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用語集

ブリッジファイナンシング

ブリッジファイナンシング(Bridge Financing) とは、現在のラウンドと次の正式ラウンドの間に生じる資金ギャップを埋めるための短期的な調達を指す。文字通り「橋渡し」として機能し、調達完了まで事業を継続させるための時間を買う手段である。スタートアップの資金調達では日常的に使われるが、大企業の社内新規事業やCVCのフォローオン戦略にも類似の構造が現れる。

典型的な形態

ブリッジファイナンシングには大きく三つの形態がある。

コンバーティブルノート(転換社債型) は、将来の株式に転換される条件付きの借入金だ。転換価格は次ラウンドのバリュエーションを基準に割引率(一般に15〜25%)を設定することが多い。

SAFE(Simple Agreement for Future Equity) はY Combinatorが普及させた契約形式で、負債ではなく将来の株式取得権として設計される。利息がなく、コンバーティブルノートより契約がシンプルなのが特徴だ。

短期デット(シニアローン等) は担保や収益性が一定以上あるフェーズで使われ、エクイティを希薄化させずに済む利点がある。

使われる局面

最も多い動機はダウンラウンド回避だ。前ラウンドのバリュエーションを維持したまま次の大型調達に臨むためのマイルストーン達成期間を稼ぐ。具体的には、製品の主要機能リリース・主要顧客との契約締結・規制承認の取得といった「バリュエーションを押し上げる出来事」が視野に入っているが、そこまでの現金が数ヶ月分しか残っていない場面で選択される。

調達タイミングの最適化目的で使われることもある。市況が低迷している時期を避け、投資家センチメントが回復するまで時間を稼ぐ意図である。ただし「市況が良くなるはず」という希望的観測だけに頼ったブリッジは、根本的な課題を先送りするだけになりやすい。

リスクと注意点

ブリッジファイナンシングは解決策ではなく時間を買う手段に過ぎない。転換条項が積み重なると次ラウンドのキャップテーブルが複雑化し、新規投資家が参入しにくくなる。コンバーティブルノートを複数回重ねた結果、転換時に創業株主の持分が想定外に希薄化するケースも珍しくない。また、既存投資家にブリッジを依頼する行為は「事業が想定通りに進んでいない」というシグナルとして受け取られるリスクもある。

バーンレートが高い状態でブリッジを繰り返すと、ランウェイの計算が甘くなりがちで、気づけば次のブリッジも必要という状況に陥る。ブリッジを組む前に費用構造を見直し、必要最小限のバーンレートで目標マイルストーンに到達できる計画を立てるのが先決である。

社内ベンチャー・CVCへの応用

大企業の社内新規事業においても、予算サイクルと事業フェーズがずれる場面でブリッジに近い判断が求められる。年度末に正式予算を取る前の四半期に、少額の先行執行承認を取るパターンがその一例だ。スタートアップのコンバーティブルノートに相当する「条件付き追加予算コミットメント」を経営から引き出しておくことで、タイムロスなくマイルストーンに集中できる。

CVCがポートフォリオ企業に対してフォローオン投資を行う際にも、正式ラウンドを待たずにブリッジを提供するケースがある。既存投資家として内部情報を持つ分、デューデリジェンスのコストが低く、スピード感を持って支援できる。ただし親会社とのアライメント(戦略的合意)がないままブリッジを繰り返すと、CVC側の投資判断の独立性が問われる場面もある。

関連項目

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