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制度・プログラム事例

TRIBUS(トライバス)

株式会社リコー
アクセラレーター 運営中
制度・プログラム概要
運営企業
株式会社リコー
種別
アクセラレーター
開始年
2019年
状態
運営中
公式サイト
accelerator.ricoh

History & Evolution

2019

前身プログラム「リコーファミリーグループチャレンジ」開始

社内新規事業提案制度としてスタート。初年度から社内外の起業家を同時に募集する統合型モデルの原型が形成される。

2020

「TRIBUS」としてリブランド

プログラムを「TRIBUS」に改称。森久泰二郎氏が参加者側から運営側に転じ、プログラムの本格的な拡大を主導。

2022

統合ピッチをリアル開催

「TRIBUS 2022」の統合ピッチイベントをリアル会場で実施。社内起業チームと外部スタートアップが同じ舞台で発表。

2023

5期目突入・コミュニティ1,700名規模に

社内サポーターが400名以上、イノベーションコミュニティが約1,500〜1,700名規模に成長。全社を巻き込む仕組みが定着。

2024

1期生のネクスト・ステージ決定

2019年採択の社内起業家5チームが、リコー事業部門への事業移管、他社との提携、事業売却など個別の成長戦略を決定。

概要

TRIBUS(トライバス)は、リコー2019年に開始した社内外統合型アクセラレータープログラム である。「TRIBUS」の名称は、ラテン語で「部族」を意味する「tribus」に由来し、「TRI(3)」はスタートアップ・社内起業家・リコーグループの 3者が一つになって価値を創る という理念を表している。

最大の特徴は、 社内の新規事業提案制度と、外部スタートアップ向けアクセラレーションを同じプログラム内で同時に運営する「統合型モデル」 を日本で初めて実践した点にある。5年間の累計で、社内からは443件の応募(16件採択)、社外からは771件の応募(50件採択)を受け付け、合計約40社以上の事業支援実績を持つ。

「イノベーションを起こすのではなく、イノベーションが起きる会社にしたい」 ――Biz/Zine(Biz/Zine)

プログラムの仕組み

2つのトラックの並行運営

TRIBUSは 「社内トラック」と「スタートアップトラック」 の2つを並行して運営する。

社内トラック では、リコーグループの社員がビジネスアイデアを提案し、採択されれば約6カ月間の事業化検証に取り組む。社内リソース(技術、顧客基盤、設備)を活用しながら、PoCやプロトタイピングを進める。

スタートアップトラック では、外部のスタートアップがリコーとの事業共創を目指して応募する。採択されたスタートアップには、リコーの技術アセットやBtoB営業チャネルへのアクセスが提供される。

両トラックは最終的に 「統合ピッチ」 で合流し、同じ舞台で成果を発表する。社内起業家がスタートアップの勢いに触れ、スタートアップが大企業のリソースの厚みを知る——この 異種格闘技的な化学反応 がTRIBUSの生命線だ。

全社を巻き込む「サポーター制度」

TRIBUSを支えるのは、起案者やスタートアップだけではない。 400名以上の社内サポーター が、日常的にプロジェクトの壁打ち相手、社内調整の橋渡し役、テストユーザーとして参画する。さらに、約 1,500〜1,700名 のリコーグループ社員がイノベーションコミュニティとして緩やかにつながり、社内勉強会やアイデアソンに参加している。

この「巻き込み戦略」は、プログラム責任者の森久泰二郎氏が、自身がプログラム参加者だった経験から設計したものだ。新規事業は「一部の変人がやること」ではなく「全社の関心事」にならなければ持続しない——その信念が、1,700名規模のコミュニティとなって結実している。

副業制度との連動

リコーでは2019年に社内副業制度を導入しており、TRIBUSへの参加を 副業扱い とすることが可能になっている。本業の業務時間の一部をTRIBUSに充てることが正式に認められるため、「本業が忙しくて新規事業に時間を割けない」という大企業あるあるの壁を制度的に突破した。

代表的な成果・卒業プロジェクト

1期生5チームの「卒業」(2024年)

2019年に採択されたTRIBUS初期の社内起業家5チームが、2024年にそれぞれの ネクスト・ステージ を決定した。選択肢は画一的ではなく、リコーの既存事業部門への 事業移管、外部企業との 提携・共同事業化、さらには 事業売却 まで、プロジェクトごとに最適な「出口」が設計された。

この柔軟なエグジット設計は、「社内で育てる」一択ではなく、 事業にとって最善の環境を選ぶ という成熟した姿勢を示している。

累計実績

5年間で社内443件・社外771件の合計 1,214件の応募 を集め、そのうち社内16件・社外50件の計 66件を採択。約40社以上への支援実績を積み上げている。

このプログラムの特徴・差別化

1. 「BtoB顧客基盤」というスタートアップへの最大の価値提供

リコーが持つ最大のアセットは、全国の企業に張り巡らされた 営業・サービス網 である。複合機のメンテナンスで培った顧客接点は、BtoB SaaSやIoTスタートアップにとって喉から手が出るほど欲しい 販売チャネル だ。TRIBUSを通じてこのチャネルにアクセスできることが、外部スタートアップにとっての最大のインセンティブとなっている。

2. 「参加者→運営者」の実体験に基づくプログラム設計

プログラム責任者の森久氏自身が、2019年の前身プログラムに参加者として応募した経験を持つ。「参加者目線」で制度のペインポイントを熟知しているからこそ、副業制度との連動、サポーター制度、統合ピッチの設計など、 現場の実感に基づいた改善 が絶え間なく行われている。

3. 「複合機メーカー」からの変革を象徴するプログラム

リコーはOA機器・複合機メーカーとしてのイメージが強いが、TRIBUSはまさにその イメージからの脱却 を象徴する取り組みである。「ワークプレイスやイメージング領域にとどまらず、社会の広い分野での課題解決を目指す」というTRIBUSのミッションは、リコーの企業変革(トランスフォーメーション)そのものを体現している。

関連項目

成功の鍵

1

「社内×社外」統合型モデルという日本初の試み

社内の新規事業提案制度と、外部スタートアップ向けアクセラレーションプログラムを、同じ枠組みの中で同時に運営する。社内起業家は外部のスタートアップから刺激を受け、スタートアップはリコーのリソースやBtoB顧客基盤にアクセスできる。この「異種格闘技」のダイナミズムが、双方のイノベーションを加速させている。

2

1,700名規模の社内コミュニティによる「全社巻き込み」

TRIBUSの成功を支えるのは、審査員やメンターだけではない。400名以上の社内サポーターと約1,500名のコミュニティメンバーが、日常的にプロジェクトの壁打ち相手や社内リソースの橋渡し役を務める。新規事業を「一部の人間の仕事」ではなく「全社の関心事」にする仕組みが、継続の鍵となっている。

3

「イノベーションを起こすのではなく、起きる会社に」という設計思想

TRIBUSの目標は個別の新規事業の成功ではなく、「イノベーションが自然と起きる企業文化の醸成」にある。制度としてのTRIBUSはあくまでトリガーであり、本質はリコーという組織のOSを書き換えることにある。この長期視点が、短期的な成果に一喜一憂しない持続可能なプログラム運営を可能にしている。

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