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用語集

シリーズCとは——大型ラウンドの条件・目的・日本での事例(Oishii Farm 240億円等)

シリーズC(Series C) とは、スタートアップの資金調達ラウンドの段階の一つで、シリーズA・Bを経た成長後期〜市場リーダーポジション確立段階の大型調達ラウンドを指す。一般に、製品市場適合(PMF)を達成し、ユニットエコノミクスの改善が確認された状態で実施される。国内外で調達額が数十億〜数百億円規模になるケースも増えており、機関投資家に加えて事業会社・CVC・PE(プライベートエクイティ)が参加するラウンドとしての性格を持つ。

定義

シリーズCは、スタートアップが初めて機関投資家から資金を受けた「シリーズA」、スケールへの投資を加速させた「シリーズB」に続く第3段階の資金調達ラウンドである。米国VCが発行する優先株式の系列名(Series C Preferred Stock)に由来し、各ラウンドで発行される優先株式の呼称がそのままラウンド名として定着した。

シリーズCラウンドの主な特徴は以下の通りだ。

  • 調達規模:国内目安100〜500億円、グローバルでは数百〜数千億円規模も珍しくない
  • 参加投資家:グロース投資家・CVC・PE・事業会社が中心。アーリーステージVCは通常フォロー参加
  • 評価基準:市場シェア・ARR(年間経常収益)・グローバル展開可能性・競合優位性
  • 調達目的:市場支配力の確立・国際展開・M&A・IPO準備資金

シリーズCが求められる理由

シリーズA(製品開発・PMF検証)・シリーズB(ユニットエコノミクス改善・チームスケール)で達成できなかった「市場支配力の確立」がシリーズCの主目的だ。特定の市場で1位か2位のポジションを取れなければ、長期的な競争優位は維持できない。「今この市場を取れるか」という問いに対する答えを、資金力で先行して取りに行く段階がシリーズCである。

事業会社・CVCの参加が増える理由も、このタイミング固有の論理による。シリーズBまでは「技術的な可能性を買う」投資だが、シリーズCは「既に証明された事業モデルへのコミットメント」であり、事業会社にとっては協業・提携・供給関係の確立という戦略的意図が財務投資と並存する。


日本における代表的な事例:Oishii Farm 240億円

2026年5月、植物工場スタートアップのOishii FarmがシリーズCファーストクローズで約240億円(1億5000万ドル)を調達した。累計調達額は525億円超(約3.5億ドル)に達し、国内植物工場スタートアップとして最大規模の資金を持つ。

このラウンドの投資家構成は、シリーズCが持つ「事業会社連合型」の特性をよく示している。

投資家種別戦略的意図
スパークス・アセット・マネジメントリード(機関投資家)食農テック市場へのグロース投資
野村不動産新規(不動産会社)施設インフラ開発ノウハウの転用・植物工場施設開発
ミスミグループ本社新規(製造業サプライヤー)FA部品・自動化設備の農業向け供給
朝日工業社新規(空調・設備)空調・環境制御設備での協業
脱炭素化支援機構既存(追加出資)カーボンニュートラル投資ポートフォリオ強化
みずほ銀行既存(融資含む)大型設備投資への融資

事業会社LPが複数参加する「クロスインダストリー連合型シリーズC」は、単純な財務投資を超えたサプライチェーン統合の性格を持つ。詳細は不動産×製造×農業 クロスインダストリー型植物工場オープンイノベーションを参照。


シリーズCの判断基準

投資家がシリーズCで求める指標は業種によって異なるが、共通して重視される要素は以下だ。

ARR・MRR成長率:シリーズBから継続的な成長が確認できるか。停滞や成長鈍化はシリーズCを難しくする。

ユニットエコノミクス:LTV/CAC比が改善され、1顧客あたりの利益が積み上がっているか。シリーズBで改善に着手したものが、シリーズCでは証明済みである必要がある。

市場シェア・競合優位性:ターゲット市場でのポジションが明確で、競合他社より先行しているか。

経営チームの実行力:大型資金を使いこなし、急拡大を管理できるチームか。シリーズCで入る投資家は、事業よりも「チームがこの規模の会社を経営できるか」を重視する場合もある。


シリーズCと既存用語の関係

シリーズCはより広い命名体系の一部である。ラウンド全体の命名規則(Pre-Seed〜Pre-IPO)についてはシリーズ・ラウンド命名体系を、各ラウンドの役割と評価軸の整理についてはシリーズ資金調達を参照されたい。本記事はシリーズCというラウンドに特化し、「なぜこのタイミングで・何を達成するために・どのような投資家が参加するか」を深掘りする位置づけである。


関連項目

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