イントラプレナー
イントラプレナー(Intrapreneur / イントレプレナー) とは、企業に所属しながら社内で新規事業を立ち上げる「社内起業家」のことである。起業家(アントレプレナー)と同じ志と行動力を持ちながら、大企業の組織・リソース・ブランドを活用して 社内起業 や 社内ベンチャー として事業を創出する人材を指す。
大企業の新規事業推進において、イントラプレナーの育成と活躍環境の整備は成功の鍵を握る。以下では、社内起業家が直面する組織的な壁とその突破戦略、そして先進企業の支援制度について解説する。
大企業の壁に阻まれる社内起業家の孤立
大企業の中で新規事業に挑戦したいが、社内の壁が高すぎて前に進めない。既存事業の論理が支配する組織では、売上の見通しが立たない新規事業は「リスクが高い」と評価され、 リソースが配分されない。また、新規事業に手を挙げた社員が「本業を疎かにしている」と見なされ、 人事評価で不利になる ケースも少なくない。
イントラプレナーは起業家と同じ志を持ちながら、 大企業特有の組織力学 の中で活動しなければならない。この二重のプレッシャーが、社内起業家を孤立させ、多くの挑戦が途中で頓挫する原因となっている。
「本業に戻れ」と言われた新規事業リーダーの話
ある大手通信企業の30代社員は、社内新規事業コンテストで優秀賞を受賞し、プロジェクトチームを立ち上げた。しかし半年後、元の部署の上司から「そろそろ本業に戻ってこい」と言われた。
新規事業の月次売上は 50万円。元の部署では年間 10億円 の予算を管理していた。上司にとっては「50万円の仕事より10億円の仕事が優先」なのは当然の判断である。結局、彼は新規事業を離れざるを得なかった。このような事例は、日本の大企業で 日常的に発生 している。
社内の壁を突破するための3つの戦略
- 経営層のスポンサーを確保する:イントラプレナーには、経営層に「盾」となってくれるスポンサーが不可欠である。部門長レベルではなく、役員クラスのスポンサーを見つけ、新規事業の意義と必要なリソースを継続的に訴求する。スポンサーの存在が、社内の抵抗勢力からイントラプレナーを守る最大の武器となる
- 既存事業との距離を設計する:出島戦略のように、本体組織から物理的・組織的に一定の距離を置く環境を確保する。人事評価制度、予算管理、意思決定プロセスを既存事業とは別の仕組みにすることで、イントラプレナーが起業家的に動ける余地を作る
- 仲間を戦略的に集める:イントラプレナーは孤軍奮闘してはならない。社内の異なる部門から共感者を見つけ、2〜3名のコアチームを形成する。マーケティング、技術、財務など異なるスキルセットを持つメンバーで構成することが、事業の推進力を高める
先輩の経験と社内制度を活用する実践手順
明日から実行すべきは、自社内で過去にイントラプレナーとして新規事業に挑戦した 先輩を3名特定 し、その経験談を聞くことである。成功者だけでなく、 撤退を経験した人の話 こそ貴重な学びとなる。
次に、自社の新規事業支援制度(SSAP、Ringのような制度)の詳細を確認し、利用可能なリソースを把握する。そして、自分の新規事業アイデアを30秒で説明できるエレベーターピッチを用意し、経営層に非公式に相談する機会を作ることから始める。
社内で新規事業を始めたい20代後半〜40代へ
イントラプレナーの概念が特に重要なのは、大企業に所属しながら新規事業への情熱を持つ 20代後半〜40代の社員 である。特に、自社の技術や顧客基盤に可能性を感じつつも「どうやって社内で新規事業を始めればいいかわからない」と感じている人にとって、先人の知見は大きな羅針盤となる。
また、イントラプレナーの育成・支援制度を設計する人事部門や経営企画部門の担当者にとっても、社内起業家が直面する課題の理解は不可欠である。
社内制度と先人の知見を武器にしよう
まずは社内ベンチャーと新規事業提案制度の仕組みを理解し、自社で活用できる制度を把握しよう。出島戦略による組織設計の知見も合わせて学ぶことで、イントラプレナーが活動しやすい環境の条件が見えてくる。
リーンスタートアップの手法を身につけ、ソニーやリクルートの事例から実践的なヒントを得よう。守屋実氏や田所雅之氏の著作も参考になる。
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