かけて絞り込んだ」

――藤田晋(文春オンライン

【伝説の系譜】事業を創り、歴史を動かす人々

サイバーエージェントの強さは、システムの裏側にいる「個」の熱量に支えられている。

  • 藤田晋:創業者。2025年12月に代表取締役会長に就任。27年間社長を務め、ABEMAの通期黒字化を見届けた上で、8年かけて育てた後継者に経営を託した。
  • 山内隆裕(代表取締役社長):2006年入社。CyberZ代表、AbemaTV取締役COOを歴任し、2025年12月に2代目社長に就任。ABEMA黒字化の立役者の一人。
  • あした会議の選出メンバー:年ごとに選ばれるエースたちが、現在のサイバーエージェントを構成する子会社の数々を創り上げてきた。2017年からはエンジニア・クリエイター版「CA BASE SUMMIT」も毎年開催。

【成功と失敗】「多産多死」の光と影

サイバーエージェントの事業創出システムは、華々しい成功だけではない。CAJJ制度の下で撤退した事業は累計で数十を超える。しかし、この「失敗のコスト」を組織的に許容する仕組みこそが、同社の最大の強みである。撤退した事業の責任者が、次の「あした会議」で再挑戦し、より大きな成功を収める。この循環が、同社の人材層の厚みを支えている。

展望:創業者から次世代へ、「21世紀を代表する会社」の第2章

2025年、ABEMAの通期黒字化と創業以来初の社長交代という2つの歴史的転換点を迎えた。藤田晋は会長として経営に関与しつつも、山内隆裕新社長のもとで 「責任の80%を2029年までに移管する」 という段階的な世代交代を進めている。

AI、アニメIP、そしてエンターテインメントのグローバル化。新体制下で設立されたアニメスタジオによるIP一貫体制の構築など、「21世紀を代表する会社」への挑戦は、創業者の手を離れて新たな章へと踏み出している。


引用・参考文献:

  1. 藤田晋『渋谷ではたらく社長の告白』
  2. 次々と新規事業を生み出すサイバーエージェント「あした会議」の仕組み(ICC)
  3. サイバーエージェント、メディア&IP事業が「ABEMA」開局10年で初の黒字化(Branc)
  4. サイバーエージェント藤田晋氏、創業社長から世代交代「8年の計」(日本経済新聞)
  5. 過去最高の”大豊作”。代表 藤田が評した、技術者版あした会議「CA BASE SUMMIT」(CyberAgent Way)

成功の鍵

1

あした会議(即断即決の装置)

役員がエースをドラフトし、藤田晋に対して直接プレゼン。その場で予算と権限を確定。

2

CAJJ制度(冷徹な数値基準)

営業利益の推移に応じた明確な撤退・昇格ルール。感情を排除したポートフォリオ管理。

3

新卒社長抜擢(経営の修行場)

「経営を教えるには経営をさせるのが一番」という思想。20代を次々と子会社社長へ。

4

全振り投資(戦略的賭け)

勝負どころでは営業利益の数割〜数割以上を躊躇なく投下するトップの決断力。

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