人物概要
財津 和也(ざいつ かずや)は、関西電力グループである株式会社ポンデテックの代表取締役社長である。
大企業ならではの潤沢な資本力やアセットを活用しつつも、スタートアップのスピード感と泥臭さを持つ「シリアル・イントラプレナー(連続社内起業家)」として知られる。これまでに4度にわたり社内ベンチャーの立ち上げを経験しており、現在は再生PC(リファービッシュPC)事業「PC next」を通じて、「インクルージョン」「環境負荷低減」「デジタル格差是正」という複数の社会課題の同時解決(ソーシャルビジネス)に取り組んでいる。
経歴・実績
関西電力に入社後、既存のエネルギー事業の枠組みにとらわれず、新規事業開発の領域でキャリアを切り拓いてきた。社内のビジネスコンテスト等にも積極的に参加し、自らのアイデアを複数回事業化に導いた経験を持つ。
「株式会社ポンデテック」は2019年10月、外部ファンドGlobal Catalyst Partners Japan(GCPJ)のSSI(Structured Spin-in)投資モデルにより、社外から招聘された岩田貴文を初代代表として設立された。社名の由来である「Pont(フランス語で『橋』)des(『の』)Tech(技術)」の通り、テクノロジーを通じて社会の分断を繋ぐビジネスモデルを構築した。財津は創業初期に事業のバトンを受け取ったイントラプレナーであり、2022年に副社長兼CTO、2023年に代表取締役社長へ就任した。
創業時の株主はGCPJ2号ファンド(100%出資、2020年1月〜2022年4月)であり、関西電力の子会社ではなかったが、事業の社会的意義と収益性の両立が証明され、2022年4月に古巣である関西電力が同社の全株式を取得。晴れて関西電力グループの中核的な社内ベンチャーとして、完全子会社化されたという珍しい経歴を持つ。
現在の職務・プロジェクト
ポンデテックの代表として、中核事業である「PC next」の拡大と経営全般を統括している。
「PC next」は、大企業等で使用されリースアップしたパソコンやスマートフォンを買い取り、全国の障がい者就労支援施設(特例子会社等)を通じて再生(データ消去、クリーニング、OSの再インストール等)を行い、一般消費者や教育機関、中小企業向けに安価に再販する事業である。
財津のビジネスモデルデザインの秀逸さは、障がい者を「福祉の受け手・支援の対象」としてではなく、「ビジネスのサプライチェーンを支える重要な戦力・パートナー」として位置づけている点にある。丁寧なクリーニングや精緻なチェック作業において彼らの高い集中力や適性が発揮されており、高品質なリファービッシュPCの安定供給を実現している。
思想とアプローチ
「社会課題の解決こそが、最大のビジネスチャンスである」という強いパーパス(目的意識)が財津のアプローチの原点である。
CSR(企業の社会的責任)やボランティアとしての「寄付や支援」は、資金が尽きれば終わってしまうという限界がある。だからこそ、資本主義のルールの中で「しっかり稼ぎ、その利益で支援の輪を再投資して事業を拡大し続ける」というサステナブルなビジネスモデルの構築を至上命題としている。
大企業発の社内起業家としてのメリットとデメリットを知り尽くしており、「大企業の信用力(仕入れのネットワークなど)」と「ベンチャーの機動力」を如何にしてハイブリッドさせるかという点において、多くのイントラプレナーたちのロールモデルとなっている。


