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用語集

スクラム

スクラム(Scrum) とは、短いスプリントサイクルで反復的にプロダクトを開発するアジャイルフレームワークである。1〜4週間の固定期間で計画・開発・レビュー・振り返りを繰り返し、顧客のフィードバックを素早く取り込みながらプロダクトを進化させる。

もともとソフトウェア開発で生まれた手法だが、新規事業開発にも 仮説検証のスピードを高める 手法として広く応用されている。以下では、大企業の新規事業でスクラムを導入する際の課題、成功事例、そして実践方法について解説する。


半年後のリリース計画が3ヶ月目で破綻する構造

大企業の新規事業開発では、従来型のウォーターフォール開発が採用されることが多い。要件定義→設計→開発→テスト→リリースという直線的なプロセスは、 要件が明確で変更が少ない既存事業 には適している。

しかし新規事業では、顧客ニーズも市場環境も不確実性が高く、半年前に立てた計画が途中で陳腐化することは日常茶飯事である。 3ヶ月目に「この機能は不要だった」と気づいても、すでに開発が進んでおり軌道修正が困難になる。スクラムは、この不確実性に対応するために「短い期間で少しずつ作り、確認しながら進む」アプローチを取る。

2週間スプリントで仮説検証の速度が4倍に

ある大手通信会社の新規事業チームは、法人向けの業務効率化ツールを開発していた。当初はウォーターフォール型で6ヶ月のリリース計画を立てていたが、 3ヶ月経っても顧客に見せられるものがない 状態が続いていた。

チームはスクラムを導入し、 2週間のスプリント に切り替えた。各スプリントの終わりに動作するプロダクトのインクリメント(増分)を作成し、パイロット顧客5社にデモを実施。顧客からのフィードバックをもとに、次のスプリントの優先順位を調整した。結果として、 従来の4分の1の期間でPMFの手がかり を掴むことができた。

スクラムを新規事業で実践する3つの手法

1) ロールの明確化:スクラムではプロダクトオーナー(PO)、スクラムマスター、開発チームの3つの役割を設ける。新規事業では、POは事業責任者が兼務し、 「何を作るか」の意思決定を迅速に行える体制 を構築する。2) スプリントプランニングの簡素化:大企業では計画に時間をかけすぎる傾向がある。新規事業のスクラムでは、 スプリントプランニングを1時間以内 に収め、「このスプリントで検証したい仮説は何か」に焦点を絞る。3) レトロスペクティブの習慣化:各スプリント終了時に振り返りを行い、チームのプロセスを継続的に改善する。「うまくいったこと」「改善すべきこと」「次に試すこと」の3つを 15分で共有する ことで、チームの学習速度が加速する。

スクラムイベントを事業開発サイクルに統合する

スクラムの4つのイベント(スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、レトロスペクティブ)を、新規事業の文脈で運用するポイントを押さえよう。デイリースクラムは 15分の朝会 で、各メンバーが「昨日やったこと」「今日やること」「障害」を共有する。

スプリントレビューでは、動作するプロダクトを 実際の顧客やステークホルダーに見せる ことが重要である。社内デモだけで完結させず、外部のフィードバックを得ることで、リーンスタートアップの構築-計測-学習ループとスクラムのサイクルを同期させることができる。 顧客の声をバックログに直接反映 させる仕組みが、新規事業におけるスクラムの真価を発揮させる。

開発スピードとチームの一体感に課題を感じている人へ

スクラムの導入が特に効果的なのは、以下のような状況にあるチームである。開発プロセスが長期化し、 顧客へのデリバリーが遅れている 新規事業チーム。チーム内のコミュニケーションが不足し、メンバー間で進捗や課題の共有ができていないプロジェクト。

また、 計画通りに進めることが目的化 してしまい、市場の変化に対応できていないと感じる事業責任者にも有効である。ただし、チームメンバーが3人未満の場合や、全員が兼務で関わっている場合は、スクラムのフルセットを導入するのではなく、スプリントとレビューの仕組みだけを取り入れる軽量版から始めるのが現実的である。

来週から2週間スプリントを1回試してみよう

スクラムはアジャイル開発の代表的なフレームワークであり、スプリントを通じた反復的な開発と顧客フィードバックの取り込みを実現する。まずは来週から 2週間の「お試しスプリント」 を1回実施してみよう。

初日に1時間のスプリントプランニングで「この2週間で検証したいこと」を1つ決め、毎朝15分のデイリースクラムで進捗を共有する。2週間後にスプリントレビューで成果を確認し、レトロスペクティブで改善点を洗い出す。 完璧なスクラムを目指す必要はない。まずは「短いサイクルで作って確認する」リズムを体験し、MVPの開発スピードを上げることが重要である。

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