コーポレート・トランスフォーメーション
コーポレート・トランスフォーメーション(Corporate Transformation / CX) とは、企業の組織構造、人事制度、ガバナンス、意思決定プロセスといった経営の根幹を抜本的に変革することである。事業の変革(BX)やデジタル化(DX)が成果を出すための「土台」を作り変える取り組みと位置づけられる。
多くの日本企業がDXに取り組みながら成果が出ない原因は、事業だけを変えて組織の「OS」を変えていないことにある。以下では、CXが求められる背景、3つの変革領域、DX・BXとの関係性について解説する。
企業の「OS」が旧来のままでは変革は進まない
多くの日本企業がデジタル・トランスフォーメーションやビジネス・トランスフォーメーションに取り組んでいるが、思うような成果が出ていない。その根本原因は、事業の変革だけを試みて、企業そのものの変革に手をつけていないことにある。
年功序列型の人事制度、縦割りの組織構造、 減点主義の評価文化、リスク回避的な意思決定プロセスなど、企業の根幹にある「OS」が旧来のままでは、どんな新しい事業戦略もうまく機能しない。組織の土台を変えずに事業だけ変えようとすることは、古い基礎の上に新しい建物を建てるようなものであり、構造的な矛盾を抱え続けることになる。
50億円のDX投資が成果ゼロに終わった理由
多くの企業が、変革の「掛け声倒れ」に悩んでいる。ある大手インフラ企業は、DX推進室を設置し、 3年で50億円 の投資計画を発表した。最新のデジタルツールを導入し、社内ハッカソンも開催した。しかし3年後、 目に見える成果はほぼゼロ であった。
原因を分析すると、ツールを導入しても従来の業務プロセスや承認フローが変わっておらず、社員はデジタルツールと紙の書類を二重管理する状態になっていた。「DXをやる」と宣言しながら、組織文化や人事制度、ガバナンスの仕組みを変えなかったために、投資が無駄になってしまった典型的な事例である。
組織・人事・ガバナンスの3領域を変える
コーポレート・トランスフォーメーションを実現するには、3つの領域での変革が必要である。第一に、 組織構造の変革。縦割りのサイロを解消し、 機能横断型のチーム編成 や、権限委譲を進める。第二に、 人事制度と評価文化の変革。挑戦を奨励し、失敗を学びとして評価する文化を制度として埋め込む。年功序列から成果・スキルベースの人事制度への移行も含まれる。第三に、ガバナンスと意思決定プロセスの変革。重要な意思決定のスピードを上げるために、権限委譲の範囲を明確にし、多層的な承認プロセスを簡素化する。これら3つが連動することで、初めて企業の「OS」が更新される。
変革を阻害する要因を網羅的に洗い出す
CXに取り組むためのステップとして、まず自社の「変革を阻害している要因」を網羅的に洗い出すことを推奨する。事業部門のリーダー、現場社員、新規事業担当者など多様な立場の人にヒアリングを行い、「何が変革を遅らせているか」を集約する。多くの場合、 人事評価制度、予算承認プロセス、部門間の壁 という3つに集約される。
次に、これらの課題に対して経営トップ自らがコミットし、変革の方向性を示すことが不可欠である。CXは現場の改善活動ではなく、 経営層主導のトップダウン変革 であることを認識する必要がある。
CXの理解が不可欠な経営層・推進担当者
コーポレート・トランスフォーメーションの理解が特に重要なのは、次のような人・組織である。DXを推進しているが期待した成果が出ていない企業の経営層。新規事業の立ち上げを繰り返し試みているが、組織的な壁に阻まれて成果が出ない企業。中期経営計画に「変革」を掲げているが、具体的な実行計画が描けていない経営企画部門。
また、組織イノベーションに取り組む人事部門のリーダーにとっても、CXは組織変革の全体設計を理解するための必須概念である。
DX・BX・CXの3層で変革を棚卸しする
CXの第一歩として、自社のトランスフォーメーションの全体像を「DX・BX・CX」の3層で整理してみよう。現在の変革活動がどの層に位置しているかを可視化することで、抜け落ちている領域が明確になる。
次に、CXの領域で最も緊急度の高い課題を1つ選び、 6か月以内に変化を生み出す パイロットプロジェクトを設計する。全社一斉の変革は時間がかかるが、特定の部門やチームでの成功事例を作り、それを全社に展開するアプローチが現実的である。トランスフォーメーション全体の中でCXの位置づけを明確にした上で、着手すべき優先課題を定めよう。
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