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イントラプレナー

田中 吉隆

キリンホールディングス株式会社
Cowellnex株式会社 / キリンビジネスチャレンジ事務局 新規事業開発 ヘルスケアサービス 社内起業 プロダクトマネジメント

人物概要

田中 吉隆(たなか よしたか)は、キリンホールディングス株式会社に在籍し、調剤薬局向けAI置き薬サービス「premedi」を立ち上げたイントレプレナーである。2015年にキリンホールディングスに新卒入社し、営業・経理を経て社内新規事業コンテスト「キリンビジネスチャレンジ」に提案を行い採択された。

食品・飲料という本業からヘルスケア領域へ越境した新規事業立ち上げの実践者として、国内の社内起業コミュニティにおいて広く注目される存在となっている。2025年5月には、premediが「第2回日本新規事業大賞 by Startup Japan 2025」において大賞を受賞し、事業の社会的インパクトが公式に評価された。

経歴

2015年、キリンホールディングス株式会社に新卒入社。入社後は営業部門と経理部門での実務経験を積み、事業と財務の両面からビジネスを理解する基盤を構築した。入社後には同期有志と社内自主勉強組織「キリンアカデミア」を立ち上げ、隔週開催で年間3,000人以上が参加する規模へ成長させた。この活動は後の新規事業提案への土台となり、社内外のネットワーク構築にも大きく寄与した。

2019年、社内新規事業コンテスト「キリンビジネスチャレンジ」に「薬局向けAI置き薬サービス」を提案・採択。採択後は事業化に向けた仮説検証を開始したが、当初の事業仮説では顧客が集まらず、薬剤師へのインタビューを繰り返すことで「棚に薬がない」という核心的な課題を発見した。この課題発見を起点に事業を再設計し、AI置き薬サービス「premedi」として確立した。

2022年以降、事業は本格成長フェーズに入り前年比2倍の成長を記録。2024年には、キリンホールディングスと協和キリンの共同出資による新会社「Cowellnex株式会社」が設立され、premediの運営を独立事業体として継続している。現在は新規事業推進と並行して、キリンビジネスチャレンジの事務局も兼任し、後続の社内起業家候補者への数百件規模の支援活動を行っている。

主な実績

田中氏の実績として特に評価される点は、「売れない時期」の乗り越え方にある。採択後の仮説検証フェーズで当初計画通りに事業が進まなかった期間、撤退ではなく顧客インタビューへの集中を選んだ判断が、事業の転換点をもたらした。この経験から、「強い意志がなくても新規事業を始めてよい、大切なのは課題への向き合い継続」という姿勢を実践者として語り続けている。

キリンビジネスチャレンジ事務局の兼任により、自身の経験と学びを数百件の後続プロジェクトへの支援という形でフィードバックしていることも、単なる起案者を超えた社内起業文化の醸成者としての側面を示している。

第2回日本新規事業大賞での大賞受賞は、事業の社会的インパクト・成長性・再現可能性が外部視点から評価された成果であり、食品メーカー発のヘルスケア新規事業という越境事例に国内での代表的な地位を与えた。

新規事業リーダーとしての哲学

田中氏が公開のインタビューや講演で繰り返し語る視点として、「最初から強い意志(ビジョン)がなくていい」という考えがある。多くの社内起業支援が「熱量のある起案者の発掘」を前提にする中、「顧客課題への徹底的な向き合いが、後から信念を生む」という逆の順序を提唱している点が特徴的である。

また、「撤退しない理由を作り続けること」の重要性を強調する。不確実性の高い新規事業では、成功が保証されない時期が必ず訪れる。その際に「なぜこの事業を続けるべきか」を顧客課題との向き合いから随時更新し続けることが、最終的な事業化到達の鍵となるという考え方である。

社内コンテストの事務局兼任という立場から、起案者と組織双方への視点を持つことも田中氏の特徴である。制度・組織・文化の各側面から社内起業を支える仕組みの設計に関心を持ち、「一人のイントレプレナーの成功を超えた組織能力の構築」を志向している。

関連項目

参考文献・出典

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